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累計出荷本数100万本! ホームページ・ビルダーユーザーにリーチできるWordPressテーマのマーケット「hpb マーケットプレイス」がオープン | Web担当者Forum

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ホームページ・ビルダーとWordPressの連携が始まったのは2012年のこと。それ以来、「自分たちもホームページ・ビルダー用のテンプレートを作れないか」、そんな要望が制作会社から寄せられているという。こうした制作会社の思いに応えるべく、次期「ホームページ・ビルダー18」(10月4日発売)から、新たな連携がスタートする。

PHPが苦手な人でも、CSSと画像を用意するだけで簡単にホームページ・ビルダーのテンプレートを作れる。しかも、ユーザーサポートまでしてくれるといいます。WordPress制作者がホームページ・ビルダーのユーザーにリーチできるのですから、どんどんやればいいという思いですね。

こうした噂を聞きつけ、WordPress関連の制作会社であるデジタルキューブの堀家氏、岡本氏、太田氏と、WordPress日本語フォーラムの世話役である今野印刷の五十嵐氏に話を聞いた。

デジタルキューブの堀家氏(左)と今野印刷の五十嵐氏(右)  デジタルキューブの太田氏(左)と岡本氏(右)

デジタルキューブはWordPressのサイト制作やコンサルティングを行うWeb制作会社。チーム「め組」としてビジネスサイト向けのWordPressテーマ開発を行い、ホームページ・ビルダーのWordPressテーマ制作にも協力。
今野印刷の五十嵐氏は、フロントエンド・エンジニア兼ディレクターであると同時に、WordPress日本語フォーラムの世話役としても活動している。

この記事のポイント

制作会社がhpbユーザーにリーチできるマーケットプレイスが登場

――昨年発売のホームページ・ビルダー(hpb)17から、hpbとWordPressの連携が始まりましたが、WordPressコミュニティ内ではどのような反応でしたか。

堀家 隆宏氏
株式会社デジタルキューブ
堀家 隆宏氏
五十嵐 和恵氏
今野印刷株式会社
ネット事業部
フロントエンジニア
五十嵐 和恵氏

堀家WordPressユーザーにとってhpbは、今まであまりなじみのないものだったので、「おお、hpbが来たか!」という驚きが最初の率直な反応です。今まで小規模事業者向けのホームページ制作をしていて、WordPressというキーワードは知っていたがとっつきにくかったという人には、よい入り口になっていると思います。

五十嵐一方で、私の周りでは「じゃあ私たちもhpbで使えるWordPressのテーマを作ることができるの?」という反応がありました。「お客様にhpbで更新できますよと勧めるときに、オリジナルのデザインにして欲しいというオーダーが絶対にあるんだけど、制作会社って参入できるの?」と。

――それができるようになったのが、次期hpb18ということですが、開発の背景から教えてください。

ジャストシステムhpbは今までパッケージ同梱という形で、多数のテンプレートを提供していました。非常に人気で、テンプレート同梱数の多い上位ラインアップの売上げが伸びています。一方で、お客様のビジネスは多岐にわたりますので、ぴったりのものが必ずしも見つからないという状況もありました。

多岐にわたるビジネスニーズに1社だけで対応していくことは限界にきていたんです。そこで、弊社だけでテンプレートを提供するのではなく、コミュニティや制作会社の方と協業することによりユーザーのニーズに応えていきたいと考えました。それがテンプレート販売の「hpb マーケットプレイス(ホームページ・ビルダー・マーケットプレイス)」というサービスです。

マーケティングからサポートまでジャストシステムにお任せ

――デザイナーや制作会社の人が作ったテンプレートを、hpbユーザーが使えるようになるということですか。

ジャストシステム制作者の方が作ったWordPressテンプレート(テーマ)をマーケットプレイスに出品すると、hpb18の画面上から探せるようになるので、そこで気に入った物を購入できるようになります。ユーザーはそのWordPressテーマをhpbで編集し、自分のサイトとして公開できます。

ホームページ・ビルダー18では、hpb マーケットプレイスからWordPressテーマを購入できるようになる。

――制作者がhpb向けのWordPressテーマを出品するまでの、具体的な手順を教えてください。

ジャストシステムまず、hpb マーケットプレイスのサイトが8月28日にオープンします。出品者のためのデベロッパープログラムのサイトは10月4日オープン。実際に販売できるようになるのは12月からですが、次のような手順になります。

