今日は、Webコンテンツ作りをする人向けに、日本語表現で「こういう表現は使わないようにしたい」ミスを紹介します。
編集者の目で見ると「あちゃー、そういう言葉のミスしちゃうのね、残念」という表現が、企業のWebコンテンツだけでなく、ブログ、ソーシャルメディアの投稿、企画書、プレゼン資料など、いろんなところでみつかります。
意識していないとつい使ってしまいがちな、「あるある日本語のミス」を、いくつか紹介しましょう。
× 「レスポンシブルWebデザイン」
○ 「レスポンシブWebデザイン」
かなり恥ずかしいです。「レスポンシブル(責任をもつ)」のではなく、ブラウザの状況に「レスポンシブに(反応して、応じて)」表示が変わるようにするデザイン手法です。
× 「フューチャーフォン」
○ 「フィーチャーフォン」
これもかなり恥ずかしい。非スマホな高機能ケータイのことであって、「フューチャー(未来)」ではありません。
× 「各部署ごとに」
○ 「各部署で」 または 「部署ごとに」
「各」と「ごと」で意味が重なっています。重複表現ですね。
× 「第1回目」
○ 「第1回」 または 「1回目」
「第」も「目」どちらも順序を表すものですから、重複表現ですね。
とはいえ、今ではあまりにも多くの人が「第1回目」の表現になれてしまっているようなのですが……。
× 「一番最初に」
○ 「最初に」または「一番に」
これも実際には重複表現。意図して意味を強調するために使うのでなければ、避けたいところです。
「まず最初」も同様なのですが、実際にはこのあたりも日本語として不自然だと思わない人が多くなってきているようです。
× 「○月○日から提供開始」
○ 「○月○日に提供開始」または「○月○日から提供」
リリースなどでたまに見る表現。提供を「開始」するのは一瞬のできごとですから、「○月○日に」とします。
「○月○日から」行うのは「提供する行為」であり、「提供を開始する」行為ではありません。
ただし、シリーズで5製品あって、ある日から1日に1製品ずつ順番に提供していく場合は、「○月○日から(順次)提供開始」という表現になることもあるでしょう。
「応募締め切りは○月○日まで」も同様で、「応募締め切りは○月○日」または「応募受付は○月○日まで」となります。
× 「WindowsXP」「InternetExplorer」「googleanalytics」
○ 「Windows XP」「Internet Explorer」「Google Analytics」
わかりづらいですが、「英単語はスペースで区切られるところまでが1つの単語」というルールの話です。
「Windows」と「XP」という2つの単語でできているから「Windows XP」なのです。スペースなしで書くと「WindowsXP」という1つの単語になってしまいます。
人の名前は間違うと失礼なので正しく表記しますよね。商品名や社名も、正式名称をちゃんと表記するようにしましょう。
ちなみに、「MacOS」「Oracle9i」「SiteCatalyst」「AudienceScience」のように、スペースを入れずにつなげた表記を正式としている場合もありますので、注意が必要です。
× 「そんな大きな仕事、私には役不足」
○ 「そんな大きな仕事、私には力不足」
意味の勘違いのうち、正反対の意味になって失礼なことがあるのが、これ。
「役不足」は、演者の器に対して、役の価値が不足していること。つまり、歌舞伎の名代に馬の足の役をさせるような状態ですね。
若手が「この仕事は私には役不足」と言ったら「この私に、こんなつまらん仕事をさせるのか、もっと大きな仕事を持ってこい」という意味になってしまいます。
「自分はまだ経験不足なのでおそれおおい」という意味で使うのは「力不足」です。
× 「SEO対策」
○ 「SEO」または「SEO施策」
「SEO」は検索エンジン最適化。「SEO対策」は、SEOへの対策。ということは、SEO対策をするのは、検索エンジンの人。だから、Webサイトオーナーが「SEO対策」するのはおかしな話なんですよね。
まぁ、もう完全に手遅れなぐらいこの表現は一般化してしまっていますが。
そして、意外と気づきにくいのが「10の言葉遣いミス」というタイトルなのに、中身を見てみると9項目しかないといったミス。この記事がそうです(上の項目を数えてみてください)。
やっちゃうんですよ。「10個の」とかなら気づきやすいのですが、「17個の」とか「43の」とかの場合、途中でチェックして削ったり統合したりしているうちに数が変わっちゃうという。
まぁ、これは「言葉遣いミス」ではありませんし、読んでいる人は意外と気づかないのですが、気づかれたら「ありゃりゃ」となってしまいますので、注意が必要ですね。
このほかにも、
「週間誌」「期待に答える」「ティーパック・ティーバック」「コミニュケーション」「シュミレーション」「カルボラーナ」
といった「ありがちな変換ミス・勘違い」は多いものです。正しくはそれぞれ、
「週刊誌」「期待に応える」「ティーバッグ(お茶の入った袋)」「コミュニケーション」「シミュレーション」「カルボナーラ」
ですね。
こんな感じのミスすべてを一目でチェックできるようになるのは……本職の校正者さんじゃないと無理です(私も厳しいです)。だから、Web担当者は楽をしましょう。
一番手軽なのは、Wordにテキストを貼り付けて[F7]キーを押すことです。日本語の文章校正チェック機能で、最低限のチェックをしてくれます。
あとは、日本語入力システムにジャストシステムのATOKを使うのもオススメ。ありがちな変換ミスなどに対して入力時に注意を促す機能がありますし、「共同通信社 記者ハンドブック辞書」「NHK新用字用語辞書」といった辞書を追加すれば、標準的なルールに基づいてチェックできます。
うっかりミスで残念な文章にしてしまわないように注意するとともに、そのためのチェックをできるだけ自動化して、楽にしていきましょうね。
- 内容カテゴリ:Web担当者/仕事
- コーナー:編集長ブログ―安田英久
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:え? この表現ダメなの? あなたの文章を一瞬で残念にする10の言葉遣いミス [編集長ブログ―安田英久] | Web担当者Forum
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