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特集リンクや広告リンクのクリックを計測・評価する――実例で解説!イベントトラッキング(2)[第67回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 7 分

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだが、正式なサポートがない。本連載では、その導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

前回は、ナビゲーションの固定リンクを分析・評価するためにイベントトラッキングを利用した。

今回は、広告やサイト内の特集コンテンツといった、流動的なリンクのクリック状況を捕捉する目的で使ってみよう。

たとえば、メディアサイトなどであれば、広告リンクがどれぐらいクリックされているか、つまり広告主サイトへの送客状況を計測する。

また、eコマースサイトなどであれば、日替わりの特集ページへのリンクローテーションするお薦めページへのリンクの利用などを計測する。

今回もonclickを使うという点では、実装面では新しい話があるわけではないが、動的にコンテンツを生成している場合の実装はけっこう面倒かもしれない。いたずらにデータを取りたいからという理由で難しいことを始める必要はないので、問題意識をもって改善に役立てられるようであればトライしてみよう。

今回もイメージしやすいように、実際のサイト(クックパッド)を例にして、課題設定から始めていきたい。

なお、私は今回取り上げるサイトとは無関係の第三者で、あくまでも想像上の話であり、数値もこのサイトの実際のものではない。

まずは課題を設定しよう

図1は「クックパッド」のトップページの画面だ。

  • メインビジュアルには、日替わりのおすすめレシピが掲載されている(図1青枠部分)
  • 右側には、広告スペースがある(図1赤枠部分)
  • ところどころに、特集ページと思われる流動的なコンテンツへのリンク(図1緑枠部分)も見受けられる。
図1:「クックパッド」の「トップページ」
図1:「クックパッド」の「トップページ

一般的に、Webサイトの広告営業担当者は、利用している広告システムなどによっては、そのシステムでインプレッション数やクリック数などの基本統計データを取得していることが多いと思うが、今回は、自社サイト側においてもデータを計測できるようにしておきたいというニーズがあったとしよう。

また、コンテンツ編成部門の担当者は、自分が管理・制作を担当している「日替わりのおすすめレシピ」や「特集ページ」へのリンクをトップページに掲載した際に、どれぐらい効果があったのかを、レポート上で簡単に把握したいと思っているとしよう。

【課題】

Webサイトの広告営業担当者:広告の基本データを自社側で取得したい
コンテンツ編成部門の担当者:入れ替わりの激しいコンテンツのクリック状況を把握したい

Googleアナリティクスの機能では、「ページ解析」を使えば、任意のページのリンクごとのクリック数やクリック率の計測はできる。しかし、「ページ解析」レポートでは、レポートを見ている時点の該当ページの画面を取得して、そこに過去のデータを重ねて表示するため、リンクの配置が頻繁に変わるようなサイトだと、すぐにまともに使えるデータにはなり得ない

そこで、イベントトラッキングの登場だ。説明を単純化するため、

  • メインビジュアルの日替わりコンテンツが1つ
  • 広告が右側に常時2つ
  • 不定期に変化する特集コンテンツが1つ

以上の、合計4つの画像(あるいはテキストリンク)のクリック状況を把握する前提で考えてみよう。

トラッキングコードの実装例

それではこのケースにおけるトラッキングコードの実装例を紹介しようと思うが、その前に、再度イベントトラッキングのおさらいを簡単にしておこう。ユニークに設定する項目は、

  • イベントカテゴリ
  • イベントアクション
  • イベントラベル
  • イベント値

の4つで、クリック行為に対してイベントを発生させる場合のフォーマットは下記のようになる。

<a href="http://example.jp/" onclick="_gaq.push(['_trackEvent', 
'イベントカテゴリ', 'イベントアクション', 'イベントラベル', イベント値, true]);">
ここをクリック</a>

イベントカテゴリには外部リンク/内部リンクを設定する

イベントカテゴリは大分類なので、外部リンクの計測の方は「outclick」、内部リンクの計測の方は「inclick」などとして、担当者別に見るところが混ざらないように指定しておくことにする。

イベントアクションには「いつ」を設定する

イベントアクションは中分類なので、どういう軸で見たいのかにもよるが、今回は、「いつ」の軸を指定してみる。具体的には、年月日を指定する。

イベントラベルには「どこへ」を設定する

そして、イベントラベルは「どこへ」の軸を見るために、リンク先の広告やコンテンツを判別する文字列をつけてみよう。

イベント値の設定

「イベント値」は、広告の外部リンクのクリックに対して何らかの数値を割り当てておくのが良さそうだ。それぞれの価値に応じて2ヵ所別々の値をふっておくものとする。

最後の「true」は直帰率への影響が出ないように、つねに付けておくことにする。

トラックイベントコードを実装する

さて、今回は4つのリンクなので、全部列挙してみよう。赤字部分が追記する箇所になる。下記例ではテキストリンクの場合の表記になっているが、画像リンクの場合はそれに合わせて、HTMLのソースコードを変更してほしい。

日替わりコンテンツ(サイト内)へのリンク

<a href="http://cookpad.com/recipe/1702720" onclick="_gaq.push(['_trackEvent', 'inclick', '20130902', '/recipe/1702720', , true]);">ここをクリック</a>

特集コンテンツ(サイト内)へのリンク

<a href="http://cookpad.com/campaign/example " onclick="_gaq.push(['_trackEvent', 'inclick', '20130902', '/campaign/example', , true]);">ここをクリック</a>

広告(サイト外)へのリンク

<a href="http://example.com/advertise1" onclick="_gaq.push(['_trackEvent', 'outclick', '20130902', '/example/advertise1', 10000, true]);">ここをクリック</a><a href="http://example.com/advertise2" onclick="_gaq.push(['_trackEvent', 'outclick', '20130902', '/example/advertise2', 8000, true]);">ここをクリック</a>

まとめると、このようになる。

イベントカテゴリイベントアクションイベントラベルイベント値
日替わりコンテンツへのリンクinclick20130902/recipe/1702720(なし)
特集コンテンツへのリンクinclick20130902/campaign/example(なし)
広告へのリンク1outclick20130902/example/advertise110000
広告へのリンク2outclick20130902/example/advertise28000
  • トラックしたイベントをレポートで確認するには?

