Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
前回は、コンテンツ解析の第一歩ということで、ディレクトリごとのボリュームを見る[コンテンツ]>[サイトコンテンツ]>[ディレクトリ]レポートの見方を解説した。
前回紹介したのは、各ページの評価方法として、「セカンダリディメンション」に「参照元」を追加したり、「キーワード」を追加したりすることで、直帰率が高いランディングページと参照元の組み合わせを探索する方法だ。
今回はさらに、各ページの特性を理解するGoogleアナリティクスでの分析方法と、各ページが成果につながっているのかを確認する方法を解説しよう。
[すべてのページ]レポートの見方
まずは[コンテンツ]>[サイトコンテンツ]>[すべてのページ]レポートを取り上げる。「すべてのページ」の名前からわかるように、Webサイト内のすべてのWebページを対象に、おもな指標を一覧するためのレポートだ。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする
- メニューが開くので、[サイトコンテンツ]をクリックし、[すべてのページ]をクリックする
[すべてのページ]レポートは、上部に折れ線グラフと主要指標の表示(図1)、下部にデータ一覧表示部(図2)のある標準的なレポートである。
グラフ表示部(図1)の上部には「エクスプローラ」「ナビゲーションサマリー」「ページ解析」の3つのタブ(図1赤枠部分)があり、デフォルトでは「エクスプローラ」が選択されている。今回はこの「エクスプローラ」タブを中心にその活用法を解説する。
「エクスプローラ」が選択されている状態で表示されている指標は、以下の7つだ(図1青枠部分)。
- ページビュー数
- ページ別訪問数
- 平均ページ滞在時間
- 閲覧開始数
- 直帰率
- 離脱率
- ページの価値
前回解説した[ディレクトリ]レポートで表示されている指標に「閲覧開始数」と「ページの価値」の2つの指標が増えている。
レポート上部に表示されているのはサイト全体のこれらの指標(図1青枠部分)で、ページ別の指標はデータ一覧表示部(図2)に表示されている。
図2のデータ一覧表示部のプライマリディメンションは「ページ」と「ページタイトル」の2つがあり、デフォルトでは「ページ」が選択されている(図2赤枠部分)。
「ページ」とは、図2青枠部分を見てもわかるとおり、計測対象サイトのドメイン(サブドメイン)名が省略された、パスとファイル名の表示になっている。つまりURLのドメイン名の後に続く「/」以降の部分が表示される。
各ページ(図2青枠部分)をクリックしても、該当データに絞り込まれて表示するだけで、別のディメンションにドリルダウンされるわけではない。
また、図2緑枠部分は各ページへのリンクで、これをクリックすると新しいウィンドウが開き実際のページを確認できる。「ページ」として表示されているURL(パス)は、サイトを詳しく理解している人にはよいかもしれないが、多くの関係者にとってわかりやすいとは限らない。そのため、各ページへのリンクの機能は、すぐに該当ページを確認できる機能として有効活用しよう。
各ページのタイトルを表示するなら、「ページタイトル」を選択しよう
一方、プライマリディメンションで「ページタイトル」を選択(図3赤枠部分)したのが図3だ。ページタイトル別に7つの指標を見ることができる。
なお、ページタイトルはtitle要素の情報から収集しているので、異なるページでも、<title>タグの内容が同一であればまとめて集計されることになる。パスとファイル名表示より、こちらのページタイトルの方が直感的にどのページか理解しやすいが、ページタイトルの付け方がいい加減だと、レポートを見る単位としてあまり相応しくない場合もあるので、気を付けたい。
各ページタイトルのリンク(図3青枠部分)をクリックすると、図4のようにドリルダウンできる。つまりURLは異なるが、同一タイトルになっているページの明細を見ることができるわけだ。ここを確認すればサイトでそれなりに規則性をもってページタイトルとURLを関係付けているかは確認できるだろう。
各ページの特性と成果を確認するには?
ページ別解析の基本を押さえたところで、ここからは具体的に、各ページの特性を理解する方法と、成果につながっているのかを確認する方法を解説してこう。
まず、図2のページ別の指標一覧画面に戻る。
どのレポートでも共通だが、標準では一番左の指標(ここではページビュー数)の多い順にソートされている。この状態で、まずは各ページの量的な人気度合いのランキングとして各ページの一覧を眺め、量的な重要度を見ることになる(図5赤枠部分)。
そのうえで、各ページの閲覧特性を示した「平均ページ滞在時間」「閲覧開始数」「直帰率」「離脱率」の4つの指標を見ていく。
それぞれ以下のように、各ページ特性の確認と改善活動への手掛かりとして利用しよう。
平均ページ滞在時間
各ページがどれだけの時間見られているのかの指標だ。
ナビゲーションのためのページであれば短い方がよい。
しっかり読んでもらいたいコンテンツのページであれば長い方がよい
各ページの特性に合致した相対的な位置づけにあるかを確認しよう。「滞在時間」についてはこちらの記事も参照してほしい。
閲覧開始数
ランディングページ(閲覧開始ページ)になっているかどうかの指標だ。
ページビュー数が上位にあるにもかかわらず閲覧開始数が少ないページは、回遊後に結局よく見られているページということなので、ランディングページや主要なページからこのページへ行きやすくなっているのかなどがポイントになるだろう。
直帰率
そのページがランディングページ(閲覧開始ページ)になり、そのページだけで閲覧を終了した割合だ。
直帰率が高いページはユーザーニーズと合致していない可能性がある。参照元と組み合わせて見ることで、ユーザー行動を実体験して、なぜユーザーが直帰するのかを考えてみよう。
ただし、前回解説したとおり、場合によってはその1ページだけ見て満足して閲覧を終了したかもしれないことも考慮しよう。
直帰率については、こちらの記事も参照してほしい。
離脱率
そのページが閲覧の最後になった割合。
離脱率が高い場合は、その中に問題となるページがあるかもしれない。
しかし、トップページなど、閲覧のもともと多いページも普通に最後になる率も高く、そのままでは使いにくい。
カートに入れてから購入完了ページまでの一連のプロセス中などで離脱するケースは、ボトルネックとして改善の余地がないか考えよう。
離脱率についてはこちらの記事も参照してほしい。
- 直帰率の高いページから改善効果の高そうなページを抽出するには?
