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「Adobe Advertising Cloud Search」がYahoo!ディスプレイアドネットワークに対応

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アドビは、同社の検索連動型広告の管理ソリューション「Adobe Advertising Cloud Search」がYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)に対応した、と11月11日発表した。Adobe Advertising Cloud Searchは、広告主の手間を削減し、SEM広告のROI(費用対効果)を向上させることを目的とした入札プラットフォームとなる。

YDNは、広告の内容に興味がありそうなインターネットユーザーに対して、Yahoo! JAPANの各サービスサイト、および提携パートナーサイトの「コンテンツページ」に広告を表示する。Adobe Advertising Cloud SearchがYDNに対応したことで、広告主は、メディアを横断した統一のタグでの広告成果の計測、アトリビューションの可視化およびレポートの作成が可能になる。

また、アドビのAIとマシンラーニングのフレームワーク「Adobe Sensei」によるYDNの入札が可能になった。これにより、YDNの入札最適化と複数メディアにまたがった予算配分の最適化を実現するという。


トランスコスモスがLINE公式アカウントのメッセージ配信を最適化するシステム「WHITE BASE」提供開始

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マーケティング支援のトランスコスモスは、顧客企業におけるLINE公式アカウントのメッセージ配信最適化を支援するため、AIを活用した独自の成果予測システム「transcosmos WHITE BASE」の提供を開始した、と11月11日発表した。12月末までに発注の顧客企業に限り、 WHITE BASEの利用料を3カ月間無料で提供する。

トランスコスモスでは独自のAI成果予測システムWHITE BASEを開発し、これまで見えなかった友だちの過去の行動履歴を可視化、友だちごとの購入確率と配信推奨時間を予測することに成功した。友だちごとに最適なメッセージを最適な時間帯に配信することで、メッセージの反応率を最大化する。

WHITE BASEを先行導入した顧客企業では、ランダムに実施した一斉配信と比較して、配信通数は変えずに2.4倍の売上をあげることができた。メッセージ配信効果を最大限に高めることで、LINE導入から時間が経過するにつれ低下していきがちなROAS(投資した広告費用の回収率)の改善に繋げていく。

 

[ユーザー投稿] 【無料DL】マーケティングオートメーションの黒字化はできているか。

[ユーザー投稿] 1月トレンド系SEOキーワード100件の「パワーランク相場」を公開

[ユーザー投稿] 11月20日無料開催 「WEB施策を改善したい担当者・決裁者必見!動画とWEBを活用したリード創出と収益化セミナー」

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サイト作りに欠かせない「階層構造」とは? 「サイト構成図」って何?【第9回】 | 今さら人に聞けないWebの仕組み

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Webサイトを作るとき、データをどう整理すればいいのでしょうか? 雑多にデータを置いてしまうと、サイトの構造はあっと言う間にごちゃごちゃになってしまいます。

みなさんが普段パソコンでフォルダを作成するとき、ごく自然にやっていると思いますが、大まかなフォルダを作ってその中にファイルを格納していきますよね。

それと同じく、Webサイトにもファイル分けが欠かせません。今回はこのファイル分けに使う「階層構造」について説明します。

Webを構成するファイルがどのように置かれているか

たとえば、あるサイトで企業情報の「会社概要」というページがあったとします。URLは以下です。

http://www.***.co.jp/company/profile.html

最初の「http://www.***.co.jp」までが、Webサーバーの住所を表していると考えてください。その後ろが、サーバー内のファイルのありかを示しています。

  • 「company」=企業情報というコーナー名
  • 「profile.html」=会社概要ページのファイル名
  • 「/」=サーバー内の情報の階層構造
〔図9-1〕URLの構造

実際にサーバー内を見ると、以下の図のようになります。フォルダの中にさらにフォルダがあり、HTMLなどのファイルが置かれ、普段使っているパソコンの中の様子に似ています。

”
〔図9-2〕ファイルが置かれている様子

この図には3つのHTMLファイルがありますが、URLの形で書くと次の通りです。

  1. http://www.***.co.jp/index.html トップページ
  2. http://www.***.co.jp/company/index.html 企業情報トップ
  3. http://www.***.co.jp/company/profile.html 会社概要

各フォルダには多くの場合「index.html」というファイル置いてがあります。これがフォルダの中を案内する目次になっていることが多いので、index(目次).htmlと呼びます。

トップページや各コーナーのトップを表す場合は、以下のようにファイル名の「index.html」を略して書くことも多いです。

  • http://www.***.co.jp/
  • http://www.***.co.jp/company/

略しても、サーバーの設定で、「/」で終わったリクエストが来たらそのフォルダにある「index.html」を呼びに行くようにできているので、問題なくアクセスできるのがありがたいところです。

ひとまず、ドメインの後の「/」を数えて、それが階層になっていると考えてください。

たとえば、「/」「company/」と書いてあるとき、第1階層「/」の下に「company/」と名付けられたファイルがあるとわかります。

パソコンと同じで、フォルダの中に複数のフォルダを作成することができて、フォルダの中にフォルダ、その中にフォルダ、その中にまたフォルダと、入れ子式にいくらでも階層を積み重ねることもできます。

〔図9-3〕複数のフォルダと入れ子式のフォルダ

現実に近いファイルの置き方

実際のWebサイトではどんな構造なのかを考えてみましょう。現実にこんな単純な階層構造になっているサイトは少ないですが、たとえば、「http://www.***.co.jp/」というウェブサイトの「製品情報」トップのページがあったとします。

