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トランスコスモス、ネット炎上リスクマネジメント「炎上保険@コールセンターサービス」開始 [ニュース] | Web担当者Forum

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ITアウトソーシングサービスのトランスコスモスは、インターネットでの風評被害監視から、緊急事態発生時のコールセンターの開設まで総合的に支援するネット炎上リスクマネジメント「炎上保険@コールセンターサービス」を始める、と7月14日発表した。インターネットの炎上リスクに特化したサービスとなり、風評被害による損失を最小限に抑える。ネットの風評被害・誹謗(ひぼう)中傷対策サービスを手掛けるシエンプレと提携して実施する。

シエンプレの風評監視サービス「炎上保険」と、コールセンターを最短1日で開設するトランスコスモスの「緊急コールセンターサービス」を組み合わせた。初期費用は、監視ツール設定、緊急時対応ドキュメント作成、緊急対応用回線確保で20万円。指定サイトの風評監視とレポーティングの監視業務が月額3万9800円、緊急対応用回線維持が月同2万円となる。2014年度内に30件の導入を目指す。シエンプレは現在2200社以上にサービス提供している。

トランスコスモス
http://www.trans-cosmos.co.jp/

シエンプレ
http://www.siemple.co.jp/

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オリジナル記事:トランスコスモス、ネット炎上リスクマネジメント「炎上保険@コールセンターサービス」開始 [ニュース] | Web担当者Forum
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ヤフー、人生の最期に関連するオンライン総合サービス「Yahoo!エンディング」開始 [ニュース] | Web担当者Forum

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ヤフーは、人生の最期(ライフエンディング)に関連するオンラインの総合サービス「Yahoo!エンディング」を7月14日に始めた、と同日発表した。人生の終わりに向けたいわゆる「終活」を支援する。自身が亡くなった時に備える「生前準備」、葬儀の見積りを確認・手配できる「葬儀手配」、相続税や遺言状などの基礎知識が分かり、専門資格者に依頼が可能な「相続・遺言」などのコンテンツで構成する。葬儀情報サイトを運営する鎌倉新書の協力で展開する。

生前準備は、利用登録することで自分が亡くなった際、最大200人に送付されるメッセージを個別作成したり、生前に登録した友人・知人に共通の別れのメッセージを表示する機能を備える。死亡が確認できた段階でヤフーの課金システム「Yahoo!ウォレット」を停止し、ストレージサービス「Yahoo!ボックス」のデータを削除する。死亡は公的な火葬許可証を基に確認する独自の方法を採用し、なりすましを防ぐ。書面で確認したうえで生前準備の内容を実行する。

ヤフー
http://www.yahoo.co.jp/

Yahoo!エンディング
http://ending.yahoo.co.jp/

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楽天店舗向けクレカ不正利用の損失補償サービス化の背景と狙い~楽天グループ担当者に聞く [ネットショップ担当者フォーラム ダイジェスト] | Web担当者Forum

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この記事は、ネットショップ担当者フォーラムで公開された記事を、許諾を得てWeb担当者Forumで転載したものです。

楽天の100%子会社で、「楽天生命」などの保険サービスを展開する楽天インシュアランスプランニングは5月1日、楽天市場の出店店舗を対象に、クレジットカードの不正利用で発生した損失を補償するチャージバック補償サービスの受付を開始した(関連記事)

チャージバックを補償するサービスはEC業界では珍しく、楽天が始めた狙いは何なのか。今後の展開を含めて楽天インシュアランスプランニングの堀籠太郎リーダーと加藤拓之営業推進部長に聞いた。

 

写真左が加藤拓之氏、右が堀籠太郎氏

チャージバック補償制度を求める多くの出店者の声でサービス化

――チャージバックサービスを始めた狙いは何なのか。

堀籠:従来、チャージバックに対する損害はすべて出店店舗が負担することになっていた。ただ、出店者の多くは中小企業なので、チャージバックの被害によって事業が傾くというケースも少なくなかった。そのため、多くの出店者から、チャージバックを補償するサービスを作って欲しいという話をいただいており、保険会社のシステムを利用することでサービスを展開できると考えた。

――楽天市場内のチャージバック発生率は高まっていたのか。

堀籠:そんなことはない。チャージバック発生率は、楽天や楽天カードが随時新たな施策を打ってきた効果で、年々下がってきている。とはいえ、チャージバックに困っているという出店者の声は聞いていたので、それに対するサービスを考えて用意することになった。

――すでにチャージバック補償サービスを展開している決済代行事業者の場合、保証会社と組んでサービス提供する事例が多いが、御社ではどのようにサービスを提供するのか。

加藤:今回は保険の枠組みを利用できるため、どこか他の保証会社と組むことはなく、楽天インシュアランスプランニングとしてサービスを提供する。

――今回、2種類のコースを用意した。  

加藤:店舗の大きさや商品構成によってグレードを2つ分けた方が利用しやすいと考え2種類にした。今後、提供していく中で、より高額な補償を行うコースなどが必要であれば将来的に検討したい。

日々増える問い合わせ、数千店舗の加盟を見込む

――取扱商品ジャンルによってチャージバックが発生しやすいジャンルと、発生しにくいジャンルがある。たとえば、発生しやすいジャンルの店舗はサービス導入に条件が付くといったことはあるのか。  

堀籠:どんなジャンルでもサービス導入に制限をかけるということはない。確かに発生しやすいジャンルというのはあるだろうが、今回は加入のしやすさに重点を置いたため、どのジャンルでも同じサービスにした。

――海外からの注文に対しても今回の補償の対象となるのか。  

加藤:国際販売においてはチャージバック補償サービスをすでに提供しており、今回のサービスは国内からの注文に限って補償するサービスとなる。今後も、両サービスを併存する形で続けていく考えだ。

――5月1日にサービスを発表して半月、反響はどうか。  

堀籠:日々お問い合わせの電話が増えており、スタートとしては順調だと思う。今後、「楽天EXPO」などを通じて店舗に伝えていくことで、このサービスについて知らない店舗がないようにしたい。

――目標とする加入店数は。

加藤:具体的な数値は話すことができないが、数千店舗の加入を見込んでいる。

――今後の展開は。

堀籠:まずは、チャージバック補償サービスを多くの店舗について知ってもらえるように活動を行っていく。当社ではこのほか、情報漏えい保険などEC事業者向けサービスを行っており、今後こうしたサービスを合わせて提案し、EC事業者にとって楽天インシュアランスプランニングがより身近な存在になるようにしていきたい。

オリジナル記事はこちら:楽天店舗向けクレカ不正利用の損失補償サービス化の背景と狙い~楽天グループ担当者に聞く(2014/05/28)

ネットショップ担当者フォーラム
ネットショップ担当者フォーラムについて

ネットショップ担当者フォーラムでは、ECサイトを運営する企業の経営者や運営担当者、制作者が語り合う場所や、“ここに行けば情報がある”、“ここに行けば問題が解決できる”を目指したメディア運営をしています。

この記事の筆者
ユーザー 中川 昌俊(ネット担当者フォーラム) の写真

中川 昌俊(ネット担当者フォーラム)

大学在学中に起こったアメリカ同時多発テロに触発されて、紛争地などの取材を開始。

ただし、実力もコネもないフリーライターがうまくいくような世界ではなく、たまたま記者を募集していた通販・訪販の専門紙新聞社に入社。

EC業界を取材する記者として8年間勤めたのち、ネットショップ担当者フォーラムに記者として参加。

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ユーザーの視線をあっちこっちに移動させる入力フォームはNG! 離脱を減らすコツ /15か条の4 [勝手にEFO分析-エントリーフォーム改善] | Web担当者Forum

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入力フォームの項目のできるだけ近くに入力例や入力形式、注意書きを表示して、ユーザーの視線の動きを最小限にすることによって途中離脱を減らそう! 1つ目の項目への入力を開始したユーザーに最後の項目まで入力してもらうための入力支援のコツを解説します。

この記事では、入力フォームを改善して入力完了率を上げる! エントリーフォーム最適化15か条【第4条】「入力例や入力形式を明記すべし」をご紹介します。リンクをクリックすると第4条のまとめに飛びます。

入力を開始したユーザーが離脱しないよう入力支援をしよう!

フォームまでアクセスしてくれたのはよいものの、項目を1つも入力することなく入力ページを閉じてしまうのが「直帰」です。この直帰を減らすために、これまで3回にわたり「スムーズに入力開始してもらうためにはどうしたらよいか」について考えてきました。

では、ユーザーが1つ目の項目の入力を開始してくれたとして、2つ目以降の項目の入力を途中でくじけることなく進めるには何が必要でしょうか?

それは1つ1つの項目についてユーザーが迷いなく入力してくれることです。

今回と次回、「ユーザーの入力を励ます編」と題し、入力を開始したユーザーが途中で入力をあきらめて離脱しないよう、ユーザーの入力を支援するにはどうしたらよいかについて考えます。

ユーザーの気持ちになってエントリーフォームを見てみよう!

では、今回の例を見てみましょう。このエントリーフォームをパッと見た瞬間、どんなことを感じますか?

