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ツイートとリツイートはリソースを食いつぶす関係にある [企業ホームページ運営の心得] | Web担当者Forum

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Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の275

Webの醍醐味で登壇

しばらくぶりに渋谷に出向いて「セミナー」をすることになりました。仕事も生活も足立区内で完結しており、満ち足りていれば現状に甘えるのは人の常。加えて、追いかけてくる週平均4本の締め切りという適度な刺激もあることから、打診されたときの心境を正直に述べれば「面倒だなあ」。

予定は8月末とあり、原稿や資料を準備するならお盆休みがつぶれるのは必至です。しかし、主催者側から推薦してくれた人の名前を聞いて手のひらを返します。それはWebの「醍醐味」を思い出したからです。

今回はセミナーの書き下ろしをベースにした、ネットビジネスの「究極の必勝法」について、「先取り」でお届けします。

集客の5つのタイプ

青い鳥は裏庭で見つかるように、真実はいつもそばにあります。そして「究極の必勝法」も呆れてしまうほど簡潔な言葉、次の一言に集約されます。

集客

SNSでもブログでも、ガラケーからスマホに変わっても、Webを商売に活かすには「集客」が鍵となり、「集客」ができればどんなサイトでも(ほぼ)成功が約束されます。

Webにおいての「集客」は大きく分けて5つのタイプがあります。

まず、SEOに代表される「検索エンジン(自然検索)」を窓口とするものと、リスティング広告やバナーのような「広告」。そして「レコメンド(推薦)」です。古来は「リンク集」とも呼ばれていたもので、米国ヤフーの創業期のビジネスモデルです。しかし今では、正体を隠して推薦する「ステマ(ステルスマーケティング)」と紙一重となり、難易度の上がったこの方法での「集客」をメインとするのは得策ではありません。

“いいね!”の犯した罪

そこでオススメは残りの2つ、「コンテンツ型」と「コミュニケーション型」の集客です。しかし、両者はSNSの台頭により混乱に陥り、十分に活用されていないのが現状です。

「コンテンツ型」とは、ブログのエントリーやTwitterのつぶやきやホームページそのもので、発信する情報の魅力により客を引きつける、いわば「王道」です。ところがTwitterにより生まれた「短文」というトレンドが、読み物としての魅力を持つコンテンツを減少させています。

もう1つの「コミュニケーション型」は、エントリーへのコメントやリツイート、Facebookにおける「いいね!」や「シェア」といった、リアクションによる返報性や、接触を繰り返すことで生まれる親近感を利用するものです。訪問者が一言を書き残していった、20世紀の「ゲストブック」の系譜にあるWebの「醍醐味」です。しかし「いいね!」や「リツイート」と増えすぎた接点によって、1つひとつのコミュニケーションが希薄化しています。

リソースの奪い合いとなる理由

混乱の理由はWeb言論にみる、SNSへの過剰なまでの「双方向性の賛美」です。だれもが気楽に情報の発信者となり、だれでもコミュニケーションできると繰り返したことで、両者への対応を当然とする強迫観念が生まれたのです。

しかし、コンテンツとコミュニケーションはリソース(時間という資源)を食いつぶす対立関係にあります。Twitterから生まれた「短文トレンド」の背景には、タイムラインを眺めリツイートすることで消費され、少なくなった執筆時間もあります。他方、リツイートやコメントを繰り返し、だれよりもすばやい「リアクション」を目指していては、他人の目を引くネタを取材し、感銘を与える文章を推敲する時間など作れはしません。

盲目的に双方向を目指せば、長所と短所がつぶし合いを始めます。

Web担当者の本業

ブログを書きながら、他人と上手にコミュニケーションを取っている人もいることはいます。しかし、大半はWebを生業とする人々で、彼らにはWebに十分接触する「時間」があります。しかし、普通(非Web系)のWeb担当者は、「本業」に加えてネットでの集客を行わなければなりません。すると必然的にリソースが制限(時間的制約)されます。その限られたリソースのなかで、コンテンツを作り、コミュニケーションをとろうとすれば、どっちつかずの中途半端になるのは避けられません。

つまり、非Web系企業のWeb担当者は、コンテンツ型かコミュニケーション型のどちらかに軸足を置かなければならず、これはSNSだけに限った話ではありません。すべてのWebにおいて期待した集客効果は得られないのです。

ちなみにコンテンツ型に属するタイプの特徴は「自己顕示欲」です。くだらない日常のあるがままや、拙い駄文を世界中に公開できるのは強烈な自己顕示欲がなせる技です。

Webに対する最も多い誤解

物書きなどは自己顕示欲の塊で、ご多分に漏れず私も「コンテンツ」を集客の要としていますが、人と触れあう醍醐味は否定しません。今回のセミナーに推薦してくれたのは「おちゃのこネット株式会社」の岡野さん。かつて拙著をご自身のブログでお褒めいただいて以来、細々とネット上で「コミュニケーション」をとっています。

つまり、コンテンツとコミュニケーションは「0対100」ではなく、優先して得意分野にリソースを割り当てるべきだということです。そしてセミナーをお受けしたのは書評へのお礼です。いうなれば数年越しの「夏休みの宿題」。お盆休みも潔く返上しました。

あるセミナー講師は「商売で大切なものは人」と壇上で語ります。講演が終わるとニヤリと笑い「本当は立地だよ」と耳打ちします。すでに不利な立地に店がある客(受講者)のために、「きれいごと」で希望を与えるのだそうです。

同じ光景をWebの世界でもよく見かけます。こちらは「人」という個別要因を遠ざけ、ネットサービスやツールを使えば、だれでも同じ結果に至るかのような喧伝です。成功理由を「個人の能力差」と指摘すれば、再現性がなくなり読者の興味が萎えるからでしょう。

しかし、事実は異なります。Webは「個人の能力を最大化」します。情報発信に長けた「コンテンツ型」、他人と解け合う「コミュニケーション型」、どちらにしても、割り当てたリソースを係数として最大化してくれるのがWebでありSNSです。己の個性を活かすこともまた「必勝法」の1つです。

今回のポイント

ネット必勝法とは集客

能力からリソースの割り当てを決める

心得コラム著者の宮脇氏講演のセミナー「中小企業の成功事例が聞けるEC・アフィリエイトセミナーin渋谷」が8月28日に開催されます。ネットショップの立ち上げ・運用からサイトへの集客方法まで、導入事例をもとに、おちゃのこネット×ペイパル×A8.net×アズモードが解説します。

申し込みはWebサイトから → https://support.a8.net/ec/seminar/a8120828/

宮脇睦

宮脇 睦(みやわき あつし)

プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。

制作、営業の双方の現場を知ることからウェブとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供し、一業種一社、制作案件は足立区内のみという営業施策をとっている。本業の傍らメールマガジン「マスコミでは言えないこと」を発行。好評を博す。著書に『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)、冷静な視点からのIT業界分析に「週刊ポスト」など、様々な媒体から情報発信を続ける。

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