〔図9-4〕こんなグローバルナビゲーションがあるとすると……

この図はよく見る構成のサイトのページを模式図にしたものです。

グローバルナビゲーションの部分を見てください。

「ホーム(=トップページ)」があって、「企業情報」「製品情報」というコーナーがある、という構造です。

ここで言う「グローバル」は「世界の」という意味ではなく、「サイト全体に共通する」というぐらいの意味です。

右上の「お問い合わせ」も、全ページに現れるボタンですからグローバルナビゲーションの一部と考えて良いでしょう。

さて、上図のページは「製品情報」のトップページで、ここには3つの製品がどうやらあるようです。

こうした構成になっているサイトでは、階層構造はこうなっています。

〔図9-5〕図9-4のサイトの階層構造

ここに出てくるページのURLを見ると、

〔図9-6〕URLを階層ごとに色分け

となります。同じ深さの階層なら、URLに出てくる「/」の数が同じですね。

もちろん、こうなっていることが割と多いというだけです。「こうしなきゃいけない」というものではありません。たとえば、とても大切な製品は特別に製品情報フォルダから出して第2階層に格上げする、といったケースもあります。

〔図9-7〕製品Bは大切だから第2階層に

どうして大切なものは上の階層にしたいと考えるのでしょう?

図9-5で、製品BのURLは

http://www.***.co.jp/products/B/index.html 製品Bトップ

となっていました。しかし、productsのフォルダから「B」フォルダを出したので、

http://www.***.co.jp/B/index.html 製品Bトップ

と、短くなりました。index.htmlは略せますので、人に教えるときは、

http://www.***.co.jp/B/

とだけ教えてあげればいいということです。ぐっと覚えやすくなります。

階層構造は、自分で都合の良い並びを考えて決めれば良い、ということです。

ただし、あまり一貫性なく、思い付きであちこちにフォルダをつくってしまうと、あとになって「あのファイルはどこにあるんだ!」と探し回らなければならなくなります。

「階層がごちゃごちゃになったからリニューアル」はしない

多くのサイトは、運営していくうちに各担当者が思い思いに階層を作ることがあり、どこにどんなファイルがあるのかわからなくなります。

どのページからもリンクされていない階層があったり、要らないページが残っていたりして、訳がわからなくなるのです。

多くのWeb担当者が「昔の担当者が作って、今は不要だと思われるページがたくさんあるのですが、削除していいいかどうか判断できないんです!」と嘆いています。

そういうサイトはよく「増築を繰り返した田舎の温泉旅館」にたとえられます。旧館の2階と新館の3階が渡り廊下でつながっていたり、離れの温泉棟があったりして、お客様が迷子になってしまう。

こうした亡霊ファイルを一掃するためにリニューアルを行うことがあります。しかし、それは予算を無駄に使ってしまう、あまりにも不毛なリニューアルです。こんな無駄をしないで良いように、きちんとサイトの階層構造を常に整理しておきましょう。

では、これを整理するための方法をご紹介します。

サイト全体の情報を階層的に整理する「サイト構成図」

〔図9-8〕サイト構成図

リニューアルを制作会社さんに頼むと、企画段階でこのような図を持ってきてくれることが多いです。どんなページをどれだけつくるか、整理するのに最適な図です。これを「サイト構成図」と呼んでいます。

図9-4など階層構造の説明図に現れていたページが全部登場して、どんなつながりになっているかが整理されています。どこに「フォルダ」が省略されているかわかりますね。

Webの情報はこのように階層的に整理しておくことが大切です。

しかし、この図には注意点があります。

サイト構成図はリンクの図ではない

再び図9-7を見てください。トップから企業情報、製品情報、お問い合わせに向かって線が伸びています。

これを見ると、「なるほど、トップページには3つのリンクがあるんだな」とつい思ってしまいます。

しかし、トップからは直接、製品A、製品B、製品Cにリンクすることもできるはず。会社概要にもリンクできますね。これを全部「線」で表そうとすると、以下の図のようにごちゃごちゃになります。

〔図9-9〕リンクを全部表そうとすると……

無理やりですね。訳がわかりません。しかも、実際のリンクはこれだけではありません。たとえば、大切なリンクとして、製品Aや製品B、製品Cから「お問い合わせ」へのリンクが抜けています。しかし、この線を引こうと思うと、さらにゴチャゴチャになってしまいます。

つまり、サイト構成図に描かれている線は、情報の従属関係を階層的に整理するための線であって、「リンク」ではないのです。

サイト構成図3つの落とし穴

改めて最初の「サイト構成図(図9-8)」を見てください。この図には3つの落とし穴があります。

〔図9-8〕サイト構成図(再掲)
  • 訪問者は必ずトップページから来るように見える
  • ページ同士の繋がりを表す線が引かれていない
  • どのページで集客を行うのかわからない

以上の3点です。

訪問者は必ずトップページから来るわけではない

先ほども述べたように、サイト構成図に引かれている線はリンクの線ではありません。しかし、サイト構成図では「製品A」のページを閲覧する人は、「トップ」→「製品情報」→「製品A」という順で閲覧するように感じられます。実際に、Web担当者の上司でWebに不慣れな方はこのように思いこんでいることが多いです。

Webに不慣れな方はどれだけ広告をやっていても、SEOやコンテンツマーケティングに力を入れていても、「人はトップから来る」と思っています。たとえば、「御社のサイトに来る全部の人を100%とすると、トップページから来る人は何パーセントだと思いますか?」と質問すると、かなり多くの方が「まあ、70%ぐらいかな」「うちは有名企業ではないが業界では良く知られているから、80%ぐらいあるかもしれない」と答えます。