イオンスクエア会員登録フォーム

「左のピンクの見出し項目」と「入力欄の中に表示されている文言」がほぼ同じになってしまっています。なんだか冗長な感じがしませんか? これでは、左のピンクの見出し項目はなくてもいいのではと思ってしまうくらいです。

また、項目ごとの注意書きが右側に配置されていますが、入力項目から遠いため、入力に際して左右の視線移動が発生してしまうのも入力しにくさにつながっていると思います。

では、こちらはどうでしょうか? 入力欄の下にあった「入力例」を「入力欄の中」に記載し、「右側の注意書き」を「入力欄の下に配置」しただけで、ずいぶんと見やすくなったと感じませんか。

エフ・コード流改善案:入力欄の中に入力例を入れ、視線の動きを少なくする

入力欄の近くに入力するための必要情報がまとまって記載されるだけで、視線の動きが少なくなり、ユーザーは迷いなく項目ごとの入力を開始できるはずです。

今回は、このエントリーフォームを例に、勝手に入力完了率アップのための改善すべきポイントを解説し、改善案を提案します。

【第4条】入力例や入力形式を明記すべし を解説します

第4回の「惜しい!」エントリーフォームとして紹介するのは、イオンスクエア様の会員登録フォーム「イオンスクエアメンバー基本情報登録」フォームです。

良いポイント
ゆったりしたレイアウトと、入力支援機能を入れている点は○

余白をゆったりととったレイアウトになっているので、各項目に集中しやすい。エラー表示ができるだけ他の項目に重ならないように配慮してある

良いポイント:余白をゆったりと取ったレイアウトとエラー吹き出しが周辺要素とかぶらない

ゆったりとしたレイアウトは、前回のファーストビューのためのコンパクトなレイアウトづくりとは対極にありますが、各入力項目に意識を集中させやすいというメリットはあります。

また、必須入力項目にフォーカスを当てた後、入力に誤りがあった場合はリアルタイムにエラーが表示され、入力せずに他の項目へ進むと入力を促す吹き出しが出ます。リアルタイムのエラーが出ると、エラーがない状態で次の項目に進める点で○です。また、吹き出し、エラーメッセージが、周囲の要素に重ならないように配慮されています。

改善ポイント
「入力例」「入力形式」「注意書き」を入力項目のできるだけ近くに明記しよう

入力を行う時に視線の動きを少なくするように配置を工夫して、入力のための必要な情報を過不足なく記載することが大事

今回の惜しい点は、次の2つです。

  • 入力のための情報が重複していて、重要な内容がわかりづらい点
  • 入力を行うときに視線の移動が多い点

ユーザーが入力項目ごとに入力を開始するまでに、何をどのような順番で行うかを考えてみましょう。みなさんも、自分がエントリーフォームを入力するときを想像してみてください。大抵のユーザーは、次のようなことをするのではないでしょうか。

  1. 入力する項目名がどのくらいあるのかを確認する
  2. 入力項目が「自分で入力する形式」「選択肢から選択する形式」のどちらなのか確認し、選択する場合は選択肢の内容に一通り目を通す
  3. エントリーフォーム全体を把握した後、入力を開始する

ユーザーは入力項目ごとに、エントリーフォームが求める入力内容を、項目周辺に書かれた情報から学びとり、入力してくれようとしていますから、まずは、そのために必要な情報を過不足なく記載することが大事です。

では、具体的にはどのような情報を用意すべきでしょうか。入力欄にスムーズに入力してもらうために用意する情報として、入力例は必須でしょう。真っ白な入力欄を見て躊躇した経験はありませんか? 入力例があるとないとでは、入力しやすさが大きく変わってきます。

そして入力形式もあるといいでしょう。半角全角や、文字種別、文字数など、フォーム側で求める入力形式があるならそれも書くべきです。さらに補足として注意書きも入れるべきでしょう。

配置も重要です。ユーザーが入力項目ごとに入力を開始するまでの視線移動ができるだけ少なくなるよう配置することで、ユーザーの入力開始に必要な労力を減らすことができます。

改善案
入力項目ごとの入力しやすさを考えて、入力例、入力形式、注意書きを配置しよう

入力項目ごとの入力のための情報の取得のしやすさを向上し、入力項目ごとの入力をスムーズに開始してもらう

入力項目ごとの視線移動について左右の移動を減らし、縦方向中心にすることで入力のための情報取得がしやすくなっています。また、入力例を入力項目内に入れることでレイアウトの節約を行っています。前回のファーストビューの表示内容を増やすためにも有効な策です。

改善前(Before)と改善後(After)を並べてみましょう。いかがですか? 項目ごとで比較すると改善前より改善後の方が視線の移動が少なく、入力を開始しやすいはずです。

入力のための条件が書かれすぎていることはNG

今回、ユーザーに入力してもらう項目は必要な情報を過不足なく、視線移動に配慮して配置することについてお伝えしました。入力例はともかく、入力形式や注意書きは本来は必要ないのが理想です。

これはこれで親切ではありますが、本来は、ユーザーに負担を強いるのではなくて、ある程度の入力の幅は、システム側で受け止めるようにすべきです。

注意書きの全てを読む気になれない例

たとえば、半角・全角どちらで入力してもOKとする、ある程度多めの文字数でもOKとする、などが考えられます。

そのためには、フォームの仕組み側で、幅広いユーザーの入力内容を受け入れる必要があります。具体的には、フォームのフロント側や保存処理の際に入力形式を適切に変換するなどの処理が必要になるでしょう。フォームのシステムとも大きく関わる部分なので、フォーム改修時に作り替えるのは難しいかもしれませんが、新たにフォームを企画するときには「できるだけ注釈が必要ないフォームにすべき」です。

【第4条】入力例、入力形式を明記すべし

  1. 入力項目ごとにユーザーが入力のために必要とする情報(入力例、入力形式、注意書き)を用意し、視線の移動が最小になるように配置しよう。

  2. 入力欄などのユーザーにテキストを入力してもらう項目では、入力例を入力項目内に記載するなどが有効だ。

  3. 入力のルールはできるだけ少ないのが理想だ。エントリーフォームを新規に企画する際は、注意書きの少ないフォームづくりを目指そう。

この記事の筆者
ユーザー 田中慶樹(株式会社エフ・コード) の写真

田中慶樹(たなか よしき)

1974年東京都生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。株式会社エフ・コードでは開発チームに所属、ASP型EFOツール「f-traEFO」のいわゆる「なかのひと」。Web制作とプログラムがともにわかる人材として、エントリーフォーム改善の支援に従事する。

大学卒業後、Web制作会社勤務を経て、Webディレクター/コーダーとして活動。その後、東京R不動産 制作チーム所属を経て、株式会社エフ・コード入社、現在に至る。

株式会社エフ・コード
f-traEFO
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英国政府のWeb担当が作った“デジタルデザインの原則10か条”がスゴい! [編集長ブログ―安田英久] | Web担当者Forum

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Google+ページでもWeb担向け情報発信中!

今日は、英国政府のWebサイトなどを担当する「政府デジタルサービス(GDS)」の部署が公開している「デザイン原則の10か条」について。「良いデジタルサービスを作り、運営していく」ためのポイントがコンパクトにまとめられています。

英国政府(gov.uk)のサイトには、「デザイン原則(Design Principles)」というページがあり、そこには、次のようなことが書かれています。

デザインの原則(英国政府デジタルサービス)
  1. まずニーズからはじめる―― 自分たちのニーズではなく、ユーザーニーズから。本当のユーザーを理解し、そのニーズを知る。想像や思い込みではなく、ちゃんとデータで。

  2. なんでもかんでも手を広げず、するべきことだけをする―― 政府がしなければいけないことだけをし、他の人がすでにやっていたら協力する。

  3. データをもってデザインする―― 試作し、実際のサイトで実際のユーザーにA/Bテストを行い、その結果をデザインに活かすやり方を理解する。

  4. シンプルにすることに心血を注ぐ―― 「シンプルであるように見える」ものを作るのは簡単だが、本当に何かをシンプルにするのは大変なことだ。しかし、それが成すべきことだ。

  5. 繰り返し、繰り返す―― 小さく始めて、実ユーザーでテストして、フィードバックを絵ながら改善を繰り返していく。

  6. 受け入れられやすいものに作る―― アクセシブルなデザインは良いデザインだ。どんな人でも(ネットに慣れていない人にとっても)できるだけ読みやすく、判別しやすいものにする。それによって多少エレガントでなくなるとしても、そうするべきだ。

  7. コンテキストを理解する―― PCのディスプレイのためにデザインするのではなく、人のためにデザインする。どんな場所で、どんなデバイスで、どんな人が使うのかを、真剣に考える必要がある。

  8. デジタルサービスを作るのであって、Webサイトを作るのではない―― 人々に対するサービスはWebサイトだけで完結するとは限らない。検索エンジンも関係するし、リアルな場も併せて使う必要があるかもしれない。どんどん変わりゆくそうした状況を理解し、それを把握してデザインしなければいけない。

  9. 一貫しているべし、単に統一するのではなく―― 使う言葉やデザインをさまざまな場所で同じにするべきだ。そのほうがユーザーには使いやすくなる。それが難しい場合でも、背後に一貫したアプローチがあれば、ユーザーが理解しやすくなる。ガイドラインを暗記するだけでは良いサービスは作れない。

  10. オープンにすれば、物事はもっと良くなる―― 可能な限り、自分たちのやっていることをオープンにする。同僚に、ユーザーに、世界に。コードも、デザインも、アイデアも、狙いも、失敗も。そうすれば、凡ミスが見つかり、もっと良い方法がみつかり、全体のレベルが上がっていく。

上記は、一部は安田による意訳込みで、元のドキュメントに書かれていることのエッセンスを抜き出したもので、実際にはもう少し解説や補足があったり、具体的にどんな風にそれを行ったりしたのかの例が示されたりしています。

オリジナルのドキュメントはこちら(実は2012年のドキュメントです)。

GOV.UKのサイトのプロジェクトと、このデザイン原則がどのように行われているかについては、IA/UXデザイナーの坂本氏が「GOV.UK and the Government Digital Service」というブログ記事で紹介しているので、興味がある方はそちらもご覧ください。

全国民という、非常に多様なユーザー層に対してサービスを提供しなければいけない政府ならではの部分もありますが、そういう部分も含めて、ふつうの企業Web担当者チームで共有しても役に立つ「10か条」ではないでしょうか。

この記事の筆者
ユーザー 安田英久(Web担 編集長) の写真

安田 英久(やすだ・ひでひさ)

株式会社インプレスビジネスメディア
Web担当者Forum 編集長

プログラミングやサーバー、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、現在Webサイト 「Web担当者Forum」編集長。ビジネスにおけるWebサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開してい る。

個人としては、技術とマーケティングの融合によるインターネットのビジネス活用の新しい姿と、ブログ/CGM時代におけるメディアのあるべき姿を模 索し続けている。趣味は素人プログラミングと上方落語と南インドカレー。

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アクティブコア、レコメンドサービス「ac propoza」に効果を最適化するA/Bテスト実装 [ニュース] | Web担当者Forum

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行動ターゲティングソリューションのアクティブコアは、同社のレコメンドサービス「ac propoza(エーシープロポーザ)」に、レコメンド効果を最適化するA/Bテストの機能を7月1日に実装した、と7月15日発表した。A/Bテストは、2パターンのWebページの効果を比較するテストで、ac propozaのA/Bテスト機能では、同じレコメンド箇所に異なるアルゴリズムに基づく内容を均等に表示し、どれがより効果的か検証できる。

担当者は、比べたいアルゴリズムの選択から、レポーティングによる数値結果の比較検証まで1つの管理画面上で実行可能。仮説検証に基づくレコメンド運用負荷を軽減し、レコメンド効果を最大に高められる。A/Bテストのレポーティングは表示回数、クリック数(率)、コンバージョン数(率)、売上高、購入商品で、A/Bテストは、アルゴリズム、データの収集期間、固定表示とレコメンド表示の比較を対象項目にする。

アクティブコア
http://www.activecore.jp/

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トランスコスモス、コンタクトセンターソリューション「Contact-Link」の提供を開始 [ニュース] | Web担当者Forum

