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Facebookマーケティングの本質とは何だろう/Facebookマーケティングの教科書#1-5前編 [現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書] | Web担当者Forum

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現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書

この記事は、書籍 『現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

企業のマーケティング活動において、ソーシャルメディアの活用は今や不可欠になりつつあり、中でもFacebookはもっとも重要なチャネルであると考えられます。
このSectionでは、Facebookマーケティングの本質と、ターゲットとすべき対象を理解し、効率的なマーケティング活動の指針について考えます。

Facebookの目指すマーケティングとは?

fMC Tokyo

2012年3月16日、東京ミッドタウンホールにて開催された、企業のマーケティング担当者向けカンファレンス。2012年2月29日に開催された「fMC NYC」のプログラムに加え、日本向けに情報提供がなされた。

2012年3月16日、米国以外では初となる、企業のマーケティング担当者向けカンファレンス「fMC Tokyo」が開催され、その中でFacebookが目指すマーケティングの思想や方針が紹介されました。

アジアパシフィック地区のマーケティングを担当する、メグ・スローン氏は、「Facebookを使うということは、社会的な行動であり、友達と楽しむパーティーみたいなもの。そこで人々はリッチなソーシャルエクスペリエンスを体験している。だからFacebookでは、企業のライバルは利用者の“友達”」だと語りました。

これは、「注目を集める」「利用者の邪魔をする」といった従来のマーケティングではなく、企業が生活者と向き合う姿勢から変わっていかなくてはならないということです。

Facebookの核となるのは「関係」。人はFacebookの情報を、自分に「関係」があるかどうかで判断します。だから企業も個人と人間的な「関係」を築かなくてはなりません。人間的な「関係」は、時間をかけて、軽いやりとりを通して構築されます。Facebookでのマーケティングで大切なのは、利用者と頻繁かつ軽量なインタラクション「Frequency Light Interaction(F.L.I.)」つまり、気軽に交流することで人間的な「関係」を作ることなのです。

Facebookでは1人のインフルエンサーよりも
少人数のグループが影響力を持つ

『ウェブはグループで進化する ソーシャルウェブ時代の情報伝達の鍵を握るのは「親しい仲間」』
原題:Grouped: How small groups of friends are the key to influence on the social web
ポール・アダムス(著)、
小林啓倫(訳)
出版社:日経BP社 (2012/07)

元Googleのユーザー体験(UX)担当者で、現在はFacebookに勤務しているポール・アダムス氏の著作『ウェブはグループで進化する』では、現実世界での交友関係について、次のような構成を平均としています。

  • 5人 : 家族・親友などアドバイスをくれたり、困ったときに助けてくれる最も大切な人

  • 15人: 社会学で「シンパシー・グループ」と呼ばれる、居なくなると喪失感を感じる人

  • 50人: 近況を把握している程度に交流している人

  • ダンバー数
    英国の文化人類学者ロビン・ダンバー(Robin Dunbar)教授によって、「強制的な規範」や「法」を抜きに、安定した社会関係を結ぶことができる人間集団などの数として主張されている仮説。脳の大きさから逆算された集団生活のグループの大きさであり、人類においては平均的な脳の大きさから、約150人と推定している。ソーシャルネットワーキングサイトは通常よりも多くの友人関係を管理できるものの、意味のある友人関係の数はこれまでと同じ150人程度であるというように、近年はこの「ダンバー数」理論をソーシャルメディアに応用する研究も進めている。
    http://www.nytimes.com/2010/12/26/opinion/26dunbar.html

    150人: 心理学的に脳の限界だとされる、いわゆるダンバー数

  • 500人: 「Weak ties(弱いつながり)」と呼ばれる、会ったことがあってもそれほど親しくない人。人生ではもっと多くの人と出会うかもしれないが、名前で個人を認識できるのは500人程度が限界

さらにこの交友関係の中には、自分を中心とした共通項で繋がり、それぞれが独立した10人以下のグループが4つから6つ存在します。

図1-5-1 独立した複数のグループが存在する
図1-5-1 独立した複数のグループが存在する

Facebookの内部データによると、平均的な「友達」の人数は160人ですが、コメントしたり、「いいね!」したり、メッセージを送るなど日常的に「交流」している相手は、週に平均4人、月で見ても6人しかいないそうです。

『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』
原題:The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big Difference
マルコム・グラッドウェル(著)、高橋 啓(訳)
出版社:ソフトバンククリエイティブ(2007/06)

「クチコミ」に注目したマーケティングの黎明期は、2002年に出版された『急に売れ始めるにはワケがある』という書籍が広めたインフルエンサーが重視されていましたが、インフルエンサーによる情報伝達はマスメディアと同じように一方通行でした。アダムス氏は、「インフルエンサーを見つけるのは大変で、影響力も限定的。インフルエンサーを核にしたマーケティングは効率が悪くなっている」としています。ネット上のコミュニケーションに、現実社会の交友関係が反映される度合いが高まっている今、Facebookでは、少人数の仲良しグループを重視するマーケティングが必要と言えます。

これからはだれにでも通用するようなコンテンツではなく、少人数の仲良しグループに対して、話題になるようなコンテンツを作ることが重要であり、どんな情報をどのように発信すべきかを考えなくてはなりません。