これは間違いで、トップページから来るのは全体の15~20%だと考えてください。

広告やSEO、コンテンツマーケティングで成果を出すというのは、多くの場合トップ以外のページで集客を行うものです。集客施策を全く行っていない小さな企業サイトでさえ、自然検索訪問率が50%程度あり、トップ以外のページからも多く集客しています。

「サイトを訪れる人はトップページから来る」という誤解を持ったままでは、Web運営は絶対にうまくいきません。

ページ同士の繋がりでターゲットを誘導する

また、サイト構成図では「製品Aを見た人が製品Cも見ていく」「製品Aを見た人がお問い合わせに進む」というページ同士の線が引かれていないことも問題です。ページ同士のつながりを意識してWebサイトを作成しましょう。

たとえば、製品Aから別のページへのリンクがない場合、ユーザーが製品Aのページで帰ってしまうサイトができあがります。それではWebが成果を出せるわけがないのです。

〔図9-10〕ページ同士のリンクができているイメージと、できていないイメージ

サイト構成図では、一番下に書かれたページが「行き止まり」に見えます。本当は一番下のページから、他のどのページにもリンクできるのですが、それがついおろそかになり、結局末端のページにあるリンクが「>もどる」だけになってしまうサイトもあります。

サイトを見ている人は「先に進みたい」のであって、「もどりたい」わけではありません。だから、大半の訪問者が「もどる」リンクを見た瞬間に帰ってしまうのです。

どのページで集客を行うのか考える

一番下のページは「末端」に見えますが、実際にはこうした末端のページが自然検索からの訪問者を多く集めています。しかし、それに気がつかずにターゲットを逃しているサイトも少なくありません。

こういったサイトは、「どのページで集客をするか」が考えられていないことが多いです。末端ページにどのような役割を持たせ、どう集客するかを考えましょう。

〔図9-11〕末端のページが検索で集客していることに気づかない

ここまではご説明のために簡易的なサイト構成にしてきましたが、もっと現実のサイトに近い構成図で考えていきましょう。

ページ数の多いサイトでは窮屈になってサイト構成図を描くのも大変

実際のサイトに近い構成図ではページ数が増え、次の図のようになります。

〔図9-12〕より現実のサイトに近い「サイト構成図」

第1階層に1ページ、第2階層に8ページ、第3階層に24ページあり、全部で33ページの規模です。これでも、1つの図にすることは非常に困難です。

もちろんリンクを全部描くのは不可能ですので、あくまでサイトの構成を考える図だということをもう一度念頭に置いてください。

無数にある目標達成までの道筋

〔図9-12〕のサイトでは、どう集客することができるでしょうか。

たとえば、ユーザーに「お問い合わせ」してもらうことがゴールだと仮定します。すると、「お問い合わせ」にたどり着くまでのユーザーの道筋はざっと考えたただけでも以下のようになります。

〔図9-13〕集客から目標到達までの道すじ

おそらく主力製品である製品Aの「特長」のページを見た人が一番多く「お問い合わせ」に進むでしょう。また、「技術情報」という製品それぞれに関連するコンテンツのコーナーでつくることで検索集客を狙いますが、実際にどう誘導するのかを考えるのにこの図は向いていません。

Webサイトの集客はゴールまでの誘導図で考えることが大切

Webサイトで集客をするときは、まずはゴールを決めて誘導図を考えてみましょう。

「お問い合わせ」ページへの誘導を目標として、このサイトの誘導図を描くなら、次のようになるでしょう。

〔図9-15〕サイトを成功に近づける「誘導図」

上図のように、ユーザーに取ってほしい道筋を考えたら、次はどんなターゲットを、どう誘導するかを考えます。まずは3つのステップに分けてみましょう。

  • 集客ページ
    ターゲットの興味を引くページ。次のページへのリンクも強化。
  • 説得ページ
    ターゲットにとってもメリットを盛り込み、この製品は自分の役に立つ」「この会社は良い」と感じるようなページにして、「お問い合わせ」に繋げる。
  • ゴール(お問い合わせページ)
    それぞれのターゲットの動機に合わせて、問い合わせしたいと思うようなリンクを各ページから貼っておく
トップから来た人が問い合わせに進むまで
技術情報から来た人が問い合わせに進むまで

どんな人を、どのチャネル(広告か、検索か、外部リンクか、直接アクセスか?)で、何人集めるか? を考え、そこからどう動いてほしいのか、どうしたら動いてくれるのかを誘導図にして考えましょう。

Web担当者や制作会社のディレクターが真っ先に作らなければならないのは、この「誘導図」です。もしまだこの図を作っていないなら、今日作りましょう。

集客まで考えやすい「サイト構成図」の描き方

ここまで見てきたのは「上→下」に描く縦型のサイト構成図でした。しかし、この図は誤解も多く、また集客からゴールまでの道筋を描くのも難しくなります。

おすすめは、次のような「左→右」に描く横型のサイト構成図です。

〔図9-18〕サイト構成図は「横型」に描こう

これなら狭いスペースにたくさんページを描いても見やすいですし、端と端のページの距離が遠くなりすぎないので、矢印を描きやすくなります。左右にスペースを確保しやすいので、階層の上下に影響されずに、集客や誘導について考えられるようになるのです。