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ITアウトソーシングサービスのトランスコスモスは、コンタクトセンターソリューション「Contact-Link(コンタクトリンク)」の提供を始める、と7月15日発表した。コンタクトセンターでの電話、Eメール、Webなどの対応に加え、SMS(ショートメッセージサービス)で顧客との双方向のコミュニケーションを可能にする。SMSを使って効果的に対応できる。コンタクトセンターサービスを導入している企業に提案する。

Contact-Linkは、SMS、電話、Eメール、Webなど、複数の方法を利用した顧客対応履歴の一元管理が可能。トランスコスモスの調査・分析子会社のトランスコスモス・アナリティクスが、蓄積された対応履歴から顧客属性や行動履歴を基にスコアリングすることで確度の高いターゲットを抽出し、施策の効果・効率を向上させる。業務テンプレートが豊富にあるため、企業の要望に応じて短い期間で業務が始められる。

トランスコスモス
http://www.trans-cosmos.co.jp/

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IPA、「情報セキュリティ白書2014」発行、2013年度の被害を基に新たなトピックを掲載 [ニュース] | Web担当者Forum

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独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)は、「情報セキュリティ白書2014」を7月15日に発行した、と同日発表した。情報セキュリティに関連する具体的な事例や攻撃の手口、対策、国内外で進められる政策・法整備状況など、情報セキュリティについて幅広いテーマを取り上げた。2013年度に確認された被害を基に、新たなトピックとしてオンライン本人認証の動向、医療機器の情報セキュリティ、政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準群の改定を加えた。

2013年度は、ウイルスに感染したパソコンからの情報流出、インターネットバンキングでの不正送金被害の拡大があったほか、パスワードリスト攻撃による不正アクセスが多発した。白書では、2013年度の注目する10項目の出来事を概説した後、国内外の事例と攻撃の手口、ぜい弱性の動向や企業・政府の情報セキュリティ対策の状況を紹介。スマートデバイスや制御システム、自動車、医療機器の情報セキュリティ動向や、オンライン本人認証の動向などを解説した。

白書はA4判、228ページで2000円(税別)。IPA、全国官報販売協同組合、「アマゾン」で購入できる。IPAは、今回初めて電子書籍版を制作した。電子書籍版は8月中旬の発行を予定する。EPUB型式で1600円(同)となり、アマゾンで販売する。白書は、企業のシステム開発者・運用者に情報セキュリティの現状や対策のための情報を提供すると同時に、パソコンやスマートフォンなど情報機器のユーザーに情報セキュリティの話題を紹介することと狙いに毎年発行している。

情報処理推進機構
http://www.ipa.go.jp/

情報セキュリティ白書2014サンプル
http://www.ipa.go.jp/files/000040350.pdf

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「Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード 2014」エントリー開始 [ニュース] | Web担当者Forum

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優れたクリエイティブやクリエイターを発掘する、ヤフー主催のアワード「Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード 2014」(YJICA)のエントリー受付が7月15日に開始された。

YJICA 2014では、スマートデバイスに特化した作品を募集し、スマートデバイスならではの新しい体験や可能性を探る。プロ・アマを問わない「一般の部」と、企業や各種団体のブランディング・サービス訴求を目的とした作品「企業の部」の各部門で募集する。受賞作品発表は11月下旬を予定している。

また、Yahoo! JAPANトップページの広告商品「ブランドパネル」の広告を募集する「ヨルパネ!」を同時開催。Yahoo! JAPANの深夜のトップページ広告枠を実験場として、これまでにない新しい広告クリエイティブを募る。

募集期間どちらも8月18日まで。

Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード 2014
http://creative-award.yahoo.co.jp/

ヨルパネ!
http://creative-award.yahoo.co.jp/yorupane/

この記事の筆者

家電量販店の法人通販から、Web担当者Forumの前身である『インターネットマガジン』(2006年5月号で休刊)の編集部へ。休刊までの半年ほど雑誌編集を経験し、Web坦の立ち上げを機にネットマーケティングにかかわりはじめ現在へ。編集兼Web担当者。

企業のWeb活用が当たり前になったとはいえ、ビジネスの歴史からすればまだ10数年ほど。それを支えるWeb担当者の仕事がもっと世の中に広まり、ユーザーともどもよりハッピーになれれば、と考えている。日朝特撮、海外ドラマ、時代劇、デパ地下好き。一押し平成ライダーはクウガ、ダブル。

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始めてますか? スマートデバイス対策 [Yahoo!プロモーション広告 業界情報] | Web担当者Forum

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この記事は、Yahoo!プロモーション広告 公式ラーニングポータルで公開されているリスティング広告「業界情報」の記事を、ヤフー株式会社の許諾のもと転載しています。オリジナルの記事はYahoo!プロモーション広告 公式ラーニングポータルのサイトでご覧ください。

こんにちは! 本日は第5回「始めてますか? スマートデバイス対策」をお送りします。

毎シーズン、新モデル機種が発表され勢いを増しているスマートフォン。スマートフォンユーザーの急激な増加については目を見張るものがあります。

また、スマートフォンに加えて、パソコンはもちろんタブレット、電子書籍端末など、1人が複数のスマートデバイス端末を所有することも珍しくなくなってきました。

まだパソコン向けの広告しか出していない方も、そろそろスマートデバイスに向けた広告の準備を始めましょう!

どうなってるの? スマートデバイス事情

インターネットを複数のデバイスで使う場合の使い分けや検索キーワードの傾向など、まずはマルチデバイスに関する調査結果を見てみましょう。

複数デバイス所有者はどう使い分けているか?

マルチスクリーン(前編)複数のデバイスを使い分ける

マルチスクリーン(後編)動画視聴とショッピングの現在

スマートフォン・パソコン・タブレットで共通する検索キーワードは?~2013年:デバイス別検索キーワード上位100

ウェブサイトと広告の準備をしよう!

ウェブサイトをスマートフォン用サイトに最適化(スマホサイトビルダー)

ウェブサイトのスマートフォン最適化がまだの方は、スマホサイトビルダーを活用して無料でかんたんにスマートフォン対応サイトを作りましょう。

入札価格を調整してメリハリある運用を(スポンサードサーチ)

スポンサードサーチでは、インターネットユーザーが検索を行う「デバイス」「曜日・時間帯」「地域」ごとに、入札価格の増減率を調整することができます。

デバイスターゲティングでデバイス別の広告を(YDN)

YDNのターゲティングは、デバイス別に設定できます。想定される利用シーンに合わせて広告を作成しましょう。

同一ユーザーに、デバイスの垣根を越えた広告配信(サーチターゲティング)

サーチターゲティングなら、PCで検索したキーワードを元に、同一インターネットユーザーのスマートフォンに広告を配信するなど、複数のデバイスを横断して継続的なアプローチが行えます。

どんどんインターネットの中心となっていくスマートデバイスにしっかり対応していきましょう!

オリジナル記事はこちら:始めてますか? スマートデバイス対策(2014/06/12)

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楽天市場に年間1万件以上のランキング1位が生まれる理由 [企業ホームページ運営の心得] | Web担当者Forum

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Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の368

売れる仕組みとは

「品質」だけがランキングの順位を決めるものではないとは、前回のおさらいであり、「ランキングを作る」という発想の基本です。ランキングとは「良い商品の順番」の同義語ではないということです。たとえば、次の2つの商品があったとします。

  • 1本:1万円のエナジードリンク
  • 1本:100円のエナジードリンク

それぞれの「品質(中身)」を比較したならば、1万円の商品に軍配が上がることでしょう。しかし、コンビニで数多く売れるのは100円の商品です。売価が購買意欲に大きく影響するからです。

また、価格が同じ100円のエナジードリンクだとしても、

  • ドリンクA:仕入れ値50円
  • ドリンクB:仕入れ値70円

なら、ドリンクAの売上が伸びると考えられます。売り手は、陳列に工夫を凝らすなどして、利益率の高い商品を売ろうとするからです。こうした「さじ加減」が「ランキングを作る」のです。

本稿におけるランキングとは、マーケティングのための方便、あるいは「お客を楽しませるための技術」と位置づけています。

セグメント化で作りだす

ランキングを作るためのアプローチを、Web業界が好きなカタカナ言葉にすると「セグメント化」になります。

ランキングとは「相対評価」で、「評価基準」が変われば順位は変動します。同様の商品群で比較する「種別(ジャンル)」、価格帯による「価格別」、さらに「顧客(属性)別」では所得層や住所・所在地、性年齢別で「セグメント化(細分化)」します。そのセグメントを組み合わせた「評価基準」によって、望み通りのランキングを生みだすことができます。

具体的には、

足立区在住40才独身男性が購入した5,000円台の生活家電ランキング

というように、セグメントの組み合わせ次第で、希望通りの序列を作りだすことができます。本稿ではわかりやすくするため、かなり恣意的な例としていますが、広く利用されているテクニックです。

ランキングを量産する方法

さらに便利なセグメントは「時間」です。オリコンが「デイリー」「ウィークリー」とランキングを発表しているように、期間を区切った順位です。この使い方は大きく分けて2つあります。

まず、「特定の期間を切り取る」方法です。売上データの一部を切り取り、あるいは「仕掛け」により跳ね上がった数字をピックアップします。どうしても売りたい商品があるメーカーや、新商品のイメージ戦術などで効果を発揮する方法で、これについては次回「数字の作り方」で深掘りします。

もう1つが「ランキングの量産」です。こちらは流通や小売りのように、特定の商品にこだわりがなく、全体的に売上を伸ばしたいときに利用します。ランキングが販促効果を高めるのは「順位」を「説得力」と錯覚するからです。善良な日本人の多くは、提示された順位(情報)のなかだけで理解しようとします。総勢1,000アイテムにおける「ベスト10」と、11品中の10品の違いに気がつく消費者は少数派です。

楽天市場に見つける効果

楽天市場は、ランキングによる錯覚を最大限に利用しています。「デイリー」「ウィークリー」「年間」という「時間」に、「家電」「健康食品」「コスメ」と「種別(ジャンル)」を組み合わせます。すると以下の式が成り立ちます。

種別×(365日+52週+12か月+1年)=年間のランキング数

つまり、1年間で1つの商品種別に430のランキングが作れるのです。執筆時点で、「ランキング市場」の「ジャンル別一覧」には31項目あるので、最低でも年間13,330種類のランキングとチャンピオンを生み出すことができます。

実際のジャンルはさらに細分化されており、「レディースファッション」という大項目の下には、「ワンピース」「ドレス」などの中項目が存在し、その下には「ショート」「ロング」などがあり、もう1つ下には……と、それぞれにランキング1位が存在します。これが、楽天市場に「1位!」と喧伝するショップが多い理由です。

このモールのランキングを丹念に見ると、マンスリーランキング上位の店が、年間ランキングでは選外である例を多数発見します。そこでランキングの説明をよく見ると、売上などに加えて「独自の審査」とありました。これもまた「さじ加減」です。

エスキモーに売る冷蔵庫

さらに「さじ加減」を発揮すれば、どんな商品でもほめ称えるランキングを作り出せます。冒頭の「1万円のエナジードリンク」は常識的に考えれば、そうそう売れるものではありません。しかし、販売実績しかランキングにならないというのは固定観念。その発想ではエスキモーに冷蔵庫は売れません。

当店のイチオシ エナジードリンク!

