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アカウント/プロパティ/プロファイル:押さえておきたいGoogleアナリティクスの3階層と制限[第62回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

この記事を読むのにかかる時間: 約 6 分

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだが、正式なサポートがない。本連載では、その導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

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衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

これからしばらく、Googleアナリティクスのトラッキングコードのカスタマイズに関して話をしていく。

本格的なカスタマイズの説明に入る前に、Googleアナリティクスを自分のサイトや組織の事情に合ったカスタマイズをするために知っておきたいポイントをお話ししよう。

Googleアナリティクスでは、次の3階層構造がすべての基本となる。

  • アカウント
  • プロパティ
  • プロファイル

結論から言えば、次のようなものだ。

レポート閲覧単位のまとまりが「プロファイル
ユニークなトラッキングコードで収集できるデータのユニークなまとまりが「プロパティ
その複数のプロパティを統括するのが「Googleアナリティクスのアカウント

※ログインに利用する「Googleアカウント」と区別するために、ここでは「Googleアナリティクスのアカウント」と記載する。

プロパティとプロファイルの関係については、以下の記事でも解説したので、参照してほしい。

これらの関係や制約事項について述べたうえで、どのように「Googleアナリティクスのアカウント」や「プロパティ」「プロファイル」を作ったらよいのかを例示していきたい。

管理画面上での表示のされ方

まず管理画面上で、この3つの要素がどのように表示されるかを見ておこう。

レポート画面から「アナリティクス設定」をクリックして入るプロパティ管理画面(図1)でも、ログイン後の「アカウント一覧画面」(図2)でも、

  • 赤枠部分が、Googleアナリティクスのアカウント名
  • 青枠部分が、プロパティID
  • 緑枠部分が、プロファイル名

になっていて、Googleアナリティクスが3階層構造で管理されていることがわかる。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックする
  2. アカウントの一覧に表示されたアカウントをクリックする
  3. プロパティの一覧に表示されたプロパティをクリックする
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図1:プロパティ管理画面
図1:プロパティ管理画面
操作手順
  1. グローバルナビゲーションの左端にある[ホーム](家のマーク)をクリックする
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図2:アカウント一覧画面
図2:アカウント一覧画面

GoogleアナリティクスのアカウントID

図1図2の画面で表示されているのはGoogleアナリティクスのアカウントだが、GoogleアナリティクスのアカウントIDは、アカウント名を選択(図3赤枠部分)したアカウント管理画面(図3青枠部分)に表示されている。

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図3:該当アカウント管理画面
図3:該当アカウント管理画面

プロパティIDの構造

今回の例として挙げている「衣袋のブログ」アカウントのアカウントIDは、「39395103」だ(図3青枠部分)。

そして、このアカウントIDは、プロパティID「UA-39395103-1」(図2青枠部分)の真ん中の数字「39395103」と同じである。

このようにプロパティIDは、「UA-39395103-1」といったパターンで、

  • UAの後にハイフン
  • 続いて、7~8桁の数字(=GoogleアナリティクスのアカウントID)
  • その後に、ハイフン
  • 続いて、1から順にプロパティごとに番号が採番

という構造の文字列になる。

トラッキングコードとプロパティの関係

さて、プロパティ管理画面(図1)のトラッキング情報のタブ(図1黒枠部分)を選択して表示される画面内にでてくるトラッキングコードは、図4のようになっている。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックする
  2. アカウント管理画面に表示されたアカウントをクリックする
  3. プロパティ管理画面(図1)に表示されたプロパティをクリックする
  4. [トラッキング情報]のタブ(図1黒枠部分)をクリックする
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図4:トラッキングコード
図4:トラッキングコード

このトラッキングコードの図4赤枠部分の文字列は、図1及び図2の青枠部分で示した「プロパティID」と一致しているのがわかるだろう。

つまりユニーク(一意)なトラッキングコードを指定する固有の番号が「プロパティID」である。言い換えれば、データを収集する元データ群を区別する単位が「プロパティ」ということだ。

このユニークなトラッキングコード単位にカスタマイズを加えるのが、元データの収集レベルでのカスタマイズということになる。つまりトラッキングコードのカスタマイズは、「プロパティ」レベルでカスタマイズを加えるための方法ということになる。

プロファイルとプロパティの関係

次に「プロファイル」だ。1つの「プロパティ」に対して複数の「プロファイル」を作成できる。

「プロファイル」は何かというと、「プロパティ」レベルで収集した元データに対して、集計のために情報を絞り込んだり、加工したりするために「フィルタ」を掛けたり、目標設定をしたりしたうえで作り上げた、「集計データ群」、それが「プロファイル」だ

複数のプロファイルを作成すれば、収集したデータそのもの(プロパティ)には手を加えることなく、加工方法や目標設定が異なる別の集計データ群を作ることができる。各種プロファイルの基本的な設定については下記の記事も参照してほしい。

  • Googleアナリティクスのパターン別階層構造
  • 構造を設計する際に考慮すべきポイント

Googleアナリティクスのパターン別階層構造

つまりGoogleアナリティクスは、上位から「Googleアナリティクスのアカウント」→「プロパティ」→「プロファイル」という階層構造にあり、「親」→「子」→「孫」の関係になる。