こうしたサイト構成図を一度描いて、集客と誘導について考えを整理しておくことをおすすめします。リニューアル時や今のサイトを整理しようというタイミングが好適です。

ただ、「新しいページができた」「どんどん増やしていこう」といった運営の中では、この図を随時メンテナンスしていくのは大変です。ビジュアルなので会議やプレゼンテーションには向いていますが、Web管理・改善活動には適していません。継続的な運営・改善活動のためには、エクセルを使った「サイト構成表」を作成することが不可欠です。

そこで、次回はサイト構成表の作成と活用の方法について解説していきましょう。

第10回は12月公開予定
この記事の筆者

石井 研二(MILS)

株式会社ミルズ 主任研究員

雑誌編集、通販カタログ企画を経て、95年からウェブプロデューサ。Web黎明期からアクセス解析を使い、多くの企業サイトを成功に導く。「直帰率」という言葉の生みの親として知られる。

Webそのもののコンサルティングから、Webを絡めた売上向上やコスト削減など経営全般に関わるコンサルティングが増えてきたため、企業分析と企業Web分析を組み合わせて「すべてを見る」ことをコンセプトとした分析会社「ミルズ」を設立。株式会社ミルズ主任研究員。

著書に『ガッチリ成果を出すWeb担当者の教科書 ~便利テンプレートデータで実務を効率化!』(技術評論社)、『改訂新版アクセス解析の教科書』(翔泳社)等がある。

電通の底力が作り出した「オフィスにAIがある日常」【会議改革、名刺メーカー、音楽演奏など】 | Ledge.ai出張所

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デジタル施策がビジネスの成長を牽引する中心的存在となった近年、コンサルティングファームと総合広告代理店の境界が薄れつつある。

ITを得意とするコンサルティングファームを中心に、広告代理店を買収しデジタルマーケティング領域への進出を加速させる流れがある一方、広告代理店はコンサルティング部門を立ち上げ、データドリブンなマーケティングを提供する基盤を整えている。

しかし、AI活用、導入という文脈で、ITコンサルティングファームではなく広告代理店をに声をかけるイメージが湧かない人も多いだろう。

そんなイメージとは裏腹に、株式会社電通ではAI関連の相談が増加し続けているという。社内では、AI導入支援分野に名乗りをあげるかのように、「AIでオフィス全体をラッピング」する社内イベントを2週間にわたって開催した。

これはいったいどのような取り組みなのか、どのような目的を持って行われているのか。全貌を、電通でAI活用を推進する横断組織「AI MIRAI」統括の児玉 拓也氏に取材した。

AIでオフィスをラッピング

「AIでオフィス全体をラッピングする」という言葉の通り、電通本社の入口脇には巨大なポスターが飾られ、そのすぐ下にはオリジナルの肩書きを生成してくれるという名刺作成機が置かれていた。

このイベントでは、各業務に関連するAIを電通の社員が企画・制作し、オフィス全体に導入している。

クリエイティブ領域に強みを持つ広告代理店だけあり、

  • ブレインストーミングをスポーツにするAI会議室
  • オフィス内の社員の表情により全社のムードを測定し、それによりリアルタイムに価格が変わるパン屋

など、AIをより身近に感じられるシステムが数多く導入されていた。

ほかにも、実際に行われたプロジェクトの概要や、今後、クライアントへの提案材料になりそうな開発中のAIなどの展示も目立っていた。単に展示をするだけでなく、AIに興味を持った社員向けの機械学習ハンズオン研修も同時に実施されていたという。

──児玉
「今回の全社プロジェクトは、電通社員がAIをより身近に感じられるだけでなく、AIに触れながら使用されている技術を学べる設計にしています。

AIが今後の鍵となっていくことは明らかなので、社員全員がある程度のAIリテラシーを持ち、クライアントへの提案や自分たちの業務の変革にAIという選択肢を加えられたらと考えています

AIとクリエイティブで作られた数々のプロダクト

本プロジェクトでは、展示物もあわせて合計10種類以上のAIがオフィス内に試験的に導入された。そのなかでも特に興味深かったプロダクトをいくつか紹介していく。

ブレスポ

「ブレインストーミングをスポーツに」というコピーで一際目を引いたのがAI会議改革ソリューション「ブレスポ」だ。

ブレスポは、音声認識・自然言語処理を用いて会議中に出たアイデアをマッピングするAIだ。発言したアイデアがほかの参加者からポジティブに評価されるたび、アイデアの表示のサイズが拡大され、最終的に一番大きな評価を受けた参加者がブレインストーミングの勝者になる仕組みが組み込まれている。

ブレスポを行う会議室はゲーム感の強い装飾が施されていたため、会議自体の雰囲気が活発になるように感じられた。

AI名刺メーカー AIが名刺を提案してくれる「2枚目の名刺メーカー」

2枚目の名刺メーカー」は入力した内容とユーザーの表情をもとに名刺を自動で作成するシステムだ。自然言語処理技術(同社が開発したAIコピーライターAICOのアルゴリズム)と画像認識技術を用い、ユーザーが入力した内容とユーザーの表情を分析しユーザーの人物像を肩書きやデザイン、色合いで表現した名刺を作成する。社員だけでなく来客者も自由に触れ、オリジナルの名刺を印刷することができた。