- 「ページの価値」を比較する際の注意点
直帰率の高いページから改善効果の高そうなページを抽出するには?
前のページで解説したように、直帰率の高いページは改善の余地がある可能性が高いので、直帰率で降順にソートして問題のページを抽出してみよう。「直帰率」の指標部分の文字(図6赤枠部分上部)をクリックすると、直帰率の降順にソートされる(図6赤枠部分)。
しかし上位を見ると、閲覧開始数が「1」となっていて、そもそものボリュームが少ない(図6青枠部分)。これらのページの直帰率を改善したとしても、全体に対する効果はほとんど期待できない。
もう少し意義のありそうなデータだけを抽出したい。そこで、「並び替えの種類」のプルダウンをクリックしよう(図6緑枠部分)。
「デフォルト」の他に、「加重」(図7青枠部分)が選択できるのがわかる。「加重」を選択すると、閲覧開始数の重みづけをした上で、直帰率の高いページを抽出できる。この「加重」をクリックしたのが、図8だ。
こうすることで、直帰率で並べ替える際に閲覧開始数で重み付けされる(図8赤枠部分)。つまり改善効果の高い順に並べられるといってよいだろう。
実際のページをリンク(図8青枠部分)から確認し、前回の記事と同様で各ページ(図8緑枠部分)をクリックして絞り込んでから、セカンダリディメンション(図8黒枠部分)で参照元と組み合わせてみてみることで、ユーザー行動を実体験して、ページに問題があるかを考えてみよう。
「離脱率」の並べ替えでは「加重」が使えない
直帰率と同様のアプローチができれば、離脱率に関しても問題のページを抽出するのが容易にできそうだが、離脱率でソート(図9赤枠部分)した場合に、並び替えの種類(図9青枠部分)に「加重」の選択はできないので、残念ながら同じアプローチは取れない。
「ページの価値」を比較する際の注意点
最後に解説する指標は「ページの価値」だ(図10赤枠部分)。「ページの価値」の指標についての詳細は、以下の記事を参照してほしいが、わかりやすく一言で言えば、該当ページへの1訪問の価値を表す指標ということになる。
成果を生み出しているページを探すときに役に立つわけだが、気を付けなければいけないのは、この指標の計算の特性上、目標達成に近いページになるほど、「ページの価値」の値は高くなるということだ。
たとえばeコマースサイトであれば、「ページの価値」の値は、購入完了ページが最も高く、次に高くなるのは購入プロセスであるショッピングカートのページなどだ。そのため、目標達成までが遠い「トップページ」とカート周りのページを比較しても意味はない。
すなわち、「ページの価値」を比較するときは、同じレベル(階層)のコンテンツや同種のコンテンツ間で、目標達成に対する相対的な評価をするのが正しい。
前回の「ディレクトリ」のレポートではこの指標が表示されないので、同じ階層や同じディレクトリ内のページ間での比較などが簡単にできないのは残念だ。この「すべてのページ」のレポートを一括でファイルに出力するなどして、この成果の軸からページを評価してみて、問題と思われるページがないかを探してみよう。
具体的には、
- 力を入れているコンテンツなのに相対的に評価が低いページがないか?
- 想像した以上に価値が高いページの理由は何なのか?
といったところから問題意識を発展させてみてはどうだろう。
「ページの価値」は短期的な評価指標
ただ気を付けたいのは、「ページの価値」は、時間を掛けて醸成されるブランディング効果などを測る指標としては適切ではないということだ。
「ページの価値」が低いということは、短期的な(レポート対象となった期間の訪問時の)目標達成には効果がなかったということを表している。しかし、だからといって、そのページやコンテンツやコンテンツ群に意味がないなどと短絡的に判断すべきではない。あくまでも、そのページやコンテンツの特性と合わせて考えるべきだ。
しかしながら、ユーザーの過去からの閲覧ページの経緯を見たうえで各ページの長期的な価値を算出する指標は用意されていないので、今のところ簡単に長期スパンでの各ページが生み出している価値を判断するのは容易ではないことも付け加えておこう。
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オリジナル記事:問題ページは直帰率+加重ソートで探せ! ページ別・改善施策ヒントの見つけ方 [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
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