一番に推している「イチオシ」とはランキングの一種。イチオシの理由は「価格」と「売れない」ことで、「当店」だけの思いこみであり、それは「さじ加減」なのですが、同様に「2推し」「3推し」を表示すれば「さじ加減100%」のランキングが完成します。繰り返しになりますが、表示された情報だけを判断し、序列の根拠を求めない日本人は少なくありません。

また、1万円の商品が1本だけ売れ、100円のエナジードリンクが99本の販売ならこうなります。

当店売上(高)ナンバーワン

金額ベースに換算すると1万円の方が上。評価基準のすり替えは販促における常套手段です。

本当に売れている商品とは

「さじ加減」の是非はここでは論じません。しかし、実際の商品より良くみせる販促方法は「優良誤認」という、消費者保護のための法律に触れる可能性もあります。そして「ランキング商法」ともいえる実態を見るに、どこかで司法の介入もあるのではと見ています。くれぐれも「やり過ぎ」にはご注意ください。

それでも「ランキングの作り方」を紹介した理由は、ランキング好きの日本人にとって、ランキングはお客を楽しませるツールでもあるからです。先日、実際に私が喝采したランキングはこれ。

雨の日売上ランキング1位

集計期間や方法が明記されておらず、統計学的な信憑性はまったくない情報です。しかし、ビニール傘だったか、ハンドタオルだったか失念しましたが、「だよね」と思わず頷く1位はまるで「あるあるネタ」。POPにあしらわれた「てるてる坊主」イラストからも、お客を楽しませようとする努力が見え、頬が緩んだのでした。

今回のポイント

ランキングの基本はセグメント化

期間の区切りで量産できる

この記事の筆者
ユーザー 宮脇睦(有限会社アズモード) の写真

宮脇 睦(みやわき あつし)

プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。

制作、営業の双方の現場を知ることからウェブとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供し、一業種一社、制作案件は足立区内のみという営業施策をとっている。本業の傍らメールマガジン「マスコミでは言えないこと」を発行。好評を博す。著書に『完全! ネット選挙マニュアル』(Kindle版)、『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)、冷静な視点からのIT業界分析に「週刊ポスト」など、様々な媒体から情報発信を続ける。

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スモールスタートからめざす究極のOne to Oneマーケティング [予算200万円から始めるOne to Oneマーケティング] | Web担当者Forum

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200万円から始めるOne to Oneマーケティング 連載アイコン

予算200万円からトライアルとして実行できるOne to Oneマーケティングのアイデアを紹介し、スモールスタートの可能性を探っていく本連載。最終回となる今回は、これまで紹介してきた3つのマーケティング手法を振り返りつつ、最終ゴールとして目指すべき究極について解説する。

最終的にめざすOne to Oneとは、
企業が持続的な売上や顧客ロイヤリティを得るために、
顧客一人ひとりに合ったカスタマーエクスペリエンス(CX)を、
時と場所を問わず、提供し続けること

これこそ、One to Oneマーケティングの究極の姿であろう。

しかしながら、あるべき姿の実現にはスモールスタートも重要との観点から、“予算200万円からでも実現可能”なOne to Oneマーケティングのアイデアをこれまで3つ紹介してきた。

スモールスタートのOne to Oneマーケティング

ここでは、第1回~第3回までに紹介してきたOne to Oneマーケティングのアイデアを振り返りながら、その有効性を整理してみよう。

アイデア1 Facebookクーポンを使ったターゲティング

Facebookクーポン

Facebookというと、ソーシャルメディアマーケティングを連想するが、One to Oneマーケティングの手段としても活用できる。

Facebookクーポンは、「自社が狙っているターゲット顧客にピンポイントでクーポンを届けたい!」と考える企業であれば、試してみる意義は大きい。その理由は「配信対象を設定できる」からだ。

対象者を年齢層・性別・居住地域等の項目で細かく設定したうえで、顧客一人ひとりの嗜好に合わせたクーポンを配信すれば、自社のターゲット顧客を効率的に店舗・ECサイトへ誘導できる。

たとえば、「エステが趣味で誕生日が1週間以内の東京在住の20代女性」に対して、「誕生日に自分へのご褒美エステ割引クーポン」といったクーポンを効率よく配布できるのだ。しかもクーポンを配布した顧客に対し、リマインドを兼ねて再度Facebook広告を打つことも可能である。

アイデア2 Webサイト上の行動履歴を活用したレコメンド

デルのサイトでは閲覧履歴をもとに個人向けと法人向けのページを出し分けている

当然のことだが、コーポレートサイトであれ、ECサイトであれ、そのサイトに来訪するユーザーの目的はそれぞれ異なっている。さらに同じユーザーであっても、来訪の時期によって目的が変化することは容易に想像できる。

しかし、多くのWebサイトでは依然としてマスマーケティング同様すべての顧客に同じ情報の提供を行っている。そこで、ユーザー登録やログイン機能のないサイトでも、過去の閲覧履歴を活用し、個々のユーザーに合わせて適切なコンテンツを提示する「パーソナライズ」を予算200万円以内で始める方法について解説した。

たとえば、過去に訪問したことのあるユーザーならば、ページの閲覧履歴から個人か法人かを判別することは簡単だ。このやり方なら、再訪問のユーザーに対して個人なのか法人なのかを推測し、2度目以降はトップページでどちらかのコンテンツを優先して表示させるといった施策が可能になる。その結果、ユーザーは1クリック分の手間を省けることになる。

パーソナライズを「ユーザーへのおもてなし」と考えれば、顧客の望むことに先んじて対応することもその1つだ。わかりきっていることなら、わざわざ選んでもらわずにこちらから提示することで、ユーザーの手間は減り、満足度は高まるはずだ。

アイデア3リアルチャネルとスマホを連動させたOne to One施策

iBeacon

iBeacon(アイビーコン)は、スマートフォンなどに搭載されているBluetoothを使った近距離通信の仕組み。店舗内などに対応端末を設置しておくことで、来店した顧客にクーポンや商品情報などをプッシュ配信できる。O2Oを実現するための仕組みとしても注目されている。

複数のチャネルをシームレスにつなぐオムニチャネルOne to Oneマーケティングが前回のテーマだった。

たとえば、リアル店舗内の位置データを把握し、顧客のスマホアプリ上や店内貸出タブレット上で商品・サービスを自動レコメンドして「ついで買い」を促進したり、「商品情報」「クーポン」「ポイント」を配布したりするといった施策は、iBeacon等の小型センサリング端末とスマホアプリを組み合わせることで実現可能である。

実際、米国のメジャーリーグ「ニューヨークメッツ」の本拠地であるシティーフィールドでは、このiBeaconが導入されている。顧客がスタジアムに近づくと今日の対戦情報がプッシュ通知で送られ、球場に入ると位置情報で判定されてポイントが貯まり、スタジアム内のお店に近づくとクーポンが送られるというような施策は現実のものとなっている。

究めるための鍵は「シナリオ」と「プラットフォーム」

これまで紹介したアイデアは、スモールスタートの一例であるが、究極のOne to Oneマーケティングに照らすと、まだまだ「限定的」であることは否めない。

Facebookクーポン、Webサイト上のレコメンド、リアルチャネルとスマホを連動させた施策は、シーンやチャネルが限定されており、結果として購買ファネルの一部を満たす位置づけにとどまる。

めざすべき究極の姿とは、以下に示すような購買ファネル全体を見据えたオムニチャネルのOne to Oneマーケティングである。

One to Oneマーケティングの究極の姿

顧客一人ひとりが生涯に渡って、自社の商品・サービスが関わるあらゆるシーン・チャネルで、パーソナライズ化されたエクスペリエンスが、高度なデータ分析に基づいて、ほぼ自動的に提供される状態。

この状態を実現するには、「シナリオ」と「プラットフォーム」が重要だ。

「シナリオ」については、購買ファネルを見据えたカスタマージャーニーマップを描き、関連する施策をプロットし、パーソナライズによる効果が期待される施策を特定し、実行・更新することが求められる。

カスタマージャーニーマップの例
「定年退職者に向けた投資信託セミナー誘導までのシナリオ」

「プラットフォーム」については、顧客データ収集・加工・分析/解析・チャネル連携機能を備えたマーケティングプラットフォームが求められる。

広告配信データ
アクセスログ
CRM
顧客データ
ソーシャルメディア
他のDMPなど
マーケティングプラットフォーム
広告配信
顧客分析
One to One
必要な機能が統合されたプラットフォームならマーケティング施策を一元化できる

One to Oneマーケティングにより、中長期的に数千万円~数億円のインパクトが期待できる事業であれば、部分最適で個別のOne to One施策・ツール・システムを導入するよりも、すべての機能が統合された高性能CMSを導入するほうが有効な可能性もある。また昨今では、キャンペーンマネジメントシステムやマーケティングオートメーションツールなども高度に進化してきている。こうしたソリューションとのシナジーも考えられるだろう。

まずはスモールスタートでOne to Oneマーケティングの実践感覚と成果をつかみつつ、次なるステージを見据えた自社なりの構想を精緻化する。低予算で始められて、段階を踏んでステップアップもできるこのアプローチは、有効な選択肢の1つといえるだろう。

この記事の筆者
田島 学(アンダーワークス株式会社代表取締役社長)の写真

田島 学(たじま まなぶ)

アンダーワークス株式会社
代表取締役社長

早稲田大学政治経済学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)にてeCRM戦略立案等に従事したのち、独立コンサルタントを経て2006年にアンダーワークス株式会社を創業。金融、情報通信、ヘルスケア、製造業などのWeb戦略/デジタルマーケティング戦略立案、顧客分析、テクノロジー活用、CRMなど多くのプロジェクトに携わる。

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日本オラクル、運用管理ソリューション「Oracle Enterprise Manager 12c Release 4」提供 [ニュース] | Web担当者Forum

