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「ランディングページ」と「直帰率」を理解する[第18回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 6 分

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

今回は、「ランディングページ」のレポートと、「直帰」の定義や直帰率の計算方法を解説する。

まずは「ランディングページ」からだ。

ランディングページとは?

ランディングページの定義は難しくない。ユーザーがWebサイトに「訪問」してきたときに、最初に閲覧したページのことだ(訪問の定義については、「訪問数」を理解する[第11回]で詳しく解説してある)。

「ランディング(landing)」というのは「上陸する」「着陸する」「着地する」という意味の英語なので、ユーザーがサイト外からやって来て、自社サイトに「上陸した」ページ、というイメージなのだろう。

アクセス解析ツールによっては、「入口ページ」「閲覧開始ページ」などということもある(Googleアナリティクスでも以前は「閲覧開始ページ」と表記されていた)。

「ランディングページ」を確認できるGoogleアナリティクスのレポート

Google アナリティクスでは、[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポート(図1)で、ランディングページになった訪問の多い順に一覧で見ることができる。

操作手順
  1. ページ上部のオレンジ色のメインメニューで[標準レポート]をクリックする。
  2. 画面で左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする。
  3. メニューが開くので、[サイト コンテンツ]をクリックし、開いたメニューから[ランディング ページ]をクリックする。

これで、「ランディング ページ」というページが表示される(図1)。

図1:[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポートの一部
図1:[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポートの一部

レポートについては、それほど解説は必要ないだろう。最初にレポートを開いたときには、集計期間中のランディングページが、訪問数の多い順に並んでいる。

1位の「/」は、Webサイトのトップページを表している。トップページから始まった訪問が、1,503回あったということだ。

ただし、各ランディングページへの訪問が、広告経由だったのか、どこかのサイトのリンクをクリックして来たのか、検索エンジンから来たのかは、この画面だけではわからない。これを確認するには、以下の2つの方法がある。


「どこ経由でどのページをランディングページとした訪問が多かったのか」を調べるには、次のようにする。

操作手順
  1. 図1の画面で、表の上部にある[セカンダリ ディメンション]ボタンをクリックする。
  2. その場に表示されるメニューで[トラフィック]>[参照元]をクリックする。

これで、ランディングページと参照元の組み合わせごとに訪問数が表示される(図2)。

図2:[セカンダリ ディメンション]で「参照元」を選んだ状態
図2:[セカンダリ ディメンション]で「参照元」を選んだ状態

図1の「ランディング ページ」のレポートで、訪問数が多かったページに対して、どこ経由の訪問が多かったのかを調べるには、次のようにする。

操作手順
  1. 図1の表で、どこを経由した訪問が多かったのか調べたいランディングページのURLをクリックする。
  2. そのランディングページに絞り込んだレポート画面が表示される(図3)。
    図3:ランディング ページがトップページの訪問に絞り込んだ状態
    図3:ランディング ページがトップページの訪問に絞り込んだ状態
  3. 表の上部にある[プライマリ ディメンション]の右側にある[参照元]のリンクをクリックする(図3の青枠)。

これで、絞り込んだランディングページへの訪問で、どの参照元が多かったのかが表示される(図4)。

図4:ランディング ページがトップページの訪問の参照元
図4:ランディング ページがトップページの訪問の参照元
  • レポートの右端にある「直帰率」とは?

直帰とは? 直帰率とは?

さて、このランディングページのレポート(図1を下に再掲)の右端に、「直帰率」という列がある(図1緑枠)。

図1(再掲):[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポートの一部
図1(再掲):[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポートの一部

この「直帰率」の「直帰」というのは、1ページしか閲覧しなかった「訪問」のことだ。つまり、Webサイトの外からやって来たユーザーが、ランディングページだけを閲覧して、すぐに他のサイトに行ってしまったか、Webブラウザを閉じたか、そのページを開いた状態で30分以上が経過したかで、その訪問を終えたということを表している。

そして「直帰率」とは、訪問数全体のうち、直帰となった訪問数の占める割合を示している数値だ。

直帰率=直帰した訪問数÷訪問数

という計算式で計算して、小数第2位の百分率(パーセンテージ)で表す。

計測期間中のサイト全体の直帰率は、[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポート内のデータ一覧表示部の右上に、「直帰率」として表示されている(図1青枠部分)。図1では62.76%となっている。

サイト全体の直帰率の計算式

このサイト全体の直帰率を計算式で表現すると下記のようになる。

サイト全体の直帰率=サイト全体の直帰した訪問数÷サイト全体の訪問数

たとえば、サイト全体の直帰率は62.76%と表示されているが、これは、サイト全体の直帰した訪問数(4,032回)を、サイト全体の訪問数(6,424回)で割って計算された数値だ(直帰した訪問数はレポートには表示されていない)。

ランディングページ別直帰率の計算式

一方、ランディングページ別に表示されている「直帰率」(図1緑枠部分)は、各ページから閲覧が開始された「訪問」に絞った直帰率のことだ。計算式で表現すると下記のようになる。

各ランディングページの直帰率=そのページをランディングページとする訪問数÷そのページから閲覧が開始された全訪問数

たとえば、ランディングページで1位に表示されているトップページの直帰率は64.80%と表示されているが、これは、直帰した訪問数(974回)を、トップページをランディングページとする全訪問数(1,503回)で割って計算された数値だ(直帰した訪問数はレポートには表示されていない)。

直帰率の注意点:
トラッキングコードをカスタマイズすると直帰率のデータに影響を与える?