このシステムを利用することで、ユーザーは、現時点での顔認識による表情分析の精度などを直感的に理解できるのではないだろうか。

AIと人間のジャズセッション「NEURAL JAZZ」

本プロジェクトのなかでもっとも目を引いたのがAIジャズセッションだ。

人の演奏をインプットとして受け取り、音の長さや速度、強弱などを解析し、演奏に合わせた音色をアウトプットし、人間とのジャムセッションを繰り広げている。エントランスで行われたこのセッションに多くの人が足を止め、AIの演奏に聞き入っていた。

社員全員にAIとの接点を

社内の至るところに今までにないようなアイデアを具現化したAIが導入された本プロジェクト。加えて、電通グループ各社から30名を超える有志が集まり企画・開発・実装をおこない、開催に至ったと児玉氏は語る。

──児玉
「私たちは広義な意味でのマーケティングを支援していきたいと考えています。AIも本来はデジタルマーケティングのツールと同じように、多くの人の選択肢に入っていけるはずです。

ですが、このプロジェクトが行われるまで、多くの電通社員がAIに対して漠然とした苦手意識や距離感を持っていることで、AIは提案の選択肢から外れていたように感じます。

本プロジェクトをきっかけに、社員にとってAIがもっと身近になり、AI要素技術を取り入れた提案や協業が生まれればと思います」

広告代理店が手がけるAIの未来

電通らしさを体現した創造性に溢れたAIの活用が多く見受けられた本プロジェクト。導入、展示された多くのAIが今までにない体験を生み出していた。

広告代理店のイメージが強いあまり、AI導入などの相談とはなじみが薄いように思える電通だが、広告で培った底力は電通のAIにも好影響を与えていた。

社会に浸透しつつあるAIが、加速的に日常に浸透するとき、そこには電通の存在があるのかもしれない。

小出 拓也
高校卒業後、ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校に入学、サステナビリティを学ぶ。現地での起業経験を経て、レッジに参画。ライフワークとして分散型のソーシャルメディアプラットフォーム「ALIS」のアンバサダーを務め、ブロックチェーン技術の啓蒙活動にも尽力している。

「AI:人工知能特化型メディア「Ledge.ai」」掲載のオリジナル版はこちら電通の底力が作り出した、オフィスにAIがある日常

この記事の筆者

AI(人工知能)やbotなどの最新技術とマーケティングの現場をつなぐLedge.ai(旧デジマラボ)の出張所です。

Ledge.aiが運営する「Ledge.ai」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしています。


[ユーザー投稿] 【神奈川県】第1回電子工学センター主催 ~セキュリティーソリューションセミナー~

「軽減税率」「キャッシュレス決済でのポイント還元」の認知が9割超え、不満も徐々に解消?【インテージ調べ】

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インテージは、消費税増税から約1か月を経た10月末に、「軽減税率の認知」「品目ごとの税率の理解」「軽減税率への印象」「キャッシュレス決済を対象とするポイント還元についての認知」などに対する調査を実施した。

「軽減税率」の認知は97.7%にまで到達、品目の理解も進む

まず、今回の増税で導入された「軽減税率」の認知状況を確認した。その結果「内容を理解している」が前回調査(9月実施)より20ポイント弱上昇し63.2%に。「名前は知っている」34.5%と合わせて、97.7%にまで到達した。


 

軽減税率では、例外(経過措置)として、酒類を除く飲食料品や一部の新聞などの税率が、8%据え置きとなっている。対象・対象外の品目について個別に尋ねたところ、税率10%の品目については、8~9割前後が、税率8%の品目についても、7~8割が「消費税8%」または「8%と10%の両方」と回答しており、理解が滲透したことが伺える。


 

軽減税率、やはり肯定派より否定派が上回る。理由は「複雑さ」と「品目の狭さ」

この調査では、「軽減税率に対する印象」について、「肯定的な印象を持っている」~「否定的な印象を持っている」の5段階で質問している。過去4回の調査を見ると、2018年11月、2019年4月の調査では、“肯定派”(肯定的+どちらかというと肯定的)のほうが、“否定派”(否定的+どちらかというと否定的)を上回っていたが、2019年9月調査では、圧倒的に“否定派”が多くなっていた。

それが、増税後の今回の調査では“肯定派”が増加し26.1%まで回復、“否定派”は32.9%に減少した。ただし、自由回答では、「分かりにくい」「複雑」「適用される品目が少ない」といった理由から、肯定的な印象を持たない人が一定する存在した。とくに「オムツや生理用品といった日用品、電気・ガス・水道などにも軽減税率の対象を広げてほしい」という意見は根強い。

ちなみに、「軽減税率での8%据え置き」(期限未定)と「キャッシュレス決済時のポイント還元」(2020年6月まで)を混同して「軽減税率が来年6月で終わるのは納得できない」と、間違って理解している意見も見られたという。


 

キャッシュレス決済によるポイント還元、認知が9割台に

今回の増税では、「キャッシュレス決済時のポイント還元」も期間限定で導入されている。こちらの認知は9月調査時点では76.1%だったが、今回は92.1%となり、9割台に乗った模様。


 

「ポイント還元が利用額の5%(または2%)であること」「中小小売店でキャッシュレス決済した購入が対象であること」「実施期間が2019年10月からの9か月間であること」といった制度の詳細についても、9月時点より「知っている」が大きく増加していた。


 

調査概要

【調査対象】全国20~69歳の男女
【調査方法】インテージ「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
【調査期間】2019年10月28日~30日
【標本数】3,3384人