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日本オラクルは、プライベートクラウドの迅速な展開を支援する同社の運用管理ソリューション「Oracle Enterprise Manager 12c」の最新版「Release 4」の提供を7月15日に始めた、と同日発表した。複数のデータベースの一元管理、プライベートクラウドの構築・管理、データベースのセキュリティ強化の新機能を追加した。複数のデータベースの稼働状況を一元的、長期的に管理・分析できる新機能「Automatic Workload Repository(AWR)Warehouse」を搭載した。

AWR Warehouseは、データベースのパフォーマンスチューニングで必要になる稼働状況や適正な状態に保つための情報が、一元的に長期で管理可能になる。システムを構築する際にシステムリソースや処理性能を見積もって最適な構成を計画するキャパシティプランニングの正確性を高められる。セキュリティの強化では、管理対象にあるデータベースに含まれる機密性の高いデータを体系的に発見し、保護する機能「エンタープライズ・データ・ガバナンス」を加えた。

日本オラクル
http://www.oracle.com/jp/

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サイバーエージェント、スマートフォンDSPで広告配信在庫が月間1000億インプレッション [ニュース] | Web担当者Forum

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インターネット広告のサイバーエージェントは、広告技術分野のサービス開発を行う同社エンジニアの横断組織、アドテクスタジオが提供するスマートフォンに特化したDSP(デマンドサイドプラットフォーム)「Smalgo(スマルゴ)」と「GameLogic(ゲームロジック)」の広告配信可能在庫が国内最大級の月間1000億インプレッションになった、と7月15日発表した。それぞれアドネットワーク・SSP(サプライサイドプラットフォーム)11社と接続した。

広告配信企業は、アドネットワーク・SSPを横断して広範囲な広告枠に配信できる。Smalgoは最適な広告配信ロジックで自動分析・学習する成果報酬課金型DSPとなり、インプレッション課金で学習した後、成果報酬課金で配信可能。獲得単価を重視しながらより良い条件で広告出稿できる。GameLogicはスマートフォンゲーム提供企業に特化したDSPで、独自のアルゴリズムを基に目標に合わせた配信面や配信ユーザーの精査、価格付けを実現する。

サイバーエージェント
http://www.cyberagent.co.jp/

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ヤフー、スマートフォンホーム画面作成コンテスト「最高のスマホをデザインしよう!」開催 [ニュース] | Web担当者Forum

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ヤフーは、アドビシステムズが運営するデザイン講座「Adobe美術大学」とともに、「Android」を搭載するスマートフォンのホーム画面作成コンテスト「最高のスマホをデザインしよう!」を7月14日に始めた、と7月15日発表した。ヤフーが提携している韓国のスマートフォンアプリ開発会社、Buzzpiaが提供するAndroid端末向けのユーザー投稿型ホーム画面着せ替えアプリ「buzzHOME」で使用できるデザインを募る。8月31日まで応募を受け付ける。

buzzHOMEの利用拡大と、デザイナーやクリエイターを目指す人たちを支援することが狙い。コンテストは学生部門と社会人部門の2部門があり、誰でも応募できる。ヤフーが運営する「Yahoo! JAPAN」やアドビで活躍するクリエイター、デザイナーが審査し、ウェブページで結果を発表する。14作品を「buzzHOME」のYahoo! JAPAN公式アカウントで配信するほか、最優秀の2作品にアドビのクリエイティブ製品契約「Adobe Creative Cloud」1年分を贈る。

ヤフー
http://www.yahoo.co.jp/

アドビシステムズ
http://www.adobe.com/jp/

Adobe美術大学
http://www.adobe-gakuwari.jp/aau/pc/

コンテストページ
http://www.adobe.com/jp/jos/ste/kisekae.html

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直帰されなかったセッションを分析して、魅力あるコンテンツの共通点を探るには?(第15回) [Googleアナリティクス セグメント100選] | Web担当者Forum

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直帰以外のセッション(訪問)に絞ってデータを見ることで、回遊に成功している訪問を参考にサイトをもっとよくしたい

「直帰」を単純な善悪で語ることは難しい。その背景にあるユーザーの利用文脈に応じて、良し悪しの判断が異なるからだ。

高い直帰率は、とかく悪者にされがちだ。「全体として直帰率の高いサイトはなっていない」とか、「直帰率の高い閲覧開始ページはまっさきに改善すべきだ」などと言われている。一方で、ブログなどの読み物サイトでは、おなじみさんが記事更新のときだけ読みにきて直帰するなら、直帰しても満足して帰っていったかもしれないので、それほど悪くない「直帰」があるとも言われる。

いずれにしても、ユーザー理解を深めるためには、この「直帰」セッション(訪問)に焦点を当てるのが有効であることは間違いないだろう。

一般的には直帰セッションそのものを分析することが多いが、今回は逆のアプローチを採ることにする。つまり直帰しなかったセッションに焦点を当ててみるのだ。直帰しなかったセッションの中に、サイトの良い面をもっと伸ばすヒントがあるのではないか、ということだ。今回使うセグメントは、次の2つだ。

  • 直帰以外のセッション
  • 直帰セッション

直帰セッション(または直帰以外のセッション)に絞り込んで分析できるようにする方法

今回紹介する「直帰セッション」に絞り込むセグメントは、標準で用意されているセグメントだ。まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。

図1:「+セグメント」をクリックする

「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示される。

図2:セグメント機能(グリッド表示)

注:一覧表示(図2黒枠部分)を選択している場合などでは、図2と同じ見え方にはならない。

この画面の左側、セグメントの表示部で「システム」(図2赤枠部分)を選択しよう。「システム」を選択すると、標準でGoogle アナリティクスが用意してあるセグメント群だけに絞られたリストだけ表示される。

右側のスクロールバー(図2青枠部分)を一番下まで移動させると、ここにお目当ての「直帰セッション」と「直帰以外のセッション」の2つがあるのがわかる(図2緑枠部分)。

「直帰セッション」「直帰以外のセッション」の設定内容を確認しておこう

この「直帰セッション」とはどのような設定なのかを確認しておこう。「直帰セッション」セグメントの右側にある[v]のようなマーク(図3赤枠部分)をクリックする。すると右下に「コピー」「リマーケティング」の2つが表示されるので、「コピー」(図3青枠部分)をクリックしよう。

図3:「直帰セッション」のコピーをクリックしよう

すると図4のような画面が表示され、「直帰セッション」の設定内容が確認できる。

図4:「直帰セッション」セグメントの設定内容

「直帰セッション」は、

  • セッションを含める(図4赤枠部分)
  • 「直帰数」がゼロを超える(図4青枠部分)

という設定内容だ。

同様にして「直帰以外のセッション」の設定内容を調べると、

  • セッションを含める(図4赤枠部分)
  • 「直帰数」がゼロ(図4青枠部分)

という内容だと確認することができる。

標準のレポートでは、「直帰数」という指標は表示されていない(通常は「直帰率」が表示されている)ので、そういう指標があることを知らない人もいるのではないだろうか。しかし将来的に、この「直帰セグメント」と掛け合せるセグメント条件を指定するような場合もあるかもしれない。その時のために、この「直帰セッション」のセグメントの設定内容を知っておくと応用できるので紹介しておいた。

「直帰以外のセッション」に絞り込んで分析するには?

実際のデータにこのセグメントを掛けていこう。まず[ユーザー]>[サマリー]レポートに「直帰セッション」と「直帰以外のセッション」の2つのセグメントを掛けた(図5赤枠部分)レポートが図5だ。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サマリー]をクリックする
  4. 「直帰セッション」と「直帰以外のセッション」セグメントを「適用」する
  5. 「すべてのセッション」セグメントを「削除」する
図5:[ユーザー]>[サマリー]レポートにセグメントを掛けた画面

図5青枠部分を見ていただきたい。直帰セッションの過半数(54.1%)が「New Visitor」すなわち新規訪問で占められているのに対して、直帰以外のセッションは「Returning Visitor」すなわちリピート訪問が68.7%と7割近く占めている。

たいていのサイトでもこのような当たり前の結果になっているとは思う。一般的に、おなじみの人の再訪問セッションは直帰の割合が低い傾向にあるだろう。まずはその当たり前の傾向通りになっているかを確認した。

一般的に、直帰は「改善すべきもの」という視点で分析される。課題のある部分を発見して、改善していくというアプローチだ。しかし、冒頭にも述べたとおり、今回はその逆に、「良いところを伸ばす」というアプローチを採る。「直帰以外のセッション」に絞り込むことで、ユーザーをうまくサイト内回遊させているセッションがどういう特徴を有しているのかという見方でデータを見ていこう。

直帰していない集客チャネルにはどういう特徴があるのか分析するには?

まず集客チャネルでどこが上手くいっているのか、[集客]>[すべてのトラフィック]レポートを確認しよう。図6は[集客]>[すべてのトラフィック]レポートに「直帰以外のセッション」セグメントで絞り込んだ(図6赤枠部分)レポートだ。集客チャネルを直帰以外のセッションに絞って分析するには、まずはこのレポートを見よう。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
  3. メニューが開くので、[すべてのトラフィック]をクリックする
  4. 「直帰以外のセッション」セグメントを「適用」する
  5. 「すべてのセッション」セグメントを「削除」する
図6:[集客]>[すべてのトラフィック]レポートに「直帰以外のセッション」セグメントを掛けた

「直帰以外のセッション」で絞り込むと、見込みのないお客さん(直帰セッション)を除いて、どこが効率よい集客チャネルなのかを見ることができるようになる。「すべてのセッション」と優劣は似通っているかもしれないが、「直帰以外のセッション」セグメントで絞り込むことで、より傾向が鮮明になるはずだ。デフォルトで選択されているサマリー指標グループであれば、図6青枠部分のように集客状況、サイト内回遊状況、成果に結びついているかという指標群で一望することができる。

直帰以外のセッションで、「参照元」×「ランディング ページ」のランキングを確認するには?

続いてこの一覧表の中で気になる参照元があったら、この「直帰以外のセッション」セグメントが掛かったまま(図7赤枠部分)、[集客]>[すべての参照]レポートに移ろう。ここではさらに「セカンダリ ディメンション」に「ランディング ページ」を指定(図7青枠部分)しよう。

操作手順
  1. [すべての参照]をクリックする
  2. 「セカンダリ ディメンション」に「ランディング ページ」を指定する
図7:[集客]>[すべての参照]レポートで、「セカンダリ ディメンション」に「ランディング ページ」を指定した画面

このレポートはセッション数が多い順に並んでいる。上に表示されているほど、直帰しなかったセッションが多かった「参照元」×「ランディング ページ」の組み合わせである。ということを表している。想像していなかった組み合わせはないか確認しておこう。

直帰以外のセッションで、どのコンテンツが多く閲覧されたのかを確認するには?