  1. 8月28日にスタートするhpb マーケットプレイスのサイトにアクセスし、ベーステーマの「_hpb(アンダースコア・エイチピービー)」をダウンロード

  2. 「_hpb」をベースに、WordPressのカスタムテーマを作る

  3. 10月4日にスタートするDeveloper Programのサイトからアカウント登録を行う

  4. hpb for Developer(チェックツール)をダウンロードして、作成したテンプレート(_hpb)をチェックする

  5. 12月にカスタムテーマ用の「CSS」と「イメージファイル」をマーケットプレイスにアップロードし、出品開始

_hpbを今すぐダウンロード

あとは弊社が審査して、数日で販売開始できるようにする予定です。価格は2,000円から、出品者が自由に決められ、売上の70%が制作者に入ります。販売ターゲットや特徴などを書いて、価格を決めてアップロードしてください。注意点は、hpb for DeveloperのプラットフォームがWindowsなことです。

――テンプレートの価格はどれくらいを想定していますか。

ジャストシステムワールドワイドでは、WordPressテーマの価格は60ドルくらいがメインと言われていますので、hpb マーケットプレイスでも平均価格5,000~6,000円と考えています。

ちなみに弊社が販売開始したV12からの累計出荷本数は現在までで100万本に達しており、加えて弊社へユーザー登録をされているhpbユーザーが20万人ほどいます。さらに最近ではビジネスでの利用をされる新規のお客様が増加傾向にあります。そういった多くのhpbユーザーに向けて販売できるようになります。

――買う方としては安いですが、売る側にとってはどうでしょう。

岡本 渉氏
株式会社デジタルキューブ
岡本 渉氏

岡本1社に対してだけ売るわけではないので、数が出ればそれなりに利益があると思います。それに、販売が自動化されて営業活動がいりませんし、出品したテーマのサポートもジャストシステムがやってくれます

堀家テーマは納品すればするほどサポートが増えますから、サポートの手間や人数をあまりかけられない制作会社にとっては、かなりありがたいでしょう。

――ジャストシステムが無償でサポートをしてくれるのですか。

ジャストシステムもちろん今まで通り無償のサポートもございますが、さらにhpb マーケットプレイスと並行して、「ホームページ・ビルダー 制作アシスト講座」というサービスを開始します。よくあるWebで動画を見るというものではなく、インストラクターが実際に応対します。

制作アシスト講座は、今回新たにサポート体制として用意したエンドユーザー向け有償のサービスです。メニューは2つで、1つは「グループレッスン」で、公開まで何をどうすればいいかわからないという初心者向け講座をいくつか用意します。もう1つはマンツーマン方式の「プライベートアシスト」で、遠隔操作で直接ユーザーのホームページ制作をお手伝いします。

堀家品質の良いテンプレートが早く作れて、ジャストシステムのサポートがある。これは鬼に金棒。とりあえず「_hpb」をダウンロードしてテーマを作ってみるといいんじゃないかな。

ジャストシステムhpb17でWordPressのサイト運営を始めたという方は非常に多いのですが、PHPの編集やセキュリティにはあまり詳しくない方が多く、うまく動作しなかったり、セキュリティが不十分なWordPressサイトにしてしまうリスクがあったのも事実です。しかし、今回新たに用意したベーステーマ「_hpb」でWordPressテーマを作れるようになったことで、hpbで作ったWordPressサイトは全部メンテナンスしやすく安心できるWordPressサイトになります。

――それはいいですね。変な作り方をしたサイトのリニューアルを、デジタルキューブに「なんとかして」と持って来られて、勘弁して……という事態を避けられる。

堀家そういうことです(笑)。

――マーケティングの面では、どのようなサポートをするのでしょうか。

ジャストシステムまず、hpb マーケットプレイスで紹介する際に、ユーザーの属性からレコメンド技術を駆使して、お勧めテンプレートを紹介します。また、hpb登録ユーザー向けのメールでも、新しいテンプレートができたことを宣伝します。

hpbならPHPに触らなくてもWordPressテーマが作れる

――制作者側の視点から、テーマ制作時の注意点やアドバイスはありますか。

PHPを書かなくてもいいので、その部分の品質が保証される。セキュリティの信頼性やメンテナンスのしやすさにも影響します。

堀家よくできた仕組みなので注意点は特にありません。制作者視点で良かったなと思うのは、PHPを書かなくていいことです。

WordPressテーマはスタイルシートとPHP(PHP+CSS+image)でできていますが、PHPのソースコードの品質によって、セキュリティの信頼性やメンテナンスのしやすさが違ってきます。そこが、テーマ制作者のスキルによってバラバラ。けれど、hpb マーケットプレイスではPHPを書かなくていいので、その部分の品質が保証されます