トラックしたイベントをレポートで確認するには?

図2:[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]メニュー
図2:[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]メニュー

トラックしたイベントの集計結果を確認するには、[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント](図1赤枠部分)レポートを確認しよう(ただし、前ページで紹介したHTMLの変更をしたあとのクリックしかこのレポートには反映されないので、データが貯まるまでしばらく待つ必要があるかもしれない)。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面の左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする
  3. メニューが開くので、[イベント]をクリックし、[上位のイベント]をクリックする

[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]レポートでは、デフォルトで「イベントカテゴリ」ディメンションが選択(図3赤枠部分)されている。

図3:[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]レポートの「イベントカテゴリ」
図3:[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]レポートの「イベントカテゴリ」

今回設定した「イベントカテゴリ」の項目は、内部リンクの「inclick」と外部リンクの「outclick」(図3青枠部分)となる。「イベントカテゴリ」は担当者別に分かれているので、コンテンツ編成部門の担当者は、自身の管理対象である「inclick」をクリックしてドリルダウンしよう。

すると、図4のように、内部リンクの「inclick」に絞り込まれた上で、「イベントアクション」の明細が表示される。「イベントアクション」には日付を指定したので、日別のクリック数合計が集計されていることになる。

図4:[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]レポートの「イベントアクション」
図4:[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]レポートの「イベントアクション」

さらに日付をクリックすればドリルダウンできるのだが、日別にドリルダウンするのは一覧性が悪くなるので、セカンダリディメンションのプルダウン(図5赤枠部分)をクリックし、「イベントラベル」を選択(図5青枠部分)しよう。

図5:[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]レポートの「イベントアクション」で、セカンダリディメンションに「イベントラベル」を選択する
図5:[コンテンツ]>[イベント]>[上位のイベント]レポートの「イベントアクション」で、セカンダリディメンションに「イベントラベル」を選択する

こうすれば、図6のように日別に内部リンク先別のクリック状況を一望できるレポートになる。

図6:セカンダリディメンションに「イベントラベル」を選択した画面
図6:セカンダリディメンションに「イベントラベル」を選択した画面

なおどのページでイベントが発生したかという軸については、[コンテンツ]>[イベント]>[ページ]レポート(図2青枠部分)で確認できる。どのページでも同様の計測を行い、イベントが発生したページ別にデータを見ることもできるということだ。

結果の評価

図6のレポートでは、イベントアクション(日付)とイベントラベル(広告・コンテンツ内容)を一覧できるので、もし「特集コンテンツ」へのリンクが10日間固定だったら、その10日における変動を見ておけばよいだろう。

また、「日替わりコンテンツ」へのリンクであれば、日別のイベントラベルになっている部分を抽出して、予想外に低かったものがなかったか、逆に高かったものがなかったか、選択したコンテンツがその時期とマッチしていたか、いなかったのかどうかを検証したい。

「外部リンクの広告」のクリックに関しても、内部リンクと同様に、日別や掲載場所別などで数字を追っておくのがよいだろう。イベントの値を指定しておけば、価値換算はできるので、あえて必要はないかもしれないが、図7のようにビュー(旧プロファイル)の目標設定で、イベントを指定する(図7赤枠部分)ことができるので、広告のリンクのクリックを目標にして(図7青枠部分)、コンバージョン率を集計するように指定することもできる。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックする
  2. 左から順に、目標を設定したい[アカウント][プロパティ][ビュー(旧プロファイル)]をクリックする
  3. [ビュー(旧プロファイル)]の下にある[目標]をクリックする
  4. [目標を作成]をクリックする
図7:[目標を作成]画面
図7:[目標を作成]画面

また目標設定しておけば、コンバージョンした訪問だけを抽出して(アドバンスセグメントを掛けて(図8青枠部分))みて、良い結果であれば、広告を見た人はこんなコンテンツも見た熱心な人達ですよ、といった広告営業に活用する手もあるだろう。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面の左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サマリー]をクリックし、[アドバンスセグメント]をクリックする
図8:[ユーザーサマリー]の[アドバンスセグメント]設定画面
図8:[ユーザーサマリー]の[アドバンスセグメント]設定画面

今回は「イベントカテゴリ」「イベントアクション」「イベントラベル」の分析軸に、前回利用したリンクの位置は指定しなかったが、各サイトで課題になっている分析軸をこの3つのどれかに指定するとよいだろう。たとえば、商品カテゴリ、誰向け(男女別とか)の商品/コンテンツなのかとか、さまざまな分類が考えられる。自分のサイトの課題に合わせて、考えてみてほしい。

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この記事の筆者
ユーザー 衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) の写真

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

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