次に「直帰以外のセッション」でどのコンテンツを閲覧したのかを見ていこう。見るレポートは、いつものように[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]で、これに該当セグメントを掛ける(図8赤枠部分)。

操作手順
  1. 画面左側にあるメニューで、[行動]をクリックする
  2. メニューが開くので、[サイト コンテンツ][すべてのページ]を順にクリックする
  3. 「直帰以外のセッション」セグメントを「適用」する
図8:[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートにセグメントを掛けた

見るポイントは、どこが閲覧開始ページになっているかという点だ。閲覧開始数の指標(図8青枠部分)を確認しよう。

注目したいページがあったら、そのリンク(図8緑枠部分)をクリックし、該当ページに絞り込んだうえで、「ナビゲーション サマリー」タブを選択(図9赤枠部分)しよう。

図9:[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートの「ナビゲーション サマリー」タブ

直帰以外のセッションで絞り込まれたまま、該当ページの前後のページ遷移も確認できる(図9青枠部分)。回遊ユーザーの次のページへの動きに想定外のものはなかっただろうか。

おまけ:「モバイルからのセッション」に「直帰以外のセッション」を掛け合わせて絞り込んでみるには?

最後におまけとして、「直帰以外のセッション」に、「モバイル(スマートフォン)からの利用セッション」の条件を掛け合せたセグメントの設定方法を紹介しておく。

図10:「直帰せずスマートフォンから利用されたセッション」の設定内容

新しいセグメントを作成する初期画面で「条件」を選択し、セグメントの条件設定を行う。

フィルタは「セッション」「含める」と指定しよう(図10赤枠部分)。その下の項目は、「デバイスカテゴリ」「完全一致」「mobile」と指定(図10青枠部分)し、右端の[AND]をクリックする。AND条件として、「直帰数」「=」「0」と指定する(図10緑枠部分)。

これで「モバイル(スマートフォン)からの利用セッション」に「直帰以外のセッション」の条件を掛け合せたセグメントを指定したことになる。

モバイル環境からの利用だと一般的にあまり回遊されないセッションが多いだろう。そんなモバイル環境でも直帰されないセッションについて、そのユーザー行動について深掘りすることで、新たな成功要因が発見できるかもしれない。興味がある方はぜひ試してみていただきたい。

筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座(2014年8月開催)申し込み受付中。詳しくは→ Google アナリティクス ゼミナール

この記事の筆者
ユーザー 衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) の写真

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社へ。調査部、インターネット視聴率センター長などを経て、2000年ネットレイティングスへ。視聴率サービスやアクセス解析サービスの立ち上げに尽力。2006年株式会社クロス・フュージョンを設立し代表取締役に。現在アユダンテ株式会社の社外フェロー、アクセス解析イニシアチブ副代表も兼任。

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マーケティング成熟度を高める「3つのP」と、顧客重視を貫き組織変革を進めた米国企業の事例 | Web担当者Forum

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「デジタルマーケティングをちゃんと行っていくということは、マーケティング全体をデジタル化していくことであり、そしてそれは、マーケティング全体を再創造すること」という今のマーケティングが進むべき道を以前にお伝えした。本記事では、さらにその解釈を進め、マーケティング担当者のアンケート調査をもとに「マーケティングの成熟度」を高める方法論をお届けする。

また、記事の後半では事例も紹介する、デジタルをリアルに持ってきている「フェデックス」と「MGMリゾートインターナショナルホテル」の事例だ。

いずれも、米国で開催されたイベント「Adobe Summit 2014」でのトピックを中心にお届けする。

マーケティング全体をデジタル化していくということ

「デジタル」は今やコンピュータネットワークに限った話ではない。リアルでのデジタル活用が進化している。

消費者がモバイルデバイスやウェアラブルを持ち歩き、店舗で情報収集するのも、デジタルだ。また、ある特定の場所に行くと、そのユーザーに合わせたメッセ―ジが届くといったような仕組みもあり、リアルマーケティングの世界でもデジタルが核となって動きはじめている。

こうした状況が、「マーケティング全体をデジタル化していくということ」の背景であり、その入り口の例だ。ある調査によると、店舗とウェブの両方を利用するユーザーはすでに25%あり、ウェブを単体で利用するのは17%という状況なのだという。

「クリック&モルタル」や「O2O」といった用語もあるが、いずれも同じような考え方を示している。「デジタルがリアルのマーケティングを変えていく」ということは、以前は夢物語のように語られ、試行錯誤されてきた。

しかし、いまや、技術も市場も環境は整いつつある。アイデアひとつで実現できる時代になっているのだ。あとはマーケターがどのように動くか次第だ――とはいうものの、そこには「組織の変革」という課題がある。

いまは、マーケティング担当者がデジタル活用を“強要”される時代

Adobe Summit 2014で2日目の基調講演に登壇した米アドビ システムズ社のジョン・メラー氏は、いまのマーケティング担当者を取り巻く状態を「デジタルの苦悩」と表現した。

多くのマーケティング担当者は、高度なデジタル活用を実施していくことを「強要」されている。

というのも、ユーザーは、高度なデジタル体験を一度でもすると、同様のことをどこでも得られるものだと期待するため、企業はデジタル活用に意識的に取り組まなければ、厳しい競争に立ち向かえなくなるからだ。

デジタルで高度な体験をする機会が増えている顧客に対して、どのように対応するのが望ましいのか。顧客重視を貫いていく企業は、それを考えていく必要がある。

「顧客が変わってきている」ということは、デジタルの進化が急速になってからは、ずっと言われてきたことだ。しかし、あらゆるチャネルがデジタルと関係する(特にリアルとの融合が進む)ことに関しては、昨今は1つの大きな節目を迎えていると捉えるべきだろう。

マーケティングの成熟度を高める3つの要素
「PRODUCT」「PROCESS」「PEOPLE」

では、企業が「マーケティングの成熟度」を高めていくためには、何をすればいいのだろうか。成功している先進企業は、何を意識して取り組んでいるのだろうか。

この問いに対して、「Adobe Digital Marketing Maturity Assessment」という興味深い調査結果が紹介された。マーケティングの成熟度を測る44の質問に500社ほどのマーケターが回答したものだ。

その調査の結果、卓越した実績を持つ企業は、次の3つの要素において、平均以上のレベルを満たしていると結論付けたという。

マーケティング成熟度が高い企業が重視している3つの要素
  • PRODUCT(製品)
  • PROCESS(組織の一連の動き)
  • PEOPLE(人材)

それぞれの要素について、メラー氏の語った発表をもとに解説していく。

1. PRODUCT(製品)

「あなたの企業が進化するために何が最も重要だと考えているか」という設問に対する回答は、多かった順に次のとおりだ。

  1. パーソナライゼーション(33%)
  2. ビッグデータ(22%)
  3. ソーシャル(21%)
  4. リアルタイム(14%)
  5. モバイル(11%)

顧客が要求するあらゆるシグナルを受け取り、膨大なデータとして集約し、適切に解析し、リアルタイムに最適な情報提供を行うこと。それを複数デバイスに対応し、ソーシャルを含めた多種多様なチャネルでのコミュニケーションが円滑にできること――これらの要件を満たす「製品」を導入して仕組みを作り、運用を進めている企業は、卓越した実績を持ち始めているのだという。

加えてそうした製品には、組織の壁を越えてスムーズに運用できるようにするための機能も求められるだろう。

前回記事でも触れたが、Adobe Marketing Cloudに追加された「コアサービス」の目玉機能の1つに「プロファイル管理」があるが、これはパーソナライゼーションを実現する核となる「製品」だ。

あらゆるタッチポイントや基幹データベースで取得した顧客に関するデータを統合し、各ユーザーの情報を「1つのプロファイル」として管理する。そうして作ったユーザーごとの顧客データをもとに、Adobe Analyticsで高度な解析を実現し、Adobe Experience Managerで最適なデバイス運用や顧客に合わせたエクスペリエンスの提供を行い、Adobe Targetで顧客ごとに最適なテスト配信などを行うのだ。

新たに発表された「Adobe Campaign」も見逃せない「製品」だ。クロスチャネルのキャンペーン管理製品として、仏ネオレーンの買収後に統合されたものだ。

Adobe Campaignには次のような機能が備わっていると発表されている。

  • グラフィカルなキャンペーン管理
  • 統合顧客プロファイル
  • ターゲットセグメンテーション
  • クロスチャネルキャンペーン管理
  • リアルタイムインタラクション管理
  • 運用レポート

たとえば、1人のユーザーが、電車の中で交通広告を見て、スマートフォンでサイトAへ訪れる。会社に到着して、PCを開いて、サイトAの関連サイトに訪れて、さらに知識を深める。その後、自宅に戻り、タブレットをソファで見ながら、検索エンジン経由でサイトAに訪問し購買をする。情報メールを経て、さらに追加注文を行ったとする。

Adobe Campaignを活用することで、特定の接触ポイントで、ユーザーに次の行動を促すためのメッセージ訴求を投げかけるといったシナリオを作り、実行できる(前提として幾つかの環境整備をしておく必要はあるが)。

Adobe Campaign画面イメージ。クロスチャネルのシナリオ設計はグラフィカルなUIで操作できる。
Adobe Summit 2014のデモブースでも、世界中から集まるマーケターが、Adobe Campaignの情報収集をしていた。

2. PROCESS(組織の一連の動き)

デジタルがリアル世界に入り込むということは、たとえば、店舗のオペレーションそのものを変革させることにもつながる。そのためには、複数にわたる部門の業務を連携させる必要があるだろう。つまり、組織のプロセスを変革することが求められるのだ。経営層の意思決定も重要になってくる。

多くのマーケターはどのように考えているのだろうか。先ほどと同様の調査であるが、「自分の果たす役割が変わっていくと思うか」という質問に対しては、64%のマーケターが12か月以内に変わると答えたという。さらに、3年以内に変わると答えたのは81%に上る。

プロセスの変革については、取材者向けの対談セッションでも活発に議論されていたので、特徴的な発言を紹介しておこう。

意思決定は中長期を視野に入れて組織変革をする。

レノボの担当者

「顧客体験のストーリー設計」が最も重要なコンセプトだ。それを実施するときには、一貫した戦略のもとに、個々の強みを生かして社外パートナーに委託することも必要だ。

米国大手のアクセサリー通販会社Alex and Ani社の担当者

組織変革をけん引するのは、意識の高い人だ。プロセスを変えるためには、人が重要なのだ。

ラスベガスのコスモポリタンホテルの担当者
対談風景、左から
Lenovo社ディレクターAshich Braganza氏
Alex and Ani社バイスプレジデントRyan Bonifacino氏
Mshable社ビジネスエディターTodd Wasserman氏(モデレーター)
ラスベガスコスモポリタン社CRMバイスプレジデントBrian Gress氏
USBANK社バイスプレジデントDeepak Nair氏