ここからは、かなりGoogleアナリティクスを使いこなしている中級者以上の方向けの内容だ。まだ始めたばかりの人や、これから始めようと考えている人には、まだ理解できないかもしれないので、読み流していただいてかまわない。

一般に直帰率は低い方が望ましいとされる。

1ページで完結するコンテンツもあるので断定することはできないが、一般的には、ユーザーのニーズにマッチしてないコンテンツが表示された場合、すぐにサイトから離れてしまう、つまり直帰することになると推測されているからだ。

そのため直帰率は非常に重要な指標の1つとして捉えられる場合が多い。

ただし、Googleアナリティクスのトラッキングコード(JavaScript)をカスタマイズすると、この直帰率のデータに大きな影響を与えてしまう可能性があることに注意してほしい。この点について解説しよう。

カスタマイズの方法によっては、実際には計測対象サイト内のWebページを1ページしか閲覧していない直帰の訪問が、Googleアナリティクスのデータ上では直帰ではないと扱われてしまう場合があるのだ。

そういった影響を与えるカスタマイズの例としては、そのページで外部のページへのリンクをクリックした行為を計測したり、マウスの特定の動きを検出したりするようなトラッキングコードがある。そうしたカスタマイズを行っている場合、原則としてそれらの計測もGoogleアナリティクス上は「1ページ見られた」といった具合に扱われ、直帰にならないことがあるのだ

具体例でお話ししよう。

たとえば、Googleアナリティクスのトラッキングコードをカスタマイズすると、外部のページへのリンクをクリックした行為を計測できる。その方法としては、リンクがクリックされると自動的に、次のいずれかの方法で「クリックされた」情報を追跡することになる。

  • 仮想ページビューを割り当てる方法
  • イベントトラッキング(イベント名を付与する)を利用する方法

前者はクリックという行為が仮想のページのページビューとしてカウントされ、後者は割り当てたイベント名で1イベントがカウントされるというカスタマイズの計測だ。

前者の仮想ページビューを使った場合の具体例で見ていこう。

仮想ページビューを割り当てる場合

ページA閲覧 → ページAにあるリンクをクリック→ 外部のページ
図5:通常の閲覧パターンの例

図5の通常のケースでは、ページAから閲覧が開始され、そこで外部のページへ移動したことになる。この場合はページAがまずページビューとして1カウントされ、直帰したことになるので、ページAをランディングページとした訪問に対して直帰が1回カウントされる。

これに対して、次の図6を見ていただきたい。

ページA閲覧 →リンクをクリック(仮想ページビュー)→ 外部のページ
図6:仮想ページビューが割り当てられた閲覧パターンの例

ページAから閲覧が開始され、そのページAの中にある外部へのリンクのクリックが計測されたケースだ。

ユーザーは、ページAを閲覧して、リンクをクリックして、外部サイトのページへ移動しているわけなので直帰に見える。しかし、クリックに仮想ページビュー(実際にページを見ていないが、ページを見たとしてカウントする設定)が割り当てられているため、Googleアナリティクス上ではクリックが2ページ目の閲覧として計測され、ページAで直帰したことにはならない。つまり図6では、赤字部分がそれぞれ1ページビューとカウントされる。

図6のような、実際は直帰の範疇に入るべき訪問が、直帰としてカウントされないと、結果として直帰率が低く計算される。もし直帰率が異常に低いような場合は、仮想ページビューの割合が高くないかをチェックしてみよう。

イベントトラッキングを利用する場合

イベントトラッキングを利用する場合も基本的には同様だ。リンクにイベントトラッキングが設定されている場合、リンクがクリックされると、ページビューではなくイベントがカウントされるのだが、直帰の扱いに関して言えば、仮想ページビューと同様に、ページビューとして扱われる。

ページA閲覧→リンクをクリック(あるイベント)→ 外部のページ
図7:イベントトラッキングを利用した閲覧パターンの例

図7の例では、太字部分のページAが1ページビュー、「あるイベント」も1イベントとカウントされ、イベントがページ閲覧と同様に扱われるので、ページAでの直帰とはならない

もし直帰率が異常に低いような場合は、仮想ページビューだけでなく、イベントトラッキングの割合はどうかもあわせてチェックしてみよう。

ただし、イベントトラッキングに関してだけは、このような直帰率への影響をなくすようなオプションが2011年10月に追加された。そのオプションを利用すれば図7のようなケースでもページAで直帰したとみなされるようになる。いずれにしても、直帰率のデータを見る際には、このように実態より直帰率を押し下げてしまう計測のカスタマイズが存在することに気をつけよう。

衣袋教授の丸2日でアクセス解析を徹底的に学ぶ講座アクセス解析ゼミナール」の「Web担当者の学校」版を2012年9月7日と9月14日に開催します。あなたも衣袋教授のアクセス解析論を身につけませんか? → https://web-tan.forum.impressrd.jp/school/analyst

衣袋 宏美

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

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