※2019年9月調査は標本サイズ:n=1,673、調査実施時期:2019年9月19日~2019年9月24日
 2019年4月調査は標本サイズ:n=2,113、調査実施時期:2019年4月26日~2019年5月7日
 2018年11月調査は標本サイズ:n=2,122、調査実施時期:2018年11月22日~2018年11月26日
この記事の筆者

冨岡 晶(Web担当者Forum 編集部)

編集者/ライター。

インタビュー取材対象は、アイドルから経営者・開発者まで幅広く。

浅井愼平(カメラマン)、浮川和宣(ジャストシステム創業者)、奥華子(歌手)、小倉優子(タレント)、笠原健治(mixi創業者)、越中詩郎(プロレスラー)、ジャンヌダルク(ロックバンド)、田中良和(GREE創業者)、長州力(プロレスラー)、ティム・バートン(映画監督)、手塚紗掬(女性プロ麻雀士)、弘兼憲史(漫画家)、総務省など。※敬称略

数年前に、どうしても都合が合わず、SKE48・須田亜香里さんのインタビューを担当できなかったのが心残り。

[ユーザー投稿] 年賀状をメールで一斉配信するなら 絶対に知っておきたい3つのポイント

DACがデジタル活用における屋外・交通広告効果測定に関する特許取得

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インターネット広告のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)は、デジタル活用により屋外・交通広告の効果を測定する仕組みに関する特許を取得した、と11月11日発表した。

特許を取得したのは、アプリ事業者などのパートナー企業が保有するユーザーの移動履歴や属性情報を組み合わせることにより、ユーザーが、屋外・交通広告に接したかどうかを判定し、広告認知率、ブランドリフトなど広告効果を測定することを可能とする仕組みで、インターネット広告と同様な次世代型プランニングおよび効率的なPDCAサイクルの確立を実現するという。

屋外・交通広告は、これまで以上にインタラクティブな表現が可能となっており、今後の発展や需要の拡大が期待されている。今回特許を取得した仕組みでは、デジタルの活用により、屋外・交通広告におけるキャンペーンや広告クリエイティブごとに、人的および費用的な負荷の少ない広告効果の測定が可能になった。

[ユーザー投稿] 【12/12(木)】WEBで成功するために必要な「Web集客」「Web接客」「リピート促進」戦略を学ぼう!【無料@大阪】

ChatBookとMarketo Engageが連携、MarketoとFacebook Messengerとの連携は初

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情報通信のChatBookは、アドビのマーケティングオートメーションプラットフォーム「Marketo Engage」と連携を開始した、と11月12日発表した。Marketo Engageを利用してFacebook Messengerでの自動マーケティングを行えるのは、ChatBookが初となる。

Marketo Engageとの連携を利用することで、チャットボットと会話したユーザーや会話の内容を追加することができ、Marketo Engage上でオートメーションルールに入れることが可能になる。

従来、ChatBookを利用して見込み顧客を獲得していた際、Marketo Engageで管理するためには顧客情報を手動で入力する必要があった。今回の連携で、ChatBookで作成したフェイスブックページ上で獲得した見込み顧客はMarketo Engageに自動で追加・更新され、他のマーケティングツールを利用して獲得した見込み顧客との統合ができるため一元管理ができる。

 

Instagramハッシュタグ検索ツールがアプリ化、キーワードから検索し、盛り上がっているハッシュタグを選択可能

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ハッシュタグキーワード検索機能


本文保存機能


タグ保存機能

情報通信のhashoutは、Intagramハッシュタグ検索ツール「タグジェネ」をアプリ化した、と11月12日発表した。タグジェネはInstagramの投稿に使用するハッシュタグを、 キーワードから検索し、ハッシュタグの盛り上がり度を基にセレクトする。

タグジェネの機能は、「Web版タグジェネハッシュタグキーワード検索機能(複数キーワード対応)」「本文・タグ保存機能(選択したタグや作成した本文を保存しておける)」など。

また、「Instagramでのわずらわしい改行も対応」しており、選択したハッシュタグをもとに、投稿内容を作成することもでき、instagramで改行がなくなってしまう現象も解消できる。なお、タグジェネはiphone、android両対応となっている。


[ユーザー投稿] 3ヶ月で100投稿してわかった、TikTokでファンを獲得するために守るべき3つのポイント

自然検索での流入6倍! 『いぬのきもち ねこのきもち』のSEO施策「ストックコンテンツの作り方」 | 【レポート】デジタルマーケターズサミット2019 Summer

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通信教育・出版事業で知られるベネッセコーポレーションは、人気雑誌『いぬのきもち』『ねこのきもち』の発行も行っている。当初は雑誌の販促目的で立ち上げたWebサイト「いぬのきもち ねこのきもち WEB MAGAZINE」であったが、雑誌以外の事業拡大に向けて運営方針を転換。それに伴い、新ドメイン「いぬのきもち WEB MAGAZINE」「ねこのきもち WEB MAGAZINE」をローンチ、SEO施策に取り組み始めた。

そのパートナーとなったのがSEOツール「MIERUCA(ミエルカ)」を提供するFaber Companyである。「デジタルマーケターズサミット 2019 Summer」では、ベネッセコーポレーションの持田氏とFaber Companyの白砂氏が共に進めた施策の成果を振り返った。

持田武資氏白砂ゆき子氏
株式会社ベネッセコーポレーション ペッツ事業部 メディアマーケティング課 いぬのきもち・ねこのきもち副編集長 いぬねこメディア統括ディレクター 持田武資氏(左)、株式会社Faber Company コンテンツマーケティング部 シニアコンサルタント 白砂ゆき子氏(右)

SEO施策に向いているものとそうでないもの

ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)が運営するWebメディア「いぬのきもち WEB MAGAZINE」「ねこのきもち WEB MAGAZINE」は、犬や猫の飼い主だけでなく、これから犬や猫を飼おうとする人たちや、犬や猫が好きな人たちを含む幅広い読者をターゲットとしている。

雑誌の場合は読者のほとんどが飼い主のため、お世話の方法を中心とするハウツー系のコンテンツが多いが、「ターゲットが雑誌よりも広い分、Webの方はさまざまな方の共感を得ることを重視する方針」と持田氏は解説する。

理想の流入元比率は?