要素関係
Googleアナリティクスのアカウント
プロパティ
プロファイル

先に見た図2の「衣袋のブログ」→「ブログA」→「すべてのウェブサイトのデータ」の例は、1つの親に対して、子が1つ、その子に1個の孫が紐づいている最もシンプルなケースだ。

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図2:アカウント一覧画面
図2(再掲):アカウント一覧画面

Googleアナリティクスの階層構造を図にしたのが、図5だ。ここで、親子関係が「1対1のケース」と「1対多のケース」を取り上げて、説明してみよう。

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図5:Googleアナリティクスのアカウント、プロパティ、プロファイルの関係
図5:Googleアナリティクスのアカウント、プロパティ、プロファイルの関係

1対1のケース

1対1のケース(図5赤枠部分)は、親「Googleアナリティクスのアカウント」に対して、子「プロパティ」が1つ、その子に対する孫の「プロファイル」が複数(図5では3つ)という構造になっている。

1つのGoogleアナリティクスのアカウントに対して1つのプロパティを割り当てて、該当のドメイン名を計測している。そしてそのプロパティに対しては、3つのプロファイル(レポート群)を作ってデータを見ているということだ。

これは、たとえば、個人が1つのドメイン名で、独立したブログを計測するような場合があてはまる。

1対多のケース

これに対して、個人が3つのドメイン名で、それぞれ独立したブログを計測するような場合が、1対多のケースにあたる。この3つのドメイン名のデータは全部自分しか見ないので、GoogleアナリティクスのアカウントIDを1つずつ分ける必要がないと判断して、1つのアカウント傘下にまとめてしまうという考え方だ。

図5青枠部分のケースでは、1つのGoogleアナリティクスのアカウントに対して3つのプロパティを作成している。1つ目のプロパティに対しては3つのプロファイルを作成し、残り2つのプロパティに対しては1つずつのプロファイルを作成したケースだ。

ちなみにこのケースでは、新しいプロパティを作成すると、自動的に末尾の数字が1つずつ増えていく。1つ目のプロパティIDが「UA-30344807-1」であれば、次のプロパティIDには「UA-30344807-2」が割り当てられ、その次のプロパティIDには「UA-30344807-3」が割り当てられることになる。

構造を設計する際に考慮すべきポイント

では、どのような点を考慮して、1つのGoogleアナリティクスのアカウントの対象範囲に収めるべきプロパティ、プロファイルの構造にしたらよいのだろうか。

  • どこまでの範囲を1つのまとまりとして計測・集計・分析したいのか
  • ドメイン名やサブドメインの物理的構造と、計測対象範囲や管理範囲の粒度
  • アクセスの規模とシステム上の制約の関係

などによってそれぞれ事情が異なるので、すべてに共通する正解がある訳ではないが、そのヒントとなる項目を以下に挙げておこう。

なお、上記「ドメイン名やサブドメインの物理的構造」とは、URL構造のことを指す。つまり、ドメイン、サブドメイン、ディレクトリ、動的ページならパラメータまでを含む。これらを設計するときに、アクセス解析のしやすさを考慮に入れることで、Googleアナリティクスでの分析が、少しはしやすくなるということだ。

  1. プロファイルは合計で50個まで

    1つのGoogleアナリティクスのアカウント配下のプロパティ群に対して作れるプロファイルの総数の上限は50個だ。多くのドメイン名やサブドメインを保有している組織は、この制限に注意が必要だろう。

  2. 計測ページビュー数は月間1,000万まで

    AdWordsアカウントとリンクしていない場合、1つのGoogleアナリティクスのアカウントに対して月間計測ページビュー数の上限が1,000万に制限されている。これはその1つのGoogleアナリティクスのアカウントに属するすべてのプロファイルの合計ページビュー(厳密に言えば、イベントなども含めたヒット数)である。

  3. データを個別に識別できるのは1日7.5万ユニークレコードまで

    プロファイル単位で、1ディメンションにつき、1日7.5万ユニークレコードを超えるデータは個別に識別できなくなる制限がある。その場合にレポート上では、まとめて「(other)」のように表示される。そのため巨大サイトなどでユニークURL数が膨大にある場合は、1つずつの明細が出力できない場合もあり得る。パターン数の多いキーワードについても、同様の制限に引っ掛かりやすいはずだ。なおこの「(other)」については、下記記事も併せて参照してほしい。

  4. アカウントには必ず1人は管理者が必要

    レポート閲覧ユーザーについてはプロファイル単位で閲覧を管理できるが、1つのGoogleアナリティクスのアカウントに対して1人以上の管理者が必要で、その管理者はアカウント配下のすべてのプロファイルにアクセスして、データ閲覧と各種設定を行うことができる。

    なおユーザーの役割に関しては変更がアナウンスされている。具体的には、「管理者」と「ユーザー」の2つではなく、「ユーザー管理」「編集」「閲覧」の3つになり、この3階層のどれでも割り当てられるようになるといったものだが、執筆時点では確認できていない。今後、権限の付与についての変更が予想されることを付け加えておきたい。

大企業などで頻繁に新規ドメイン名が作られるような場合は、あとあとの事も考慮に入れながら、最初の構造設計をする必要があるだろう。

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この記事の筆者
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ユーザー 衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) の写真

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

著書など:
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