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クリックマップの落とし穴を避けながら、一歩進んだ使い方をする4つのポイント [第52回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

今回は前回に引き続き、Googleアナリティクスのクリックマップのレポートを取り上げる。クリックマップは、一見使いやすそうに見える。しかし、じつはクリックマップに表示された数字は、そのまま読むとミスリードを誘発する可能性がある

今回は、クリックマップのデータを活用する際に、落とし穴となりそうなポイントをいくつか紹介しつつ、一歩進んだ次のような使い方について説明したい。

  • リンクごとのクリック数の詳細を表示するには?
  • クリック率「%表示」の母数は何か?
  • トップページ以外のクリックマップを表示するには?
  • 単純なクリック状況以上のデータを表示するには?

少し込み入った仕組みの説明が多くなるが、正しい理解をしてから活用しないと本末転倒なので、少し辛抱して読み進めていただきたい。

リンクごとのクリック数の詳細を表示するには?

クリックマップを表示するには、次のようにする。

[コンテンツ]>[サイトコンテンツ]>[すべてのページ]レポート(図1赤枠部分)で[ページ解析]のタブ(図1青枠部分)を選択すると、トップページのクリックマップが表示される。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面の左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サイトコンテンツ]をクリックし、[すべてのページ]をクリックする(図1赤枠部分)
  4. [ページ解析]タブをクリックする(図1青枠部分)
図1:[コンテンツ]>[サイトコンテンツ]>[すべてのページ]レポートの[ページ解析]タブ
図1:[コンテンツ]>[サイトコンテンツ]>[すべてのページ]レポートの[ページ解析]タブ

このレポートは、さまざまなページでどのサイト内リンクがクリックされているかを確認できることは前回述べた。クリックがあったリンクは「%表示」でクリック率が表示されているが(図1緑枠部分)、ここにマウスオーバーすると(図2赤枠部分)、その内容詳細がツールチップで表示される図2)。

図2:ツールチップの表示例
図2:ツールチップの表示例

図2の例では、このリンクで2クリックがあり、その割合が0.2%であること(図2青枠部分)を示している。さらにこのリンクのリンク先は「 /about 」であること(図2緑枠部分)がわかる。

他にも同じリンク先のリンクがページ内にある場合

じつは、同じページ内に、他にも同じリンク先のリンクがある場合、ツールチップの表示が変わる。例を示そう(図3)。

図3:ツールチップの表示例
図3:ツールチップの表示例

この場合のリンク先は「 / 」(図3緑枠部分)だが、もう1か所このページ内に同じリンク先があるということが表示されている(図3青枠部分)。

なお、このように同じリンク先へのリンクが複数ある場合は、それぞれのリンクのクリック率とクリック数を表示している部分(図3赤枠部分)には、複数のリンクのクリック数との合計が表示されているので、注意が必要だ。たとえば、あるページへのリンクが、このページの上部と下部の2か所ある場合は、この2つのリンクのクリック数合計が、上部のリンクの場所にも、下部のリンクの場所にも表示される。つまりダブルカウントされ、上部と下部のそれぞれのクリック数を別々に判別することはできないのだ。

このような表示方法になっている理由は、クリックマップの仕組みに原因がある。どういうことかというと、あるページのあるリンクがクリックされると、リンク先のURLごとにクリック(ページ移動)数が集計されているのだ。

レポート閲覧時には、該当ページの現在の画面が取得され、レポートに表示され、リンクの位置には、そのリンクの現在のリンク先URLのデータが、単純に表示される。この際、同じページ内に同じリンク先を持つリンクがあっても区別しないため、合計されたデータが複数個所にそれぞれそのまま表示されるのだ。

リンクごとにクリック数を判別したい場合はどうすればいいのか?