白砂氏が考える理想の流入元比率の黄金比は「参照サイト:30%、自然検索が40%、ダイレクトが30%」というもの。

ところが、SEO施策を講じる前、2018年1月のWebサイトの実態は「参照サイト:60%、自然検索:17%、ダイレクト:23%」と自然流入の少なさが目立っていた。これは外部のニュースメディアのほか、Facebook、Twitter、LINEなどのソーシャルメディアへの配信を重視していたためであった。

そこでベネッセは、検索流入を増やすため、既存の記事を4つに分類した。

  • 飼い方やしつけの方法を紹介する「ノウハウ系」
  • 獣医師が質問に答える「医師Q&A」
  • 読んで楽しくなる「エンタメ系」
  • 読んで楽しくなる「マンガ・連載系」

白砂氏は、「ノウハウ系」「医師Q&A」は理論的、「エンタメ系」「マンガ・連載系」は感情的という特徴があると解説。理論的な記事はSEOに向いている一方で、感情的な記事はバズ的コンテンツであり配信に向いているとして、「ノウハウ系」「医師Q&A」をSEOの対象に据えることを勧めたという。

自然検索が伸び悩んでいた理由

そもそもなぜ自然流入が伸び悩んでいたのか。

その原因として白砂氏は、検索キーワードをある程度は意識していたが、そのキーワードで検索するユーザーの意図までを深掘りするには至っていなかったからと分析する。

例えば「犬 甘噛み」を検索する人がどういう意図で検索しているのか、サジェストキーワードや検索結果を分析すると、「理由が知りたい」「しつけを知りたい」という意図で検索していることがわかる。だが、それまでは記事に反映することを意識した検索意図の深掘りはしていなかったと持田氏は話す。

また、当時はやりたくてもすぐには深堀りができないという事情もあった。ニュース配信サイト向けのコンテンツを大量に制作する必要があり、そちらにリソースを割いていたためだ。

その結果、キーワードが「犬 甘噛み」の場合、同じキーワードに関連する記事が3つも存在する状況であった。

フローコンテンツでも検索ニーズを捉えることはできるが、中身がライトな分、検索意図の全てを満たせない(白砂氏)

検索流入を稼げていなかった2つの理由

この状況を踏まえ、白砂氏が提案したのは、毎日の配信用のライトな記事(フローコンテンツ)と、課題解決用の記事(ストックコンテンツ)を明確に分けた制作である。

持田氏はこの提案を受け、ストックコンテンツは手間暇をかけて読み応えがあるものを作り、フローコンテンツはクリックされるために切り口を徹底的に考え抜いて作るようチームで方針を転換した。

ストックコンテンツとフローコンテンツ

ストックコンテンツ制作で重要な検索意図の理解

ストックコンテンツにおいて重要なのは、ユーザーの「検索意図」の把握である。検索語の行動を意識したキーワードを見つけるために両社が共同で行ったのが、サジェスト調査である。これは考えられる全てのキーワードを洗い出し、検索意図を抽出するために行うものだ。その結果、以下の4種類のキーワード群が浮かび上がった。

  • 犬種・猫種系キーワード:「小型犬」「チワワ」「マンチカン」など
  • 病名・症状系キーワード:「猫エイズ」「犬 吐く」など
  • しつけ・行動系キーワード:「甘噛み」「猫 爪とぎ」など
  • アイテム・物販系キーワード:「ドッグフード」「ハーネス」など

明らかになったのは、「かわいい」「画像」「動画」といった検索キーワードは猫の方が多いが、しつけや世話に関する検索は犬の方が多く、かつキーワードのバリエーションが多いことだ。

たとえば、「犬 ぶどう」「犬 チョコ」「犬 ヨーグルト」など、犬の場合は食べ物を組み合わせた検索が多い。

持田氏は、「犬は犬種によって飼い方が違うので犬種にファンが付くが、猫のファンは猫全体に付く。食べ物の検索が多いのは、食べ物に慎重な猫と違い、犬は飼い主が与える食べ物はなんでも食べてくれる傾向があるから」と意図を推測する。

キーワードの裏側にある検索ニーズは?