3. PEOPLE(人材)

3つ目は「人」である。デジタルマーケティングの成熟度を高めるためには、知識および実行スキルを持つ人が重要だ。

特に、“自己改革”ができることが重要な要素なのだと、メラー氏は語る。新たな課題に対する解決策を、思考し続け、自己成長を望んでいることが大事だということだ。企業担当者自身がスキルアップをするのもいいし、スキルを持つ人材を新たに探すのもいいが、いずれにせよ、物事を変えていく「人」が必要なのだ。

成熟度を高めるための方法論

とはいうものの、メラー氏は、次のように語る。

マーケティングの成熟度を高めるための明確な方法論やマニュアルは、まだ存在しない。残念ながら。

どの企業も、それぞれの置かれた状況に対して試行錯誤しながら方法論を探っているのだ。

そのため、基調講演では、さらに豪華なゲストスピーカーが登場し、メラー氏との対談を通して、特に「PROCESS」と「PEOPLE」の取り組み方について考えを深める試みが行われた。

振り返ると、昨年のAdobe Summitでも同様に組織や人に焦点を当てていた。そこがいかに重要なポイントであるかを、顧客から要望を投げかけられるアドビ自身が強く感じているのだ。

アドビは製品を提供する企業ではあるが、製品だけでマーケティングの成熟度を高めることはできないことを理解している。製品に加えて、人や組織も変わらなければいけないのだ。

事例1フェデックスの顧客重視を貫いた組織変革プロジェクト

運送会社大手のフェデックスのマイク・リュード氏(カスタマーエクスペリエンスマーケティング部)は、基調講演のなかで登壇し、興味深い事例を語った。ワールドワイドの複雑な組織形態を持つ企業によるプロセスの改革である。

具体的には、さまざまなタッチポイントで得られる多種多様かつ膨大な情報を、組織の中心において一元管理するようにしたのだという。そして、顧客属性データを基にモデリングし、パーソナライズした最適な情報を提供し、顧客との関係醸成を図る。そうしたプロジェクトを社内で推進しているというものだ。

運送会社へ仕事を依頼しようとする顧客のシチュエーションは、さまざまだ。仕事をしているとき、自宅にいるとき、外出先……。顧客は、あらゆるタッチポイントでフェデックスにコンタクトをとろうとする。

そのためフェデックスでは、特に顧客と直接コミュニケーションをとりやすい立場の人、つまり運転手が、デジタルを介して顧客とやりとりできる仕組みを構築したのだという。

この仕組みについてリュード氏は「簡単なことだと思われるかもしれないが、実現するのは、かなり大変なことだ」と語る。組織全体を変革する必要があったため、CRMを専任としていたマーケティング担当者がプロジェクトを立ち上げ、進めていったのだという。

ちなみに、このプロジェクトに関しては、基調講演とは別のセッションで、プロジェクト推進したアンジェラ・スティーブン氏が解説していた。組織変革のためには、月面旅行をプランニングするようなイメージで、管制機関や現場担当者が持つ装備など準備を念入りに進めたと語っていた。

そうして作られた「運転手デジタルコミュニケーション」の仕組みが、現在は、グローバルに展開されている。

「改革の実現開始にあたって“マジックモーメント(物事がうまく進み出す瞬間)”があったか」と問われたリュード氏が、「特に、魔法はない。すべて顧客に対する適切な対応をしただけだ」と述べたのが印象的だった。

事例2顧客満足をキーコンセプトに組織の旗振りをする「チーフエクスペリエンスオフィサー(CXO)」(MGMリゾートインターナショナルホテル)

ラスベガスのホテルでは、フロントデスクがなく、スマートフォンで鍵を開けることができるところも増えている。米国でIOT(Internet of Things/モノのインターネット)と呼ばれるスマート機器の導入事例の1つである。

しかし、これを実現するためには、ホテル全体の設備を変えなければいけないし、ホテルマンにも従来と異なるオペレーションが必要となる。

では、企業内で、だれがこれを実現させるために動くべきなのか。

MGMリゾートインターナショナルのジョン・ボレン氏(チーフデジタルオフィサー)は、そのプロジェクトの推進にあたっての組織体制の変革について語った。

MGMには、「顧客理解」の専任責任者として、「CXO」(チーフエクスペリエンスオフィサー)が存在している。「顧客満足」を高めることを狙いとして、戦略立案から指揮統括も行う立場で、社長直轄の役職だ。

そして、このCXOが、ホテルに訪れる顧客の満足度を高めるためのマーケティング活動を一手に集約して、一貫した戦略遂行を行う旗振り役であり、デジタルオフィサー、ゲストオフィサー、ロイヤリティオフィサー、ブランド&マーケティング担当者とともに、プロジェクトを進めたのだという。

CXOは、概念的にはCMOと同義のようにも思えるが、ホテル経営の根幹に直接的にかかわり、実際に、各部署の担当者と連携してプロジェクトを推進するという役割が、CMOとの違いだ。

このプロジェクトでは、組織体系にもメスを入れたのだという。縦割りだった組織を再構築し、部署の垣根が低い新たな組織に作り替えたのだ。

一貫した戦略に基づいて行動する有機的な組織形態が作られ、デジタルネイティブな顧客に良い体験を提供する仕組みをホテル全体で作れたのも、こうしたCXOの動きがあったからこそだろう。

地道な取り組みが、ルールを変えることがある

Adobe Summit 2014の基調講演を通して感じたコンセプトは、「“デジタルマーケティング”から“マーケティング全体をデジタルに”」というものだった。それがあるべき姿であり、それを実現するために必要なのが「PRODUCT」「PROCESS」「PEOPLE」への取り組みによって「マーケティングの成熟度」を高めていくことなのだ。

最後に、ジョン・メラー氏が語った次のエピソードを紹介したい。アメリカンフットボールで初めて、「フォワードパス」の歴史が始まったストーリーだ。

昔のアメリカンフットボールは、選手が走りこんでボールを奪い合い、タッチダウンを狙う単純なゲームだった。

しかし1876年、プリンストン大学とエール大学の試合中に、タックルされた選手が偶然にもボールを前に投げて、チームメイトがそれを受け取ってタッチダウンしたという出来事があった。

そんなプレーはそれまでになく、ルールブックにもそうした行動に関する記載がなかったため、審判はどう判断していいか決めかねたので、結局はコインを投げた裏表の結果で判断を決めることにした――結果として、「ボールを前に投げる」という行為は承認された。

これは、ルールブックの「再創造」の瞬間である。それまでにはなかった行動が、その後ずっとゲーム展開を大きく左右するプレーの1つとして認められるようになったのだ。

再創造とは、初め大それたことを考えるというものだとは限らない。目的に向かって一所懸命に取り組むなかで、ふとしたアイデアが生まれるのかもしれない。

フェデックスの組織変革も、特に魔法があるわけではなく、顧客重視を貫いただけだと語っていたし、プロジェクトの発端は1人の担当者である。

まずは、企業と顧客の関係を見直したうえで、本質に忠実にやってみることだ。そこから、やるべきことに気づいたら、意識的に声を出して、誰か協力者を見つけ、手を動かして、旗を振っていくことが大事なのだろう。

この記事の筆者
ユーザー 於保 真一朗(メディックス) の写真

於保 真一朗(おほ しんいちろう)

Webマーケティング会社の株式会社メディックスで、Adobe AnalyticsやGoogleア ナリティクスなどのアクセス解析ツール、ならびに Adobe Targetなどの最適化 ツールを用いてのWebマーケティングの運用支援業 務を行っているWebアナリスト 兼プランナー。

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ヤフー、ビッグデータレポートの「人はいつ『楽しい』や『つらい』と感じるのか?」公表 [ニュース] | Web担当者Forum

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ヤフーは、同社が提供する「Yahoo!検索(リアルタイム)」サービスの元データを分析した「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」で、「人はいつ『楽しい』や『つらい』と感じるのか?~つぶやき分析で見えた感情の推移~」を7月16日公表した、と同日発表した。日本人が「Twitter」に投稿したツイート文(つぶやき)を24時間の軸で2月に約1ヵ月間集計・解析し、各時間帯によくつぶやかれる言葉から感情の推移を調べた。

ツイート数が最も多い時間帯は午後10時台。感覚を表す代表的な言葉「疲れた」を含むツイート文の出現分布では、実数はツイート数が多い同10時台が最多だが、時間帯別の総ツイート数に対する割合では同5時台がピークだった。この時間帯に疲れがたまりやすいとみられる。ほかに「もうだめ」は午前2~4時台、「痛い」は同7~8時台がピーク。各時間帯のツイートを探ると、1日をどんな感情で過ごしているか知ることができる。

ヤフー
http://www.yahoo.co.jp/

人はいつ「楽しい」や「つらい」と感じるのか?~つぶやき分析で見えた感情の推移~
http://docs.yahoo.co.jp/info/bigdata/special/2014/01/

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総務省、「情報通信白書」でビッグデータの活用による売り上げ向上効果は60兆9000億円 [ニュース] | Web担当者Forum

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総務省は、2014年版の「情報通信に関する現状報告(情報通信白書)」を7月15日公表した。蓄積された大量の情報、ビッグデータの活用による売り上げ向上効果が2012年に全産業合計で60兆9000億円に達したと推計した。各産業でICT(情報通信技術)の利用を利益増加につなげている企業は16%にとどまり、多くの企業はICTによる業績改善の余地がある、と指摘した。白書はA4判カラーの書籍を販売するほか、ウェブページで無料公開し、ePub版の電子書籍やスマートフォン・タブレットアプリも無料配布している。

2013年の国内データ流通量は2005年の約8.7倍に増えた。2012年にビッグデータで押し上げた60兆9000億円の売り上げは、同年の全産業の売上高1335兆5000億円の4.6%に相当する。業種別では流通業(卸売業・小売業)が28兆1000億円、流通業以外の産業が32兆8000億円だった。顧客、経理、POS(販売時点情報管理)などのデータが実質国内総生産(GDP)にプラスの効果があった。ICTの利用に関しては、各企業がICT投資を拡大させることが経済成長につながるとし、日本の実質GDP成長率を0.5%高められると試算した。

総務省
http://www.soumu.go.jp/

情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/

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2015年に始まる無人飛行機による配送など、アマゾンジャパン責任者が語る米国アマゾンの革新 [ネットショップ担当者フォーラム ダイジェスト] | Web担当者Forum