それぞれの場所別のクリックを判別したい場合、それに対処する方法はいくつかある。その1つはトラッキングコードに追記を行い、拡張リンクのアトリビューション設定を有効にする方法だ。

まずトラッキングコードへの追記だが、標準のトラッキングコードに下記の赤字部分を追記すればよい(黒字の部分はすでに書かれているはずの内容)。

var _gaq = _gaq || [];var pluginUrl = 
 '//www.google-analytics.com/plugins/ga/inpage_linkid.js';
_gaq.push(['_require', 'inpage_linkid', pluginUrl]);
_gaq.push(['_setAccount', 'UA-XXXXXX-Y']);
_gaq.push(['_trackPageview']);

そしてGoogleアナリティクスの[アナリティクス設定]で、図4のように[プロパティ設定](図4赤枠部分)の「ページ解析」のオプション指定で、「拡張リンクアトリビューションを使用する」のチェックボックス(図4青枠部分)にチェックして、[適用]ボタンをクリックしよう。

図4:拡張リンク アトリビューション
図4:拡張リンク アトリビューション

このような設定を行うことで、以下のようなことが可能になる。

  • 同じページ内に同じリンク先 URL を持つ複数のリンクがあっても、個々のリンクのクリック数が表示できる
  • リンクにリダイレクトがあってもクリック数が表示される
  • ボタンのリンクや、JavaScriptで書かれたナビゲーションも、クリック数が表示される

詳しくは下記の公式ページを参照してほしいが、従来はリンク先URLだけで判定していたのが、こうすることで、「HTML上のID属性」と「リンク先URL」の組み合わせで判定するようになるので、判定の精度が上がるということだ。

ただし、HTML上のID属性が特定できない場合もあるので、その場合はクリック数が範囲で表示されることがある。実際にトラッキングコードのカスタマイズと拡張リンク アトリビューションの機能を有効にしたレポート例(図5)で確認してみよう。

図5:クリック数が範囲で表示されている
図5:クリック数が範囲で表示されている

クリックマップのレポート表示には、「55%」というように数字が表示(図5赤枠部分)されているが、ツールチップを表示して明細を見ると、クリック率とクリック数のどちらも範囲で示されている図5青枠部分)ことがわかる。データが幅で示されていると、バグか、あるいは設定ミスかと思ってしまうが、正しい表示なので大丈夫だ。詳しくは、下記公式サイトの「クリック数が 1 つの数字ではなく範囲で表示されることがある理由」を参照してほしい。

少し細かくなってしまったが、こういった落とし穴もあるので気をつけよう。どの場所がクリックされたかは、その他にもクリックイベントを取得する方法などがあるが、これについては、本連載で「イベント」を解説するときに取り上げることとしたい。

  • クリック率「%表示」の母数は何か?

クリック率「%表示」の母数は何か?

ちょっと細かい話になるが、クリックマップでの「%表示」の母数について解説しておこう。

まず、図6の画面を見ていただきたい。画面キャプチャーされたページの左上にあるリンクにマウスオーバーした画面だ。ツールチップの明細を見ると、このリンクは283回クリックされ、クリック率が25%(図6赤枠部分)と表示されている。

図6:クリック数の母数は?
図6:クリック数の母数は?

通常クリック率は、次の計算式のどちらかによって算出される。

  • クリック数÷ページビュー数
  • クリック数÷ページ別訪問数

「クリック数÷ページビュー数」で算出されることが多いだろう。

しかし、試しにこのページのページビュー数(図6青枠部分)を分母にして、「クリック数÷ページビュー数」を計算すると14.0%となり、割合は表示されている25%とは異なる。分母を「ページ別訪問数」にしても違う。

では、ここで表示されている割合(%表示)は何を分母(母数)にしているのだろう。答えを先に言ってしまうが、ここのクリック率の数字は、「次のページへ進んだ総ページビュー数」を分母にしている。つまり、「クリック数÷次のページへ進んだページビュー数」で算出されている。

「次のページへ進んだ総ページビュー数」は「ナビゲーションサマリー」タブのレポート(図7赤枠部分)の数字から確認できる。

「ナビゲーションサマリー」タブのレポートは、選択したページの前後どのページにいたのかを示すレポートである。図7はトップページ「 / 」(図7茶枠部分)の前後にどのページにいたのかを表している。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面の左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サイトコンテンツ]をクリックし、[すべてのページ]をクリックする
  4. [ナビゲーションサマリー]タブをクリックする(図7赤枠部分)
図7:「ナビゲーションサマリー」タブを開いた画面
図7:「ナビゲーションサマリー」タブを開いた画面

「次のページ」へ進んだページビュー数の割合が「55.37%」と表示されている(図7緑枠部分)。このページのページビュー数は2,021だったので、これに55.37%を掛けると、1,119となる。これが「次のページへ進んだページビュー数」である。図6赤枠部分のクリック数283をこの1,119で割れば25.3%となり表示の25%に合致する(2桁表示の場合は四捨五入されるので)。

つまり「%表示」について言葉で説明するとすれば、「次のページへ進んだ総ページビュー数を100として、各リンクのクリック数の割合」ということになる。

  • トップページ以外のクリックマップを表示するには?
  • 単純なクリック状況以上のデータを表示するには?