これらのキーワードの裏側にある検索ニーズは何か。

白砂氏によると、取引(何かを買いたいとき)クエリ以外の検索ニーズは下記の4つに整理できると言う。

  • 基本的な情報を知りたい「とは検索」
  • 目の前の課題の解決方法が知りたい「How To検索」
  • どれがいいかをお勧めしてほしい「比較検討検索」
  • 気分で検索する「感情検索」

このうち、SEOに向いているのは最初の3つだ。持田氏も「最近は『猫ブーム』と言われているが、犬の方が検索キーワードのバリエーションが多く、SEO施策は犬の方が向いていると思った」と語る。

取引以外の検索ニーズ4つ

「インテンショングルーピング」で検索意図を分析

分析に利用したのは、「MIERUCA(ミエルカ)」が提供している「インテンショングルーピング」機能である。ユーザーが実際に検索しているキーワードごとに検索意図の近さを類推するものだ。

「犬 ぶどう」というキーワードを例に取ると、次のような検索意図があることがわかる。

  • 犬にぶどうを与えてはいけない理由を知るため
  • 与える前に食べていいかを確かめたい
  • 与えてしまった後に大丈夫かどうか確かめたくなった

つまり、検索意図を捉えて記事を制作する場合、「食べてはダメ」「なぜダメなのか」「食べてしまったけど大丈夫か」をカバーする記事構成にしなくてはならないというわけだ。

インテンショングルーピングを使った検索意図の分析結果

検索意図を踏まえてできた「犬種別の対処法」

この結果を踏まえた記事企画の例として、「愛犬がぶどうを食べてしまった時の対処方法」の記事が示された。

構成自体は主に「食べてはいけない理由」と「食べた時の対処法」について説明するものであったが、白砂氏が添削時に驚いたのは、対処法が犬種別にどのぐらいの量を食べると危険かがわかる早見表が挿入されていたことだ。

この早見表の作成のヒントとなったのは、「犬 ぶどう 一粒」という検索キーワードだった。持田氏は、「小型犬と大型犬は体重が違うので、チワワではぶどう一粒でも与えてはいけないが、秋田犬のような大型犬では事情が変わる。犬を飼っている人がどんな思考でこのキーワードを検索したかを考えた」と企画意図を説明した。検索する飼い主の意図を深く理解する「いぬのきもち」だからできたコンテンツと言えるだろう。

この記事は公開から1.5か月程度で検索結果1ページ目に表示される代表的なストックコンテンツとなった。

犬種・猫種のビッグキーワードを意識した「図鑑」施策

ベネッセでは、この他にもサジェスト調査の結果からストックコンテンツの制作を進めている。現在力を入れているのが「図鑑」である。これは猫種や犬種のような「ビッグワードに対応するコンテンツをどうすれば上位表示できるか」から始まった企画だという。

サジェストキーワードの例には、「ヒマラヤン」「ヒマラヤン 猫」「ヒマラヤン 性格」などがある。実際に検索をしてみると、上位にヒットするのは図鑑やウィキペディアなどが多い。

また、Googleのナレッジグラフ(ある検索に対し、結果に関連する情報を同時に表示するもの)の結果を見ると、他の種を複数表示している。この検索意図を考えた結果、「これからヒマラヤンを飼いたいと考えているのではないか」という仮説を立てた。

犬種&描種は1枚記事で上位表示できるの?

その犬種・猫種検索者の検索ニーズを満たすには、次の項目を網羅した図鑑形式のコンテンツが望ましいという結論になった。

  • 写真・見た目
  • 性格や性質、飼いやすさ
  • 価格相場
  • 似ている他の猫(類似種)

サイトには以前から簡易的な図鑑はあったが、白砂氏は次のように従来の図鑑の問題点を指摘し、比較検討ができるものにしようと改修を提案した。

  • 図鑑という割には画像がない
  • 内容が薄くありきたり
  • 誘導リンクがすでに飼っている人向け

新しい図鑑は画像やレーダーチャートを入れるなど、ユーザー体験にこだわった構成を採用。犬は約130、猫は約40の図鑑コンテンツを準備した。10月にローンチを実現したが、「ヒマラヤン」や「オーストラリアンシェパード」のように、検索順位1位を獲得するものも出始めたという。

記事とは異なり、図鑑の場合は一つのコンテンツを見ると、連鎖的に他のコンテンツを見てくれるという特徴がある。

白砂氏は、「図鑑のコンテンツは、一つか二つが上位表示されれば、他のコンテンツも合わせてアクセスが増やせる」と話し、無理に読みものコンテンツでの上位表示を狙わなくてもできる好例と評した。

良質な記事を量産するために敷いた連携体制

フローコンテンツだけを作っていた時代から、ストックコンテンツに力を入れるようになったベネッセ。現在の編集体制は、持田氏がストック型を担当し、犬と猫のフロー型のコンテンツの担当者と連携しながら、制作を進めている。

SEO施策後の組織体制

「この体制に落ち着くまでに苦労したのは、制作本数と数字目標との折り合いのつけ方だ」と持田氏は語る。今回、ベネッセがユーザーの検索意図を把握するために活用したMIERUCAは、検索ニーズの分析以外にも、公開した記事の分析や効果測定や改修アイデアを得るために役立つ様々な機能を備えている。

最後に白砂氏は、「検索流入を増やす3つのポイント」として下記のとおり講演内容をまとめた。

  1. 検索ニーズからテーマを設計
  2. 検索意図と検索者像をしっかり捉える
  3. ストックとフローの役割を明確化した体制づくり

また、Faber Companyではツールの提供だけでなく、使いこなすためのサポートにも力を入れており、ユーザー会の規模も拡大中であること、SEO対策に関する課題解決のヒントを得られる機会を多く提供していることをアピールし、講演は締めくくられた。

この記事の筆者

冨永裕子(とみながゆうこ)

IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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この記事の筆者

二村 茜(Web担当者Forum 編集部)

書籍編集を経て、現在Web担Forum編集部へ。

趣味は書道、写真とジェットスキー、SUPでインドア&アウトドア派です。

紙物や文房具が好きです。

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