――これまで、WordPressテーマはどのように販売していたのでしょうか。

堀家WordPressの公式ディレクトリで公式テーマを売ることはできないし、登録にあたってはPHPの品質チェックやライセンス準拠などのチェックが非常に厳しいんです。そのため、公式ディレクトリではなく有料テーマを販売しているサイトなどが乱立していますが、これは結構ヤバイんですよ。

――危ないというと、どんな問題があるのでしょうか。

岡本たとえば、きちんと審査をしていなくて、既存のプラグインと組み合わせると動かないことがあります。その場合に教えてもらえる人も少ない。

五十嵐WordPressの日本語フォーラムで「海外のサイトで有料テーマを買ったのですが、こういうプラグインを使おうとしたら動きませんでした。どうしたらいいですか」という質問もあるのですが、ソースコードがこちらにないので答えられないんです。

公式ディレクトリで配布されているものなら、だれでも入手できるので原因を調べて回答を出せますが、公式以外の有料テーマはそのソースコードを買って見た人しか答えられません。ですから、セキュリティ的に信頼できるのかもわかりません。

――そういえば、SEOのためのリンクが紛れ込んでいた、という話が昔ありました。

五十嵐つい先日も、おかしなコードが書かれたものの相談を受けました。実はWordPressのテーマや新しいプラグインをチェックするためのプラグインがあるのですが、見た目がきれいだからとか、どこかで紹介されていたからという理由で買った人が、それを知っていて使いこなせるかといえば、難しいでしょうね。

hpb マーケットプレイスでは、ジャストシステムが事前に審査をしますから、品質の心配をしなくていい。極端な話、PHPがわからなくてもスタイルシートと画像を作れればいいだけですから。

太田 樹氏
株式会社デジタルキューブ
太田 樹氏

ジャストシステムそれと、サイトの構成はhpbでやります。つまり、サイトの構成を考えるのはエンドユーザーなので、テンプレート制作時にそれを考慮する必要はありません。

――テンプレート制作のフローが劇的に改善されますね。

太田デザイナーは一番大事な見た目だけに集中できるので楽ですね。裏側を考えなくていい。

WordPressのベーステーマ「_s」から生まれた「_hpb」

――先ほどからサラリと「_hpb」という言葉が出てきていますが、詳しく教えてください。

ジャストシステム「_hpb」というのは、hpb マーケットプレイスに出品するためのWordPressのベーステーマで、ここに安心できるPHPなどのかたまりが入っています。無償配布しますので、出品を検討されている方は自由に試していただけます。これはWordPressのベーステーマである「_s(アンダースコア・エス)」がベースになっています。

――WordPressの「_s」というのは。

五十嵐まず、WordPressのテーマを制作するにはいくつかの方法があります。

  1. 公式テーマをカスタマイズする

  2. 公式テーマ(親テーマ)を継承する形で子テーマを作りカスタマイズする

  3. スクラッチで開発

  4. 最小限のベーステーマセット「_s」をもとにカスタマイズする

自分好みのサイトにする方法として、一番簡単なのは既存のテンプレートに手を加えることですね。たとえば、公式テーマをカスタマイズして使う。ただしこれは、公式テーマがアップデートされたときに、自分が改編した部分がすべて上書きされてしまうので、お勧めできません。

2つ目は、親テーマを「継承」した子テーマを作る方法です。これは、差分だけを作っていくので変更点が少なければ問題ありませんが、カスタマイズするほどファイル数が増えてしまいます。

3つ目は、書籍や解説しているブログを見てスクラッチでゼロから作る。これは、うっかりミスで必要なコードや関数を落とす可能性があり、プラグインがうまく動かないことがあります。

岡本古い書籍の情報をもとに作ったため、うまく動かないということもあり得ます。WordPressはバージョンアップがとても早く、最新の情報は英語だけだったりしますから。

※1 Automattic社

オープンソースのブログ・CMS「WordPress」の共同創始者・開発者が設立した米国のブログサービス提供事業者。

五十嵐というわけで、最もお勧めなのが「_s」というベーステーマを使う方法です。これは、Automattic社※1WordPress.comWordPress.orgの公式テーマを作る際に基本にしている、最小限のWordPressテーマのセット一式です。