メグ・スローン(Meg Sloan)

Facebook アジア・パシフィック地区 ビジネス・マーケティング統括

では、こうした少人数のグループでどんなことが話題になるのでしょうか? メグ・スローン氏は、人々の「会話のモチベーション」は次の4つだとしています。

  • 生活を円滑にする

    自分の生活の中で起きたちょっとした問題を解決したい

  • 共通のつながりを見つける

    同じ趣味、同じ買物、同じバックボーンなどつながりを見つけたい

  • 他の人を助ける

    見返りを求めるのではなく、関係性の中で「助けたい」と思う気持ち

  • 自分の個性を築く

    会話を通じて自分の考え方を知る
    どの「ブランド」が好きかは、その人のアイデンティティーとなりうる

会話のモチベーション

この4つのモチベーションを意識し、「どうすれば会話が生まれるか?」「人が話したくなるコンテンツとはなにか?」「人がシェアしたくなるか?」を考え、企業のマーケティング・メッセージを、人々の「会話」の一部となるようにすることが重要です。英ウォーリック大学のローラ・ミキズ氏が率いる研究チームは、Facebook上の投稿は一般的な本の文章より1.5倍、人の顔よりも2.5倍も記憶に残りやすいという研究結果を発表しています

[Column]
企業活動に対する生活者の参加レベル

電通モダン・コミュニケーション・ラボが提唱する新しい生活者消費行動モデル「SIPS」では、生活者と企業の関わりを、エバンジェリスト(伝道者)・ロイヤルカスタマー(支援者)・その企業・ブランドのファン(応援者)・購買を伴わない応援・支援・伝道行動をするパーティシパント(参加者)と段階づけました。ソーシャルメディアの情報伝達を考えた場合、購買を伴わない共有行動も友人・知人の購買や興味喚起につながる場合があるため、SIPSでは参加者(パーティシパント)の軽い気持ちでの参加行動も、企業やブランドの情報を広めるためには欠かせないものとしています。

また、参加者 → 応援者 → 支援者 → 伝道者という順で関与度が高まるピラミッド構造は、企業・ブランドのライフタイムバリュー(生涯顧客価値)の向上と同期しているため、Facebookでのマーケティングでも、顧客のロイヤリティー向上と、潜在顧客の裾野を広げる取り組みの両方を考える必要があります。

現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
  • 現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書
  • 藤田 和重、小川 裕子 著
  • ISBNコード
    978-4839943608
  • マイナビ 発行

この記事は、書籍 『現場のプロがやさしく書いた Facebookマーケティングの教科書』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

本書は、アライドアーキテクツで約2年間に渡りブログメディア「ソーシャルメディアマーケティングラボ」を運営しながら、実際にFacebookマーケティングに携わってきた担当者2名が、これまでに培った経験や知見を最大限に活かし「企業のFacebookページ運営担当者」に向けて執筆した、Facebookマーケティング指南書の決定版です。

ターゲットを法人利用に絞り、Facebook広告の効果的な運用やFacebookキャンペーンの実施といった実用的な情報に加え、「どんな投稿がファンの心を引きつけるのか」といったテクニックや国内企業約35社のFacebook活用事例など、実際の業務で役立つ豊富なノウハウや情報を惜しげなく公開しています。

本書は、マーケティングやデジタル、WEBは専門だがソーシャルメディアはよくわからないという方、全く違う領域からいきなりFacebookページの担当になられた方、そして「Facebookって何?」という方でも、読み進めながら実践していただける内容を目指しました。

企業のFacebook活用の本質的な意義から、実務面の手順を追った解説、実例紹介まで、即戦力として役立つことを願っています。

ナビゲーターは新人マーケター「あゆみ」ちゃんと、マーケティング部の先輩である「小田先輩」。

図解やイラストを多用し、親しみやすい文章と誌面で、Facebookやマーケティングに詳しくない人でも、ある程度知っていて「一歩先の」知識を手に入れたい人にも、役立つ内容となっています。

この記事の筆者

Text/藤田 和重

ソーシャルメディアマーケティングラボ(SMMLab)

ソーシャルメディアマーケティングラボ(SMMLab)
“ソーシャルテクノロジーで、世界中の人と企業をつなぐ”というミッションの下に事業展開するソーシャルメディアマーケティング&ソリューションカンパニー「アライドアーキテクツ株式会社」が、国内におけるソーシャルメディアマーケティング市場の発展を目的として2011年に開設。 ブログとFacebookページを中心に、ソーシャルメディアマーケティングに関する国内外のニュース、事例データや運用のヒント、業界のキーマンや企業マーケターへのインタビューなどを発信中。
https://www.facebook.com/smmlab

藤田和重氏

藤田 和重 (ふじた かずえ)
ラジオ番組制作や音楽制作マネージメントを経験後、2008年アライドアーキテクツ入社。ユーザーサポートやメディア運営、ソーシャルメディア担当業務を経て現職。
https://www.facebook.com/kazue.fujita

小川裕子氏

小川 裕子 (おがわ ゆうこ)
一橋大学社会学部卒業後、住友商事に勤務。ベンチャー企業でのWEB担当業務を経て、2011年アライドアーキテクツ入社。企業担当コンサルタントから現職。
https://www.facebook.com/yuko530

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