トップページ以外のクリックマップを表示するには?

前回、デフォルトのトップページについてのページ解析の例を紹介した際に、「エクスプローラ」や「ナビゲーションサマリー」タブのレポートで別のページを選択しておけば、そのページに関するレポートを表示できるという話をした。この方法を使えば、トップページだけでなく各ページで確認できるので、やり方を説明しておこう。

たとえば[エクスプローラ]タブで表示されるレポートで、あるページを選択した後に[ページ解析]を選択すると、レポート上部はページが絞り込まれた状態(図8赤枠部分)になっているはずだ。ここから別のページを選択して「ページ解析」をすることができる。

図8青枠部分をクリックしてプルダウン表示をさせて、検索機能(図8緑枠部分)を利用することでお目当てのページを見つけ、選択しよう。

図8:ページ解析したいページの選択
図8:ページ解析したいページの選択

データ取得時と現在の画面が異なっている場合には注意が必要

このページ解析の機能は、先にも説明したように、レポートを見ている現在の画面のキャプチャーを取得して、そこにあるリンク先のURLとデータを照合するという仕組みである。たとえば1か月前にトップページにローテーションで配置しているサイト内キャンペーンのバナー広告などは、現在は存在していないので、クリックがあったとしても照合できないのでデータは表示されない。つまり該当ページの当時のイメージをそのまま反映してくれるものではなく、あくまでも現在の画面に対して、照合できたデータを載せているに過ぎないということだ。

よって最近リニューアルがあったような場合の過去データは多分使い物にならないだろうし、動的に広告や特集ページへの画像リンクをローテーションして、リンク先のURLが頻繁に変動するようなページでは、データの見方に注意を要することになる。決して、当時のリンクの位置関係が忠実に反映されているわけではないのだ

こういうケースの場合は、前半にも話が出たが、クリックイベントを取得するような方法で、掲載位置や飛び先がわかるような工夫をしておくという方法を取るのがよいだろう。いずれ「イベント」を解説する時に取り上げる。

単純なクリック状況以上のデータを表示するには?

これまで「クリックマップ」という言い方をしてきたが、ページ解析のレポートでは、実は単純なクリック状況だけでなく目標達成という軸で各リンクの評価をすることも可能だ。該当のプロファイルで「目標設定」や「eコマースの設定」などが行われていれば、「クリック数」以外に「トランザクション数」「収益」「目標値」「各目標の完了数」が選択できる(図9赤枠部分)ようになる。

図9:左側のプルダウン選択
図9:左側のプルダウン選択

クリックマップで表示された画面の左上にあるプルダウンメニューで、「各目標の完了数」や「トランザクション数」などを選択した場合は、目標達成あるいは購入した訪問に絞ったうえで、該当ページを通過した訪問の成果につながったリンクの箇所を示しているといえる。

図10は「目標の完了数」の1つである「問合せ(目標6の完了数)」を選択して表示した例、図11は「目標値」を選択して表示した例だ。

図10:1つの目標を選択した場合のツールチップの表示
図10:1つの目標を選択した場合のツールチップの表示
図10:1つの目標を選択した場合のツールチップの表示
図11:目標値を選択した場合のツールチップの表示

「トランザクション数」「収益」「目標値」「各目標の完了数」の4つについては、成果に結びついた条件下において、価値のあるリンクを相対的に評価することができるので、単純なクリックの状況と合わせて評価するのがよいだろう。具体的には、

  • クリックされているリンクだけど目標達成にはあまり影響がないリンク
  • 逆に、成果に結びついているが、全体で見るとあまりクリックされていないリンク

など各種パターンがあろう。それぞれのリンクには目的があるので、どちらのパターンが望ましいのかは個別に考察する必要がある。

スクロールダウンをかなりさせた場所でクリックされている箇所がある場合は、上から順番に読ませてから反応させるリンクなので良しとするのか、無駄なスクロールをさせなければいけないから良くないと判断するのか、ページや各リンクの特性に合わせて評価をしていただきたい。

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この記事の筆者
ユーザー 衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) の写真

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

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