たとえば、既存のテーマに手を加えるときに、スタイルシートや関数がどこにあるか探すのに苦労することがありますよね。そういうことがないように、余計な装飾が何もついていない、ベースとなるテーマです。

また、「_s」の公式サイトUnderscores.meにジェネレーターが備わっています。会社名やサイト名など、自分で使いたい名前を入れてジェネレートのボタンを押すと、その名前のテーマが自動的にダウンロードできます。指定した名前でオリジナルの関数も作ってくれるので、重複の心配がありません。

PHPが苦手なクリエイターでも簡単、CSSと画像をアップするだけ

――「_s」も随時バージョンアップされるのですか。

五十嵐基本的には、独自のテーマを作った時点で「_s」から切り離されて固定化します。なので、WordPressの関数などをある程度自分で追っていかなければならない部分はあります。ただ、既存の制作会社で、特にhtmlとCSSで静的なサイトを作るなら得意、という人がやるにはすごく取り組みやすいでしょう。

――その「_s」をhpb向けにしたものが「_hpb」ということですね。

ジャストシステム「_hpb」をWordPressでそのまま使うこともできますが、特にコーポレートサイトを作るのに最適化されたテーマになっています。「_s」は表紙や画像を使う想定になっていませんが、「_hpb」にはトップページのためのfrontpage.phpがあらかじめ入っていて、そこにトップ画像のスペースをとってありますし、企業サイト向けのカスタム投稿タイプにも対応しています。

その「_hpb」で作ったテンプレート、実際にはPHPを除くテーマスタイルシートとイメージファイル(CSS+image+xml)だけですが、それをマーケットプレイスに上げると、そこでhpbで編集できるようにするための処理をして、hpbユーザー向けに販売します。hpbユーザーがそれをダウンロードするとhpbで編集できる形に展開され、サイトの公開やリニューアルはhpbから行うことができます。

hpbユーザーにテンプレートが届くまでの流れ。
hpbユーザーにテンプレートが届くまでの流れ。

――その結果、テンプレート制作者の工数はどのくらい減りますか。

五十嵐工数的にはケースバイケースでしょうが、今までPHPが苦手だからWordPressテーマには手を出せなかった人でも開発できるようになります。「_s」の場合は関数を自分で追っておく必要がありますが、そこもジャストシステムがチェックしてくれます。

堀家まず、ベーステーマを使うことでPHP関係の工数がまるっとなくなりますので、そこで半分になります。そのうえカスタム投稿タイプという、コーポレートサイトなら必須の作業もかなり楽になる。作業の早さに加えて、品質も確保できる

岡本僕はサーバーの設定がメインの仕事ですが、サーバーの移設やPHPのアップデートという作業があります。そのとき、いまだに最新安定版のPHP 5.4だとうまく動かないテーマを使っている人もいて、それを直すのにすごく手間がかかることがあります。「_hpb」であれば、ジャストシステムがメンテナンスしてくれるので、それがなくなります。

WordPressとともにホームページ・ビルダーも更新を続ける

――マーケットプレイスのサポートは、WordPressの更新に合わせてずっと続いていくと考えていいのでしょうか。

ジャストシステムhpbが在るかぎり、アップデートします。WordPressがどれだけバージョンアップして変わっても、死にものぐるいでついて行きます(笑)。

五十嵐昨年hpbがでたときには、「私たちもhpbのテンプレートを作れるの?」というのが周り制作会社の反応でした。一方で、hpbがWordPressに対応したことを知らない制作会社もいた。今回から制作会社も作ってくださいという動きになりましたから、いい感じに進んでいくと思います。

ジャストシステムhpbユーザーの想定以上の多様なニーズを認識し、制作会社の方からテンプレートを作れないのかという声をいただいたのが昨年。それをマッチングできるのがhpb マーケットプレイスなんです。

もっと詳しく聞いてみたいという方は、ジャストシステムとしてWordPress系のイベントにも出展するので話しかけてください。直近では、8月31日の「WordFes Nagoya 2013」というイベントに出展しますし、9月14日の「WordCamp Tokyo 2013」にも参加する予定です。

左から、ジャストシステム 國府田 大氏。デジタルキューブ 堀家 隆宏氏。今野印刷 五十嵐 和恵氏。デジタルキューブ 太田 樹氏と岡本 渉氏。ジャストシステム 中江 秀幸氏。
この記事の筆者

取材・執筆

柏木 恵子
ITジャーナリスト

撮影

津島 隆雄

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