この記事は、前後編の2回に分けてお届けしていく。今回も、前回に引き続き企業が変化するSEOに対応するためのチェック項目を見ていく。
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専門特化するのか包括的にいくのか
次に、組織が明確にすべき事柄を挙げてみる。
専門分野に特化した企業にしたいのか、それとも包括的なビジネスを目指すのかだ。
つまり、SEOとPRの統合のような独自のソリューションを提供したいのか、それとも、技術的な視点からコンテンツ作成、アウトリーチ、デジタルPRにいたるまでの各種デジタルソリューションを提供する総合代理店になりたいのか、ということだ。
どのような分野に進んでいくのかを、はっきりと決めよう。
ただしここで重要なのは、ある分野に特化することを選択したとしても、「これで、他の種類の仕事は請け負えなくなった」などと考えないことだ。
ビジネスの方向性を明確化することは、何かを制限するためではない。そうではなく、「君の会社が提供する価値」や「君の会社を使って得られるもの」を顧客が理解するのに役立てるためなのだ。君はいつでも、自分が提供できる他のサービスを顧客に示せるが、こうした出発点を明確にすることが大いに恩恵をもたらす可能性があると僕は考えている。
自社のビジネスを考えるためのチェックリスト
ではここで、自分のビジネスを客観的に評価して、「自分の強みは何だろう? 弱点は何だろう? 改善できるのはどこだろう?」といったことを把握しようとする場合、チェックすべき要点を並べてみる。
まず、ビジネスにおいて何らかの決定を下す場合、その決定から生じる可能性のあるリスクとリターンにどのようなものがあるのかを検討し、ちょっとした予測を試みるところから始めよう。
時間をかけて蓄積してきたデータに目を通して、「仮に今日、自分の仕事のためにこの決定を下したら、どんなことが期待できるだろうか?」と考えるのだ。
また、現在の戦略に目を通し、有効なこととそうでないことをそれぞれ調べて、その状況に合わせて臨機応変に対応を変えていくことも重要だ。戦略を再評価し、何が有効で何が有効でないかを見極めよう。
また、野心的な取り組みと現実的な取り組みをバランス良く行うことも重要だと思う。企業として短期的に達成できる事柄を調べ、長期的な目標の達成と現実的な対応についてどのように考える必要があるのかを検討しよう(自分の手元にあるリソースを前提にする)。
そうした目的に合うMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を市場に送り出す方法を考えてほしい。有効なものとそうでないものを把握し、その上で改良を続けよう。これも大きなメリットをもたらしてくれる可能性がある。
また、会社の使命やビジョン、価値を評価しよう。僕の知る多くの企業が、価値に着目し、その価値に基づいて多くの決定を行っている。これらの評価を当てはめて、会社がどのような位置にあるか、事業がどのような位置にあるのかを明確にしよう。
使命、ビジョン、価値などは強力な動機となって、誰かが君のために働きたいと訪ねてきたり、ずっと働き続けたいと願ったりする理由になるし、スタッフらが受け持つ業務から目的を引き出すことにもなる。継続的に調べて評価することを、しっかりやっていこう。
また、クライアントの構成を調べるのも重要だと思う。
プロジェクトベースのクライアントと継続ベースのクライアントの比率に注目しよう。これらは、組織の資金繰りとキャッシュフローに影響する可能性がある。継続クライアントの割合を増やす方法を探ろう。
あるいは、知識格差を広げたりキャッシュフローのポジションを増やしたりできるような、高収益のプロジェクトを請け負えないか考えよう。育てているプロジェクトが、目標の達成に確実につながるようにしよう。
自分の会社と従業員に注目し、その強みと弱みを調べよう。この点についても、特に会社の規模がクリティカルマスに届き始めている場合は、現実的な取り組みが大きな利益につながるはずだ。
従業員が10人から50人、50人から100人と増えていくと、会社の力学が変わり始める。すると、さまざまな強みと才能のある実に広範な人々の集団になり、熱意の向かう先がそれぞれ異なってくる。こうした人々の力学と、何がお互いにうまく機能するのかを理解することは、そうしたタイプのビジネス決定を行うにあたり、非常に重要になり得る。
また、会社としてのリスク許容度を理解することも重要だ。大きな野心を持つのは自由だが、会社がある種の決定を躊躇したり、自分でも自信を持ってその決定に関与できなかったりすると感じられる場合は、その決定があくまで推進するべきものなのかどうか、また、決断を早めるためにはどのようなインフラやどんなことが必要になるのか、再検討するのがいいかもしれない。
組織の持つ許容レベルに関しては、とにかく現実的であることだ。
さらに、現在、どのようにして稼いでいるかにも注目する。さまざまな会社において、人々は自分の働く場所を愛しており、最終的には、稼げる方法を理解できなければならない。現金をたくさん生み出すものがどこにあるのか、そして、それが会社にどのようにお金をもたらすのかに注目することは、大いに役に立つ。
未来への抱負も忘れてはいけない。
僕らは誰もが目標を求めている。誰もが、目的を生み出すようなもの、自分が目指す場所にたどり着けるようなものに向かって邁進したいと思っている。そこで、抱負は十分に大きく、短い期間で到達するのは簡単ではないが、会社としてみんなで信じて目指せるようなものであってほしい。
未来への抱負を理解することは、会社のレベルでも、従業員のレベルでも、非常に強い力になり得る。
最後に大事なこととして、君が自分の組織に投資することを目指すなら、現在のキャッシュフローポジション、または資本にアクセスできるかどうかに基づいて、現段階で可能な投資と不可能な投資のタイプとその間の力学について理解すれば、自分がどれほど迅速に決断を下せるのか、そうした決断のためにはどんなクライアントを呼び込む必要があるのか、といったことを判断するのに役に立つだろう。
今回はたくさんの情報を提供したが、何がしたかったのかというと、事業主や代理店などが一歩引いて会社や従業員や改善が必要な部分を判断し、目指すところに到達するための、枠組みとチェックリストを提供したかったんだ。
こういった事柄について理解が深まれば、ビジネスの決定や、その決定を従業員に伝える際に役立つだろう。組織の人間に権限を与えて何かすばらしいことを実施するのにも役立つ可能性がある。
だから、ビジネスの現場に出て、構築を続けていこう。
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