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この記事は、ネットショップ担当者フォーラムで公開された記事を、許諾を得てWeb担当者Forumで転載したものです。

配送スピードを早めるための試験的な取り組みとして、米国アマゾンが2013年12月に発表した小型無人飛行機による商品配送サービス「Amazon Prime Air」。ネット上で話題となったこのサービスが2015年にもサービス化するようだ。アマゾン ジャパンのセラーサービス事業本部事業開発部・井野川拓也部長が、4月に行われた関西を中心としたEC団体「一般社団法人イーコマース事業協会」のイベント内で次のように言及した。

ラジコンを使って商品を届けるアマゾンプライムエアー。クレイジーなアイデアだと思ったが、2015年にアマゾンドットコムで開始する。お客さまのメリットになる。

アマゾンドットコムが2015年に始める、小型無人飛行機による商品配送サービス「Amazon Prime Air」

小型無人飛行機による商品配送サービス「Amazon Prime Air」について、アマゾンジャパンの事業責任者が2015年に始めると言及した

無人飛行機を使った配送サービスは、米国アマゾンが先進的に行う革新の1つ。米国アマゾンではどのような革新的な取り組みが行われているのか。日本にはまだ導入されていないサービスなどに視点を当て、米国アマゾンの革新的なECマーケティングを井野川氏の講演内容をもとにまとめた。

「赤字でもお客様のためになることはやっていく」というアマゾンの理念

アマゾンはお客さまを中心に考えている。イノベーション、改革などを通して、品揃え、利便性、価格をよりいいものにしていこうとしている。お客様のためになることはやっていくという理念がある。上場から赤字を続けているが、正しい判断だと思う。

井野川氏によると、創業者のジェフ・ベゾスCEOは「アマゾンのビジネスの本質はモノを売ることではなく、お客様の購買決定を助けることにある」という理念を掲げている。カスタマーレビュー、購入履歴の情報開示などがその代表例。必要な情報を適切に提供することで、利用者の購買判断を正しい方向に導いていると説明する。

米国アマゾンの創業者、ゾフ・ベゾスが考えたアマゾンの成長モデル

品揃えを充実させれば消費者の満足度が上がり来店者が増加。そして売り手の数が増え、スケールメリットを享受、競争原理も働くのでコストを下げて消費者に安価で供給する、というビジネスモデルが今日の成長サイクルを産んだ

アマゾン全体の売り上げ規模は日本円で約7兆5000億円。前年比22%で成長しており、その40%が北米以外の売り上げが占めている。現在は米国、英国、ドイツ、日本、フランス、カナダ、中国、イタリア、インド、オーストラリア、スペイン、メキシコ、ブラジルの13か国で事業を展開。自前でフルフィルセンターを持てる環境を前提に、今後も進出国を増やしていく方針という。

アマゾンドットコムの業績推移

アマゾンドットコムの2007年から2013年までの売上高推移

ちなみに、アマゾンジャパンの月間ユニークビジター数は4000万で、販売している商品数は1億種以上。2013年の総売上は日本円で約7600億円の規模だ。アマゾンジャパンのサイト上で売れている金額を示す流通総額はもっと大きな数字になるという。

アマゾンジャパンの特徴の1つに圧倒的な配送スピードがある。これを支えるのが全国に構える物流センター。2014年1月現在、埼玉県に川越フルフィルメントセンター(FC)、川島FC、狭山FCの3拠点。千葉県には八千代FC、市川FCの2拠点。神奈川県に小田原FC、岐阜県に多治見FC。大阪府は2拠点で、大東FCと堺FC。九州では佐賀県に鳥栖FCの計10拠点だ。

主要都市近郊に構えた配送ネットワークを通じ、2013年9月現在、当日配送で日本全国の77.3%、翌日配送で同95.7%をカヴァーしている。

海外販売支援、自社ECサイトの販売支援、キーワード広告など、アマゾンが先進的に取り組んでいること

井野川氏は、通常のアマゾンでの取り組みを「オン アマゾン」、外部企業に対する支援的な取り組みを「オフ アマゾン」と呼び、アマゾンが今後、力を入れていくことについて説明した。

ヨーロッパでアマゾンが展開している国際販売の事例

イギリスにアマゾンが構えた物流拠点に在庫を置くと、ヨーロッパの各国に商品を配送できる仕組み

「オン アマゾン」で取り組むことで上げたのが「海外販売支援」。現在、海外販売の面ではヨーロッパ圏の取り組みが進んでいるという。アマゾンがヨーロッパ圏で展開しているのは国は、ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペイン。このいずれかの国でアマゾンのアカウントを取得すると、そのアカウントはヨーロッパ圏内共通アカウントとして利用することが可能。例えば、英国で銀行口座を開設すると、フランス、ドイツなどの売り上げを、1つの銀行口座に集約することができるという。

英国においては、同国のフルフィルメントセンターに商品を納品すると、ヨーロッパ圏内の購入者に英国から発送することが可能。英国を基軸に、ヨーロッパ圏への進出が容易にできるようになるという。日本のEC企業もこの仕組みを利用し、ヨーロッパ圏に商品を売ることが可能だ。順次、他の国でも同様のビジネスモデルの展開を考えているという。ちなみに、ヨーロッパ圏では特定言語をヨーロッパ各国の言語に翻訳する多言語サービスを提供し、海外販売支援をサポートしている。

海外販売では、関税などの手数料などが大きな障壁になる。米国アマゾンではこの課題を解消するサービスを始めている。海外向けに商品を販売する際、関税などの諸経費を表示できる仕組みを提供。実際に商品を配送した際、表示された金額を超過した場合は、アマゾンが超過分を負担、安くなった場合はチャージバックする仕組みを供給している。国によって異なる通関の金額などを、手間をかけずに把握するシステムになっている。

アマゾンドットコムで提供している海外向け販売サービス

米国アマゾンでは国際販売の際、関税などの諸経費が表示できる仕組みを提供し、海外販売を後押ししている

日本にも導入間近?キーワード広告、自社EC支援のための決済ソリューションなど米国アマゾンの新規事業

米国アマゾンで行っているキーワード広告

米国アマゾンでは、アマゾン内でキーワード広告を展開している

アマゾン内で広告を出稿し、膨大な商品の中から自社の取り扱いアイテムを見つけやすくするキーワード広告「amazon sponsored products」。訪問者がキーワード検索した際、検索結果画面の一番下にキーワードに関連した広告を表示するものだ。

広告経由で商品が購入されると課金される仕組み。アマゾン内ではあまり売れていないユニークな商材などを見つけやすくする取り組みだという。広告をクリックしたときの移動先は、出稿企業の商品が販売されているアマゾン内のページ。あまり売れていないユニークな商品といった利用条件があるもようだ。

米国アマゾンでは自社EC支援の一環として、外部サイトにアマゾンの決済システムが導入できるソリューションを提供している

米国アマゾンでは自社EC支援の一環として、外部サイトにアマゾンの決済システムが導入できるソリューションを提供している

米国アマゾンではEC企業が運営する自社ECサイトを支援するための広告や決済サービスなどを提供している。日本ではアマゾン以外のチャネルで売れた商品をアマゾンが配送する「FBAマルチチャネルサービス」が知られている。しかし、米国では決済機能を他のオンラインショップで利用できるようにしたり、外部の自社ECサイトにアマゾンユーザーを誘導するサービスが提供されている。

決済機能を他のオンラインショップで利用できるようにする「Pay with Amazon」。自社のECサイトにアマゾンの決済機能を導入できるサービスだ。消費者はアマゾンで登録した住所情報、カード情報を使い、他社サイトでアマゾンの決済機能を使って商品を購入できるようになる。

井野川氏は、利用者のメリットは「必要情報を登録する手間がない」「慣れ親しんでいる決済フロー」「セキュリティの不安がない」と説明。導入企業のメリットについては、「アマゾンカスタマーに最適な購買経験を提供し、CVRを改善」「詐欺などのリスクを軽減」できるとしている。

もう1つのサービスが、アマゾンで取り扱っていない商材については、アマゾン以外のサイトにアマゾンの顧客を誘導する広告「Product Ads」。利用できるのは、アマゾンで取り扱いがない商品を販売している企業で、自社サイトにアマゾン利用者を誘導することができる。ニッチな商品が主な販売対象になると想定される。

米国アマゾンではアマゾン内で取り扱っていない商品を販売しているサイトへの誘導広告も行っている

米国アマゾンではアマゾン内で取り扱っていない商品を販売しているサイトへの誘導広告も行っている

見つけたいものは必ず見つかるようにしたい」と力説する井野川氏。アマゾンはこうしたサービスを展開することで、アマゾンに出店や出品しないニッチな商材も集め、圧倒的な品揃えを目指す考えのようだ。1時間以上にわたった講演で井野川氏は、次のようにアマゾンが目指す方向性をまとめた。

  • 地球上で一番の品揃え、見つけたいものは必ず見つかる
  • Amazonで最高のカスタマーエクスペリエンスを提供する
    でも、Amazonでないときは
  • Amazonのカスタマーエクスペリエンスをどこででも
  • どなたでもAmazonと同じカスタマーエクスペリエンスを提供できる

◇          ◇          ◇

米国アマゾンで展開されている広告や決済ソリューションサービスは、将来的に日本でも導入される可能性が高い。例えば、自社サイトにアマゾンの決済ソリューションが導入できる「Pay with Amazon」、アマゾン以外のサイトに顧客を誘導する広告「Product Ads」。アマゾンの利便性やトラフィックを上手に活用し、自社サイトでの売り上げ増加につなげている米国企業は多いようだ。

米国アマゾンが手掛けている先進的な取り組みは、EC支援を手掛ける、いつも.が販売する、米国EC最新事例を収録した「IRCE講演動画DVD-BOX」でも確認できる。米国で開かれた世界最大のEコマースカンファレンス「IRCE(アイアールシーイー)」の講演を収録したもので、米国アマゾンの取り組みについて語られている。

その中では米国アマゾンの先進的な取り組みを活用する方法の他、アマゾンに対抗するための企画やサービスを提供する米国EC事業者、EC支援事業者の事業展開についても触れられている。今回紹介したアマゾンの先進的な取り組みを詳しく知りたい方は参照して欲しい。

日本のアマゾンはEC事業者にとって、競合サイトでもあり、販売支援のプラットフォーマーでもある。今後、日本のEC事業者がアマゾンジャパンと共存共栄目指すためにも、米国アマゾンの取り組みにも目を向けていきたい。

オリジナル記事はこちら:2015年に始まる無人飛行機による配送など、アマゾンジャパン責任者が語る米国アマゾンの革新(2014/05/29)

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